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契約書と債権回収:紙芝居型ブログ ブログ#106

 ビジネスをする際,
契約書がなかったことから,
ひどいことになってしまうこと,
よくあります。

 紙芝居でお伝えします。

契約書と債権回収

A君は、若干、30歳の若さで、脱サラをして、起業することにしました。

A君は、簡単なイラストを描いたり、絵を描くことが大好きであったことから、

デザイン制作会社を立ち上げました。

A君

 ようし、僕も、今日からデザイン制作会社の社長だ。

 これから、どんどん、仕事をとってきて、会社を軌道に乗せるぞ。

 がんばるぞ

A君は、毎日、がむしゃらにはたらいて、がんばっていました。

半年ほど経過し、A君の仕事は軌道にのっていきました。

プルルルル

A君

 お、お客さんのB社長から電話だ。また仕事の依頼だったら、うれしいな。

B社長

 A君、緊急の仕事で申し訳ないんだけど、我が社で、急に、ゆるキャラのデザインを作らなければならなくなったので、特急の仕事で、申し訳ないんだけど、我が社のイメージにピッタリの,ゆるキャラを考えて、明後日までに納品してくれないかな?

A君

 ええっ、明後日ですか。ちょっと、ほかの仕事の納期がありまして・・・

 ちなみに、ご予算はどれくらいですか?

B社長

 そうだね。超特急の仕事だから30万円でどうかな

A君

 30万円ですね。わかりました。

 それなら、優先して作りますので、急いで仕上げてももっていきます。

B社長

 よろしくたのむよ。

翌々日、A君はゆるキャラのイラストを制作して、納品しました。

プルルル

A君

 お、B社長から電話だ はい、もしもし

B社長

 A君、どうもありがとう。社内でも大好評だよ。

 やくそくどおり、料金の10万円は振り込んでおいたよ。

A君

 え、社長、料金は30万円ですよね。

B社長

 なに言ってるんだ。10万円と言ったじゃないか。

A君

 いえいえ、特急だから30万円と言われましたよ。

B社長

 何を言ってるんだ。

 特急だと言っても、あれくらいのデザインで30万円はたかすぎるだろう。

 とにかく、10万円としか約束してないからね。

 契約書があるわけじゃないし、こっちは払って上げると言ってるんだからね。

 ガチャ、プープー

A社長

 あ、電話切られちゃった。まったくひどいな。

 30万円もらえるのをあてにして、決まりかけてたほかの仕事も断ったし、今月の資金繰りかんがえていたのに、まずいな。

 これって、どうにかならないのかな。

 そうだ、C弁護士に聞いてみよう

C弁護士

 どうも,こんにちは。

今日はどうされましたか,なるほどぉA社長、それは難しいご相談ですね。

 まず、契約書がなくても、理論上、契約は成立しますし、

今回、契約があったこと自体は先方も認めていますね。

 争いがあるのは、受注した金額で、これが、30万円なのか10万円なのかという点ですよね。

 これについては、裁判になった場合は、

最終的には、お金を請求する側である、

A社長のほうで、立証しなければならない、

 つまり、証拠を提出して、裁判官を納得させなければならないということです。

 それができなければ、30万円という契約があったとは、

認定してもらえないことになります。           

 これを立証責任と言います。

 そうすると、本件では、契約書がなく、ほかに、受注金額が30万円であることを立証しうるものとしては、

A社長自身のお言葉ですが、これは言った言わないの話しになりますので、

A社長のほうが不利だと思います。

A君

 そうなんですか。わかりました。残念です。

 契約書って大事ですね。

C弁護士

 そうなんです。

 そして、契約書は、ただあれば良いのではなくて、

その中でも、ポイントを押さえて、あとになってトラブルにならないような内容にしておくことが重要です。

 たとえば、どんな仕事をどこまでやりさえすればよいのか、

 いくらでやるのか、いつお支払いをしてもらえるのか、

 こういったことを、しっかりと決めておくことが大事ですね。

A君

 わかりました。今後に活かします。

 ありがとうございました。

それから一年後、A君の事業はますます軌道にのっていました。

プルルル

A君

 おや、一年前に仕事をした、B社長から電話だ

B社長

 A社長、お久しぶりです。

 一年前はお世話になりました。

 あのときは、とても好評のゆるきゃらをつくってもらえて、

あのゆるキャラが雑誌に取材されたのがキッカケで、

我が社がどんどん有名になり、

売り上げも右肩あがりになりました。

 A社長には本当にとても感謝しています。

A君は、B社長の態度が以前とあまりに違うので、不思議に思い、内心、こう思っていました。

A君

 なんだろう。なんだかB社長の雰囲気が全然違うぞ。

 前とちがってとても丁寧だし。

 でも、イラストを喜んでもらえたならこんなにうれしいことはないな。

A君

 B社長、ご丁寧にありがとうございます。喜んでもらえてなによりです。

 ところで、今日はどうしたんですか。

B社長

 はい、今日はまた、折り入って、お願いがありまして。

 作っていただいたゆるキャラを全面的に活用して、我が社の社運をかけたプロジェクトを実行しようと思いまして、そのためのチラシ、ホームページ、会社案内、名刺、プレスリリースなど、あらゆるもののデザインを、すべてお願いしたいと思いまして。

 料金は100万円支払いますので。ふつうは、50万円くらいだと思いますけど、A社長にお願いできるなら、倍の100万円で結構ですから。

A君

 わかりました。ただし、今回は、しっかりと契約書をつくってもらいますが、よろしいですか?

B社長

 もちろんです。

こうして、A君は、契約書を作りました。

金額は100万円、すべてのデザインを納品してから1週間以内に支払いをするという契約内容で、B社長と合意ができました。

 その後,A君は納品をしました。そして、納品から一週間がすぎました。

A君

 おっかしいなぁ。B社長から,100万円の振込がなされていないなぁ。

 ちょっと,電話してみよう。

 もしもし,どうもAですけど,B社長、100万円のお振込がまだされていないのですが、

どうなっているのでしょうか?

B社長

 すみません、ちょっと、資金繰りに手違いがありまして、3日後に振り込みます。

A君

 わかりました。お待ちしています。

しかし、3日後にも入金がありませんでした。

>           

A君

 プルルル

 もしもし,Aですけど,B社長、まだ入金がないんですが。

B社長

 す、すいません。ちょっと今、トラブルになってしまっていまして、

2週間後にはかならず、振り込みますので。

A君

 わかりました。じゃあ,お待ちしていますから,2週間以内に絶対払ってくださいね。

2週間後のことです。

結局,B社長からの入金はありませんでした。

A君は困ってしまい,また,B社長に催促しました。

A君とB社長は、このようなやりとりを繰り返しました。

B社長は、電話に出たり出なかったり。出ても、もうすぐ払うといいながら、結局支払いをしませんでした。

半年後のことです。

A君

 あー、困ったなぁ。

 B社長、払う払うって言いながら、もう半年たっちゃったよ。

 もう、なんだか、電話をかけることがストレスになっちゃって、

ついつい考えるのを後回しにしちゃうんだよなあ。

 どうしたらいいんだろう。

 もう考えるのが嫌だから、ほかの仕事にまずは集中して、売り上げを上げよう。そして、考える時間のあるときにB社長のことは考えるとして、一旦あとまわしにしよう。

それからさらに半年後、A君のところに、裁判所から手紙が届きました。

A君

 裁判所から手紙っていったいんだなろう

B社破産!!

 ええっ、B社長破産しちゃったの 

 100万円、どうなっちゃうんだろう

 そうだ、C弁護士に聞いてみよう

C弁護士

 こんにちは。今日は,どうされましたか

なるほど,そういった条項ですか。

A社長、残念ながら,もうその100万円はあきらめるしかないかもしれません。

 今後、B社の破産手続きが行われますが、B社に財産が残っていなければ、お金を受け取ることは出来ず終いになるからです。

 こういった売掛金や債権の回収というのは、相手が破産してしまったら、回収不能ということ、泣き寝入りになってしまうということが多いのです。

A君

 ええー、なんとかなりませんか?

 100万円の損失はあまりにもつらいです。

 資金繰りも厳しくなります。

C弁護士

 お話から想像するに、もしかすると、B社長は、連絡をしてきたときからすでに、資金繰りに困っていて、もともと払う気がなかったのかもしれませんね。

 まあそういった内心のことは、立証することが難しいですが。

 今回、納品から1年後に破産したということですので、おそらく、その1年間、A社長以外の取引先に対しては、お金を払っていた可能性はあります。

こういった売掛金や債権の督促・回収というのは、ポイントは、少しでも早く動くこと,早期着手です。

あと、本気なんだぞということを早く伝えること,法的手段も辞さないことを示すことです。そうしないと、相手は、怖いところを優先的に支払って、こわくないところは後回しにするからです。

A君

 わかりました。これも次回への教訓にします。

 こまったなぁ。また資金ぐりがきびしくなっちゃいます。

C弁護士

 ちなみに、

倒産防止共済はかけていますか?

 かけていれば、この共済から貸付を受けられるかもしれませんね。

A君

 そうでした,忘れてました。ありがとうございます。

C弁護士

 あと、資金繰りの強化策としては、

金融機関から融資を受けるとかですかね。

 今後を見据えて、補助金・助成金にもチャレンジしても、

いいかもしれませんね。

A君

 ありがとうございます。がんばってみます。

    よくある民事裁判の誤解:紙芝居型ブログ ブログ#105

     ある人が,民事裁判で勝訴しました。
     
     その裁判では,多額の金額を勝ち取りました。

     しかし,そのあと,
    待ち受けていたのは,
    意外な事態でした。

     法律に関するよくある誤解,
    『知らない』で『損してしまう』
    よくあるパターンです。

     紙芝居でお伝えします。

    <よくある民事裁判の誤解>

     A社長は,木製家具を販売している会社の社長です。

     A社長は,もともとものづくりが大好きで,しかも,木材の温かみが感じられる家具を作ることが大好きでした

    そして,今では,5人の従業員と木製家具の販売会社を運営しています。

    ある日のことです。

    A社長は,とても悩んでいました。

    うーん,困ったなあ。お客さんのBさん,先日,引っ越し先の新居に,ダイニングテーブルから,机から,椅子から,全部,Bさんち専用の木材家具一式,オーダーメイドで納品したんだよなぁ。

    Bさんはすぐに代金100万円振り込んでくれるって言ってたけど,全然振り込んでくれないよ。もう3か月もたっちゃったよ。おっかしいなぁ。

     ちょっと,もう1回電話してみよう。プルルルル

     お客様がおかけになった電話番号は,現在,使われておりません。

     ええー,そんな,こりゃあ,困ったぞ。

     もう,Bさんに電話してても埒があかないから,裁判をするしかないな。

     こうして,A社長は,Bさんに対して,オーダーメイドの木材家具一式100万円の代金の支払いをもとめて,裁判所で,民事訴訟を提起しました。

     そして,1年後のことです。

     この日,いよいよ,判決言い渡しの日になりました。

     静粛に。判決を言い渡します。

     主文,Bさんは,A社長の会社に対し,100万円を支払いなさい。

     やったー,勝訴だ,わが社の完全勝訴だ。

     これで,100万円払ってもらうことについて,裁判所のお墨付きが出たったことだな。

     さてさて,勝訴できたのはいいんだけれども,このあと,どうしたらいいんだろ。

     ちょっと,裁判所の職員さんに聞いてみよう。

     こちらは,裁判所職員のC子さんです。

    こんにちは。今日は,どうされましたか?

     すみません,今日,100万円の裁判で勝訴したんですけど,どうしたらいいんしょうか?

     それでしたら,先方が,「控訴」する可能性,つまり,今回の裁判に不服があったりして,さらに,上の裁判所で,審理してほしいというかもしれません。

    そのための期間を「控訴期間」と言ってが,判決文を受け取ってから,2週間とされています。

    ですから,まずは,判決が確定するのか,控訴されるのか,しばらく待ってみてください。

     わかりました。

     そして,三週間後のことです。

     そろそろ,Bさんが,判決文受け取って,2週間は経ったころだな。

     Bさん,控訴したのかな,してないといいな。また裁判やるなんて嫌だなぁ。

     どっちなんだろうか。

     そうだ,裁判所の職員さんに電話で聞いてみよっと。

     もしもし,すみません,先日,100万円の裁判で,勝訴判決をもらった者なんですけど,先方が控訴したかどうかって,わかりますか?

     少々お待ちくださいね。えーと,確認したところ,Bさんのほうは控訴していないですね。ということで,判決は確定になりましたね。

     やったー,これで裁判確定したんだ。はー,よかったよかった。じゃあ,すみません,100万円は,いつ払ってもらえるのでしょうか?

     えっと,それを裁判所に聞かれても,こちらではわからないですよ。

     ええぇ,どういうことですか?だって,裁判所で,100万円はらってもらえるっていう裁判をして,勝訴の判決文までもらったんですから,この100万円,もらえるんじゃないんですか?

     それはですね,みなさん,誤解しているのですが,裁判所で判決が出ても,そのあと,裁判所の方で,相手のBさんからお金を取り上げて,そちらにお支払いするっていう制度は,ないんです。

     判決文が出ても,Bさんが支払いをしないのであれば,今度は,「強制執行」という手続をする必要があるんです。

     ええー,そうだったんですか。もう裁判だけでこんなに時間がかかったのに,まだお金がもらえるわけじゃないんですね。はー大変だなぁ。そういえば,強制執行ってなんか聞いたことがある言葉だなあ。

     じゃあ,すみません,その強制執行,お願いできますか?

     強制執行というのは,Aさんが,まずは,ご自身で手続するものなんですよ。

     ええー,裁判所でやってくれるものではないんですか,また面倒そうだなぁ。

     はい,あのー,あまりご存知ないようなので,そもそものお話をさせていただきますが,Bさんに強制執行するということであれば,Bさんの,どんな財産に強制執行するか,Aさんのほうで,調査したりして,決める必要があるんです。たとえば,Bさんの預貯金とか,Bさんの不動産とか,そういった財産ですね。

    それが決まったら,その強制執行の手続に合った書類を,裁判所に提出していただいて,ようやく,強制執行の手続が始まることになるんです。そのため,判決を取っただけでは,強制執行になるわけではないんです。

     ええー,そうだったんですかぁ。でも,私,Bさんのことなんてよく知らないので,Bさんの預貯金口座とか,Bさんが不動産持ってるかどうかなんて,全然知らないんです。

     もしかしたら,見つからないかもしれないし,見つかっても,ほとんどお金が残ってないっていう可能性もありますよね?

     はい,そういったことは,よくありますね。

     そ,そ,その場合は,この勝訴の判決文は,どうなっちゃうんでしょうか?

     その場合は,残念ながら,結局,なにも回収できないということで,それで終わりになってしまいますね。

     ええー,長い時間をかけて,ここまでやったのに,そんなー。