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採用内定取消:紙芝居型ブログ ブログ#100

 採用内定の取り消し,
実は,とても難しいのです。
 
 法律を間違ってしまうと,
大変なことになることがありあす。

 このあたり,
紙芝居でお伝えします。

<採用内定取り消し>

 A君は,大学4年生であり,新卒として就職活動をしていました。

 さあ,僕も就職活動がんばるぞ。なんとしても第1志望の,B社さんに入社したいな。なんとかならないかなぁ。よし,とにかく,ベストを尽くそう

A君は,B社へ履歴書を提出し,書類選考を通過しました。

やった,書類審査にとおったぞ。次は筆記試験と面接だな。

その後,A君は,筆記試験と面接を無難に乗り越えました。

ある日のこと,A君は自宅で休んでいました。

ピンポーン,Aさん,書留です

おや,なんだろな,ああ,就職を希望しているB社さんからだ。もしかして,面接の結果かな。

さあどうかなどうかな,緊張するなぁ

あ,内定通知だ。やったー。

 B社さんから内定もらえたから,もう就職活動はこれでおわりにしよっと。

> 

他方,こちらは,B社の社長です。

 いやー,最近は,本当に人手不足だなぁ。昔は,新卒で,わが社へ入社希望の学生がたくさん集まったのに,最近は全然集まらないよ。やっぱり,大手さんの人気には,なかなか勝てないんだよなぁ。

 よしこうなったら,昔だったら採用しないような学生でも,とりあえず,内定をたくさん出しちゃおう。そのあとで,もし,優秀な学生がいっぱい集まったら,そうでない学生は,内定取り消いしにしちゃおっと。だって,あくまで内定出しただけで,本採用するわけじゃないんだしな。

 とはいっても,うちの会社って,内定通知の時点で,労働条件通知書も交付して,特に入社式もないから,内定通知の時点で,採用したようなものなんだけど,まいっか。

それに,学生のほうも,うち第一志望なんて言っておきながら,実は,ほかの会社からも内定もらってて,突然,内定辞退とかいって,みんな大手に行っちゃうんだから,頭にくるよな。だから,こっちから内定取り消ししたって問題にならないだろう。

数週間後のことです。

ピンポーン,Aさん,書留です

おや,なんだろな。あれ,またB社さんからだ。

ええ,「内定取り消し通知」ええー,

 なんで,取り消しになっちゃったんだろ。こまったなぁ。そうだ,大学の就職指導課に相談してみよう。

こうして,A君は,大学に間に入ってもらい,B社へ,内定取り消しを考え直してもらうよう交渉しました。

しかし,B社は,最後まで納得せず,A君は,そのまま卒業することになってしまいました。

ひどい,ひどすぎる。B社さんが内定くれたから,もう就活終わりにしたのに,こんなのあんまりだよ。訴えてやるー

こうして裁判所での裁判がはじまりました。

A君は,こう思っていました。

それにしても,内定をもらった時点で,雇用契約はもう成立したようなものなんだから,それを一方的に取り消すなんてひどいよな。絶対,裁判でも勝てるはずだ

他方で,B社の社長はこう思っていました。

裁判なんて堅苦しいことやってるけど,あくまでうちは「内定」を出しただけなんだから,内定っていうのは,正式に採用するっていう意味じゃないんだから,わが社が負けるはずがない

こうして,A君の入社日から数えて,ちょうど,一年経過後に判決言い渡しとなりました

判決を言い渡します。

判決主文。 A君には,B社の従業員としての地位を認めます

また,B社は,A君に対し,4月1日から本日まで1年分の賃金500万円を支払いなさい

ええー,わが社の完全敗訴じゃないか,なぜだー

    試用期間中の本採用拒否:紙芝居型ブログ ブログ#99

    「試用期間なら簡単にクビにできる」
    大間違いです。法律の誤解は,
    いろんなところにあります。

     紙芝居でお伝えします。

    試用期間中の本採用拒否

    A社長は,IT企業を経営していました。昨今の人材不足に悩んでいました。

    うーん,最近はほんとに人材不足で困ったなぁ。我が社の業界は開発競争が激しいから,優秀な社員をたくさん雇って開発に力をいれないと,競争に負けてしまう。

    しょうがない,今までだったら,採用しなかったような学生でも,とりあえず,たくさん入社させておいて,そのかわり,試用期間を長くとって,たくさんふるいにかけて,ふるい落とそう

    他方,B君は,新卒で,A社の入社試験を受けました。

    A社の入社試験の結果を待っていました。

    あるとき,B君は,自宅で休んでいたところ,

    ピンポーン,Bさん,書留です

    おや,なんだろな,ああ,入社試験の結果だ。どうかな,どうかな。

    あ!内定通知だ。やったー。

     よかったー。内定もらえたから,もう就職活動はこれでおわりにしよっと。

     あれれ,試用期間が6か月って書いてある。なんだか,すこし長い気がするなぁ。まあいっか。

    B君は,A社長の思惑を知らず,入社し,毎日を一生懸命がんばっていました。

    あー忙しいなぁ。これが社会人生活ってやつかあ。でも,毎日充実してるなぁ。

     五か月後のことです。

    B君は突然,A社長に呼ばれました。

    コンコン

    A社長,お呼びでしょうか。

    あー,B君突然だけど,わが社は,君を本採用しないことに決めたから。

    ええ,そんな,どうかここで働かせてください。なんでもがんばりますから。僕のなにがわるかったのでしょうか。

    いやいや,特に理由はないけど,我が社は,君を本採用しないことにしたよ。

     ちゃんと,試用期間6か月って伝えてあったからね。契約書にも書いてあるし,ハンコ押したしね。このハンコきみが押したんだろう

    たしかに私が押しましたけど,がんばりますからどうかお願いします。

    いーや,だめだ。君は,試用期間6か月という契約に納得して入社したんだよ。

    わが社も,君が6か月の試用期間で納得するというから採用したんだ。

    そして,我が社は,入社5か月の時点で,君を本採用しないことに決定したんだ。

    だから,もう明日から来ないでくれ。

     そ,そんなーー

    こうして,A君は泣きながら退社することになってしまいました。

     1か月後,

    あー青空の下のゴルフは気持ちがいいねぇ。

     ブルルルルル

     おや、電話だ。秘書のC子くんからだ。もしもし,なんだね。

     社長、大変です。B君の弁護士から、書類がきました。

     なかみは、内容証明郵便です。

    B君の本採用拒否は無効であるため,B君の復職を要求する,と書いてあります。

    なに、いったいどういうことだ。そうだ,うちも弁護士さんに聞いてみよう。

     これはA社長,こんにちは。お世話になっております。

    今日は,突然,どうされましたか

    いやー,先生,ちょっと聞いてくださいよ。

    実は,先日,試用期間6か月で採用したB君なんですが,もっと優秀な社員が入ってきてくれましたので,B君は,試用期間で終わりにしようと思いました。本採用拒否したんですよ。

    そしたら,突然,弁護士からB君の復職を要求する内容証明郵便がきまして。

    あー,そうでしたか。それは大変ですね。

    先生,試用期間っていう用語ですから,試用期間の社員は,特に,理由はなくても,本採用拒否ってできますよね?

     いえいえ,社長,それは違うんですよ。

     みなさん,そのように誤解している人が多いんですが,そうではないんです。

     試用期間といっても,雇用契約が成立していますし,社員さんだって,ほかの会社に入社する機会がなくなるわけですから,まったく理由なく,本採用拒否はできないんです。むしろ,裁判になった場合は,本採用拒否をみとめてもらうには,かなりしっかりした理由と証拠を用意しておかなければ,負けてしまうことのほうが多いんですよ。

     ええ,そうなんですか!!

     そうなんです。みなさん,よく誤解されているのですが,実は,試用期間中の本採用拒否は,実際にはかなりハードルが高いんです。 

     でも,みなさん,このことをご存知ないから,表面化していないっていうのもありますね。

     てことは,やっぱり,うちの会社,裁判起こされたら,負けますかね?

     残念ながら,その可能性は高いですね

     ええー,そんなー!!

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