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遺留分に関する民法特例:紙芝居型ブログ ブログ#104

 相続・事業承継の場面では,
多額の財産をめぐって,
トラブルになりがちです。

 そのような中で,
「遺留分に関する民法特例」
という制度があります。

 紙芝居でお伝えします。

遺留分に関する民法特例

こちらは,A君です。A君の祖父,おじいさんは,昔,地元で建設会社を作り,現在は二代目であるA君の父親が建設会社の社長を務めています。

つい先日,この建設会社の会長を務めていたA君の祖父,おじいさんが亡くなり,相続問題が発生していました。

 こちらが,A君のお父さんのBさんです。

 Bさんは建設会社の二代目社長です。

なにやら,とても困っているようです。

 あー,困った困った。いったい,どうしたらいいんだろう。

お父さん,どうかしたの。なんだか,とても大変そうだけど。

 いやぁ,父さん,ちょっと困っててさ。

 こないだ,おじいちゃん,亡くなっただろう。

 それで,遺産分割をして,おれの弟のCのやつ,お前にとっては叔父にあたる,C叔父さんいるだろ。Cおじさんが,会社の株式を半分持つことになったんだよ。

 家系図は,このようになっていました。

このように,A君のおじいさんがなくなり,A君のおじいさんは遺言書などを用意していませんでした。そのため,Cさんは,会社経営には全く関与していませんでしたが,おじいさんが所有していた会社の株式の半分を持つことになりました。

 あー,そうだったよね,それは,こないだ聞いたよ。父さん,株式っていったいなんなのかな。

 いまどきはもう株券とかも発行しないから,目に見えないものだから,いまいちイメージがわかないんだよね。

 株式っていうのは,株式会社の構成員の地位,なんていう言い方をよくするけど,簡単に言ってみれば,会社のオーナーみたいなものだな。持っている株式の数で,オーナーとしての権限の強さは様々だけど。

 へー,そうなんだ。お父さん,それで具体的に,どう困ってるの。

 今までは,おじいさんが全ての株式を持ってたから,代表取締役社長であり,唯一の株主であり,オーナーだったから,おじいさん一人で,いろいろ判断できて,ほかの株主の意見を確認したりとかは,必要なかったんだ。

それが,今回,弟のCのやつが株式を半分持った途端,もっと報告してくれとか,決算書を持ってこいとか,経営とはこうすべきとか,役員をクビにするとか,あれこれ口を出すようになってきて,対応に困ってるんだよ。でも大株主だから,対応しないわけにはいかないし,いろいろ反対されても困るしさ。

 なるほどねぇ。株主って,すごい強い権限があるんだね。じゃあ,将来,僕も父さんから,会社を継ぐ可能性があるから,こういう場合の対策について調べてみるよ。弟のDのやつとは,今は仲がいいけど,いつ,父さんとおじさんのようになるかは,わからないからね。

 うん,それはいいな。父さんも,株式は少しずつ買い戻していって,将来的には,おまえに全部譲ってやりたいと思ってる。

父さんにとっては,おまえも,Dも,実の息子だからかわいいけれど,兄弟でもこんなことになるってことがよくわかったから,会社はやっぱりお前に継がせたいから,調べてみてくれ。宜しく頼むよ。

 こうして,A君は,弁護士のところに法律相談にきました。

 こんにちは。今日は,どういったご相談ですか。

 はい,実はかくかくしかじかでして。

 A君は事情を説明しました。

 なるほど,そういったご事情だったのですね。

 なるほど,事業承継の対策というのは,いろいろありますけれども,例えば,一つ,Aさんの置かれた状況について,一緒に考えてみましょう。

 まず,お父さんのBさんの相続人としては,Aさんご自身と,弟さんのDさんがいますね。

 もし,お父さんが亡くなった場合,遺言書などがなければ,法律上は,会社の株式を含めて,Bさんの財産を全て,Aさんと弟さんのDさんとで,法定相続分である2分の1ずつ,相続することになりますね。

 そして,もし,お父さんのBさんが,ご存命中にその財産をAさんに生前贈与したり,または遺言書でAさんに相続させるという遺言をしても,原則論として,弟のDさんには,法定相続分である2分の1の,さらに,2分の1,つまり,4分の1が,「遺留分」として認められ,この遺留分については,弟のDさんからAさんに,財産をくださいと,要求できるのが原則ですね。

 そうなんですね。でも,うちには株式のほかには,特にめぼしい財産はないので,その4分の1が用意できないので,困ってしまうんです。今は,弟のDとは仲が良いですが,将来のことはわからないし,会社の社員のみなさんに迷惑をかけるわけにはいかないので,困っています。

 なるほど,そういった場合,経営承継円滑化法という法律があって,「遺留分に関する民法特例」という制度があります。

 具体的な中身としては,2種類ありまして,①除外合意という制度と,②固定合意という制度があります。

 ①の除外合意という制度は,先代経営者から後継者に贈与等がなされた株式について,遺留分の算定基礎から除外するという制度です。

 ②の固定合意という制度は,その株式について,遺留分算定基礎財産に算入する価額を合意時の時価に固定するという制度です。

 なるほど,では,もし,この除外合意ができれば,遺留分の金額を算定する際の父の財産から,株式の分を除外して,その残りの財産から,遺留分を計算すればよい,つまり,株式を除外して残った財産の4分の1が,遺留分になるということですね。

 はい,そうなんです。相続人になる方全員の同意や,家庭裁判所の許可や,経済産業大臣の確認など,いろいろな条件がありますが,これができれば,Aさんのケースでは,めぼしい財産が会社の株式だけということであれば,株式を除外できれば,遺留分の額はとても少なくなる可能性がありますね。

 なるほど,ありがとうございます,頑張ってみます。

 Aさんは,早速,お父さんに,この除外合意の制度を説明しました。

 なるほど,そんな制度があったのかぁ。父さんも,この制度を使っておけば,株式が分散することもなかったのになぁ。

やっぱり,知らないで損することって,たくさんあるな。

 よし,じゃあ,さっそく,この民法特例の除外合意の制度の手続にとりかかってくれ。お前とお前の弟のDとは,今は仲が良いから,この除外合意ができる可能性があると思うし,それに,おれとCおじさんのように,将来的には,どうなるかわからないからな。

 うん,父さん,そうだね,わかったよ。さっそく,弟のDに説明してくるよ。

 こうして,Aさんは,弟のDさんに,この遺留分に関する民法特例の話をしました。Dさんも,このAさんの提案の趣旨をよく理解し,快く承諾し,合意書を作りました。

 そして,経済産業大臣の確認や家庭裁判所の許可をとるという手続を行いました。

 こうして,無事に手続は全て終了しました。

 これで,安心して,本業に集中できるぞ。やったー。

    相続・事業承継対策:紙芝居型ブログ ブログ#103

     兄弟だからわかってくれるはず!!
    と思っていると,大変な目に遭うケース,
    たくさんあります。

     特に,相続・事業承継の場面,
    「人生で一番大きな財産を手に入れる瞬間」
    と言われたりしますが,

     特にそんな場面は,
    難しいことがあります。

     このあたり,
    紙芝居でお伝えします。

    相続・事業承継

    こちらは,A君です。A君の祖父,おじいさんは,昔,地元で建設会社を作り,現在は二代目であるA君の父親が建設会社の社長を務めています。

    つい先日,この建設会社の会長を務めていたA君の祖父,おじいさんが亡くなり,相続問題が発生していました。

     こちらが,A君のお父さんのBさんです。なにやら,とても困っているようです。

     あー,困った困った。いったい,どうしたらいいんだろう。

     このとき,ちょうど,A君が帰宅しました。

    お父さん,どうかしたの。とても大変そうだけど。

     おお,おかえり。いやぁ,父さん,ちょっと困っててさ。

     こないだ,おじいちゃん,亡くなっただろう。

     あれから2か月くらいたったっていうことで,弟のCから連絡があってさ。Cおじさん,わかるだろう。あいつがさ。

     そろそろ遺産分割をしようっていうんだよ。

     遺産分割っていったって,おじいちゃんの遺産なんて,めぼしいものは,我々が住んでいる,この家くらいだろう。

     あと,会社の株式なんて,うちは別に上場企業じゃないし,弟のCはまったく会社の経営にはタッチしてないんだから,会社の株式があったってしょうがないだろ。

     家系図は,このようになっていました。

    このように,A君のおじいさんがなくなったことで,A君のお父さんのBさんと,その弟のCさんとは,遺産分割協議をする必要がありました。もちろん,A君のおじいさんは遺言書などを用意していませんでした。

     それでさ,Cのやつ,とにかく,法律通りにやってくれ,法律上,兄弟だから,遺産を全てキッチリ半分ずつにしろ,なんてしつこく言うんだよ。

     でも,この家を半分あげるわけにはいかないし,株式だって,社長のおれが持ってるべきで,経営にまったくタッチしてないCのやつに,渡すわけにもいかないだろ。

     そ,そうなんだ,とっても大変な状況なんだね。

     そうなんだよ,困ったよ。

     プルルルル

     お,電話だ,税理士の先生からだ

     はい,もしもし,ええー,そ,そ,そんなぁ

     相続税ってそんなに高いんですか。遺産には現金がほとんどないので,相続税,おさめようがないですよ。

     ええー,10か月,たった10ヶ月しか猶予がないんですか。

     だって,49日とかもあるわけだから,なかなか動き出せなかったし,なんだかんだで,もう3か月たっちゃいましたよ。

     しかも,なんとか相続税のためのお金を作るとしたら,今,妻と息子と住んでる,この家を売らないといけないですよ。そんなに焦って売ったら,安く買い叩かれちゃいますよね。

     どうしたらいいんですか?え,今さら,どうしようもない,そ,そ,そんなー。

     あー困った困った。よし,とりあえず,弟のところにいって,今はとにかくどうしようもないことを説明してこよう。

     こちらは,Cさんです。CさんはBさんの弟です。A君にとっては叔父にあたります。

     お隣は,Cさんの奥さんのD子さんです。

     なあ,D子,B兄さん,相当困ってたぞ。D子がとにかく厳しく言えっていうから,言ってみたけど,さすがにちょっとかわいそうじゃないか。

     あなた,なに甘い事言ってるの。あなたは,まったく建設会社にはかかわらせてもらえなくて,ふつうに企業に就職して大変な思いしてるんだから,その分,お返ししてもらわなきゃでしょ。

     うーん,まあそうだけどさぁ。兄さん,なんだかんだで,いつも節目節目には,おれのこと,今まで,助けてくれたりしたんだよな。父さんと大ゲンカしたときなんか,いつもこっそり兄さんが間にはいってくれて助けてくれてさ。それ考えると,その兄さんがあれだけ困ってるんだから,少しは譲ってあげたらどうかな。

     あなた,ふざけないでよ。あたしたちだって苦しいながらも必死に生きてるのよ。苦しいのはみんな同じよ。それに,相続って,人生で一番大金が手に入る瞬間の一つ,なんていうでしょ。

     1円たりとも譲れないわ。あなた,お兄さんと私たち家族,どっちが大事なの。もし,あなたがお兄さんをとるなら,子供を連れて出ていかせてもらいます。

     ちょっと,待てよ。わかったわかった,お前の言うとおりにするよ。おれにはお前が一番大切だって言ってるだろう。わかってくれよ。

     こうして,Cさんから,1円たりとも譲れないと言われたBさんは困り果ててしまいました。

     その結果,Bさんは,自宅をCさんと二人で共有することになり,毎月,Cさんに家賃を支払うことになりました。

     また,建設会社のほうは,BさんとCさんが株式を半分ずつ持ち合うことになり,それ以降,Bさんは,Cさんにも会社の経営を逐一報告したり,株主総会をひらくなど,さまざまな手続に追われるようになりました。

     はー,弟のCのやつと,奥さんのD子さんが,株主だからって,経営のこと全然わかってないのに,あれこれ口だしてきて,勝手なことたくさん言うようになって,業績がどんどん落ちちゃったよ。

     やっぱり,経営がわかってないのに,口出されると,こうなっちゃうんだよなぁ。

     A君は,こんなお父さんの姿を見て,こう思いました。相続って,とても大変なことなんだな。僕も,いずれ,この会社をついで3代目になるかもしれないから,今から勉強しておこう。いったい何の勉強したらいいんだろう。

     A君はインターネットを見ていました。

    へー,ファイナンシャルプランナーっていう仕事があるのか,へー,相続や事業承継の強い味方,そうなんだ,よし,ファイナンシャルプランナーの勉強をしよう。

     こうして,A君は,ファイナンシャルプランナーの勉強をして,めでたく資格をとりました。

     そして,社長であるお父さんのBさんにこんな提案をしました。

     お父さん,ぼく,ファイナンシャルプランナーの資格もとれたから,会社で仕事をしながら,同時に,相続や事業承継対策をするよ。

     おお,それはいいな。父さんの時は何も対策していなかったからひどい目にあったから,お前にはこんな目にあってほしくないからな。

    じゃあ,相続・事業承継対策は,全部おまえに任せるからどんどんやってくれ。

     今回,父さんが困ったことの一つ目は,やっぱり,何といっても,まず,とにかく,相続税額が高くて困ったことだな。相続税って,こんなにかかるなんてな。もっとかしこく,低く抑えられないのかな。

     もう一つ,今回,父さんが困ったことは,会社の株式が分散してしまったことだよ。これから少しずつ,父さんが買い戻していくから,将来的に,全部お前に持たせてやりたいよ。もちろん,お前の弟も,父さんにとっては実の息子だからかわいいけれども,会社は長男のおまえに継がせたいと思ってるから,株式が分散しないように,対策してくれるとありがたいよ。

     こうして,A君は,相続・事業承継対策に取り組みました。

     A君は,またまた,インターネットを見ていました。

    へー,なるほど,生命保険の保険金は,税務上は,相続税の計算をするときには,法定相続人の数に500万円をかけた金額の合計額分が,非課税になることがあるんだ。これはとってもお得だな。現金で持っていたら全部課税されちゃって相続税が高くなっちゃうけど,これなら部分的に非課税にできるのか。やったー。

     え,しかも,特定の相続人が受取人になっている生命保険の保険金は,民法上は,受取人固有のものになって,相続財産からはずれて,遺産分割手続とかがいらなくなることがあるんだ。知らなかったなぁ。

    それだったら,この生命保険金を,相続・事業承継のための資金にすればいいんだ。そうすれば,公平な遺産分割をするための資金にできるぞ。やったー。

     へー,ほかにも,事業承継の際に受けられる融資とか,自社株式を遺留分算定基礎から除外する合意の制度,自己株式の価値を見直して節税する,とか,いろいろな方法があるんだなぁ。やっぱり,『知ってる』と『得』することって,いっぱいありそうだなぁ。

     あれ,これなんだろ,「改正事業承継税制」というのがあって,期間限定だったり,いろいろ条件は厳しいですが,条件をクリアできれば,株式に関する贈与税や相続税を,なんと最大100%免除してもらえるかもしれない!!,へー,すごい,こういう制度ができたんだ。勉強になるなぁ。この条件は難しそうだけど,チャレンジする価値はあるな。

     こうして,A君は,様々な,相続・事業承継対策のプランを作りました。

     そして,ある日のこと,A君はこれをお父さんのBさんに見せました。

     お父さん,会社の相続・事業承継対策のプランできあがったよ。

     A君は,プランの中身をお父さんに説明しました。

     おお,なるほど,こんな方法があるのか,やっぱり,『知ってる』と『得』することって,いっぱいあるんだな。それを痛感したよ。

    それにしても,よく調べてくれたよ。よくやってくれた。本当によくやってくれた。よし,これで本業に集中できるな。ありがとうな。

     うん,父さん,僕ももっとがんばるよ!!