2019年 5月 の投稿一覧

過半数代表者選出の有効性:紙芝居型ブログ ブログ#130


 
 「悪気はなかった」
 「そんなつもりじゃなかった」
 しかし,会社に関する法律だと,
大変なことになってしまう,
 一例を紙芝居にしてみました。

<過半数代表者選出の有効性>

 こちらは,A社長です。

 A社長は,食品の卸売会社を経営しています。

 なにやら,悩んでいるようです。

 うーん,最近,いろんなところで,働き方改革っていう言葉がはやっているよなあ。会社が新たに対応しなきゃいけないことも多くて,ほんと,まいっちゃうよなぁ。

 こちらは,B専務です。B専務は,マジメで几帳面な性格で,長い間,社長の右腕として,社長を支え続けています。

 社長,今よろしいでしょうか。

 引き続き,わが社でも働き方改革の潮流にのるべく,社内改革を進めている中,改革案の一つとして,やはり,従業員の残業代負担が大きいです。

そこで,一年単位の変形労働時間制にすべきだと思います。

これをうまく使って,人件費負担を減らすべきだと思います。

 なるほど,それはいいな。ぜひ,やってくれ。

 はい,ありがとうございます。それと,専門業務型裁量労働制を採用することで,さらに人件費負担を減らせる可能性もあります。

 おお,そうなのか,ぜひそれもやってくれ。

 はい,わかりました。すぐに取り掛かります。

 それからしばらくしてからのことです。

 社長,いまよろしいでしょうか。

 先日の,変形労働時間制の導入や,専門業務型裁量労働制の導入にあたって,わが社の労働者の過半数を代表する者,いわゆる過半数代表者

の選出は,どうすればよろしいでしょうか。

 あー,それはよくわからないけれども,たしか,今までずっと,毎年,その年の社員親睦会の幹事を,その過半数代表者に,自動的にしていたと思うので,今年は,C君だな。C君をその過半数代表者として,手続を進めておいてくれ。

 そうでしたか,はい,わかりました。

 こうして,変形労働時間制や,専門業務型裁量労働制が開始され,会社の人件費負担が軽くなりました。

そして,2年の月日が経ちました。

 こちらは,B専務です。

 なにやら,慌てているようです。

 社長,大変です。

複数の従業員が,うちの会社の過半数代表者の選出は無効だから,変形労働時間制や専門業務型裁量労働制も無効だと主張しています。そのため,変形労働時間制や専門業務型裁量労働制がなかったものとして,足りない給料2年分をさかのぼって,一気に支払え,などと騒いでいます。詳しいことは,インターネットに書いてある,だそうです。

 ええー,いったいどういうことなんだ。なんで,いきなりそんなことをいうのだ。わけがわからんぞ。いったいどうしたらいいんだ。

 そうだ,とりあえず,就業規則やこういった手続きの専門家の先生のところに相談に行ってみよう。

 こちらは,D社会保険労務士です。

 こんにちは。今日は,どうされましたか?

 どうも,初めまして。突然すみません。実は,かくかくしかじかでして。

 A社長は,これまでの経緯を説明しました。

 なるほどぉ。そうでしたか。それは困ったことになりましたね。

 実はこういったケース,最近,とても増えているのです。

 どういうことかというと,変形労働時間制や専門業務型裁量労働制を採用する際の,会社の過半数代表労働者の選出の手続は,しっかりと,適正に行わなければならないのです。

 しかし,実際には,会社の親睦会の幹事を,そのまま過半数代表にしてしまう,ということはよくあるのです。法律上は,それはダメなのですが,今までは,あまり文句を言う人も少なかったので,問題が表面化してこなかったという面はあります。

 ええー,そうだったのですか。会社としては,まったく,悪気はなく,ただ,今までそうしていたのを,継続していたというだけでして,他意はなかったのですが。

 はい,そういったケースはとても多いですね。ただ,知らなかっただけ,というケースが多いです。

 細かい話ですが,まず,法律上,過半数代表者は,労基法41条2号の管理監督者という,立場の方はなれません。

 また,会社の代表者の方が,特定の方を指名するなどして決定するということも許されません。

 そして,選出手続きは,投票や挙手その他従業員さんの話し合いなど,過半数の方がその方の選任を支持していることが,明確になる民主的な手続きが必要です。そして,それを記録に残しておくべきですね。

 ここでいう過半数というのは,パートやアルバイトの方も含みます。派遣の方は含まれません。

 また,選出の際は,こうした労基法上のいろいろな大切な手続きのための過半数代表者を選出するということを,しっかりとみなさんが理解したうえで,選出する必要があるのです。

 なるほど,そうだったのですね。知りませんでした。そのあたり,かなり適当に考えてしまっておりました。

 そうしましたら,先生,うちの場合,このあと,どうなっちゃうのでしょうか。

 誠に申し上げづらいですが,最悪の場合,過半数代表者の選出が無効ということで,2年前にさかのぼって,変形労働時間制や専門業務型裁量労働制も無効となり,お給料2年分をさかのぼって,足りない部分を支払わなければならない可能性がありますね。

 ええー,そんなー

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ヒヤリハット!犯人探す?再発防ぐ?:紙芝居型ブログ ブログ#129

 ヒヤリハット発生のとき,
どのような状態を目指しますか?

 そのために,どんな行動を選びますか?

 一案を紙芝居にしてみました。

<ヒヤリハット!犯人探す?再発防ぐ?>

 こちらは,とある,大規模建設現場を手掛ける会社の現場監督をしている,A監督とB監督です。

 A監督もB監督も,複数の現場を担当し,それぞれの現場で,多くの社員や協力スタッフを抱えて,現場を監督していました。毎日,いろいろなことが起きるなかで,必死にがんばって,プロジェクトを進めていました。

A監督は,体育会系出身で,強力なリーダーシップを発揮していました。自分にも他人にも厳しい,ストイックな性格でした。

 他方,B監督は,小さいころから読書が大好きで,文学少年でした。若干,たよりないと言われたり,建設現場に向いていないと言われこともありますが,やさしい性格で,細やかな配慮ができる性格でした。

 こちらは,社長です。ある日のことです。社長は,A監督とB監督を呼び出しました。

 コンコンコン,失礼します。

 おお,AさんとBさん,今日来てもらったのは,実は,わが社の,現場で,最近,ヒヤリハットや小さい事故が頻発しています。万が一,大規模な事故が発生したら大変なことになります。お二人とも,複数の現場を監督し,やることが膨大にある中で,大変だということは重々承知なのですが,

やはり,なんとしても,事故は防がなければなりません。そこで,急ぎ,ヒヤリハットや,小さい事故がなくなるよう,対策を行ってください。方法はお任せします。

 はい,わかりました。

 A監督は,持ち前の強力なリーダーシップを発揮しました。

大急ぎで,事故やヒヤリハットを報告させる仕組みを作り,現場に浸透させました。監視カメラの数を一気に増やすとともに,誰が,いつ,何時何分に,どんなことを起こしたのか,現場作業員がお互いに監視し合うような仕組みを作り上げました。

 特に,ヒヤリハット・事故を起こした者には,厳格な聞き取り調査を行い,反省文の提出をさせ,二度とヒヤリハット・事故が起きないように,A監督自ら直接注意をしました。

 この結果,A監督が監督する現場では,あっという間に,ヒヤリハットや事故の件数が減少していきました。

 他方で,A監督の現場は,常に,緊張感が漂うようになりました。作業員同士のコミュニケーションも減っていきました。また,現場から意見が出ることが少なくなっていきました。作業員は,ミスをしたことを自分からなかなか言い出せない空気になりました。そして,徐々に退職者が増えていきました。

 他方,こちらは,B監督です。

 B監督は,A監督のような強力なリーダーシップを発揮することができず,すぐには,有効なヒヤリハットや事故の対策を実施することができず,時間が過ぎてしまいました。

 B監督は,まず,各現場ごとに,ヒヤリハットや事故の予防策について,現場作業員同士での会議・コミュニケーションの場を増やし,アイデアを募集しました。 

 そして,現場作業員に対し,人がやることについて,ミスを0にすることはできないけれども,ミスを限りなく0に近づけることについて,みなで力を合わせることはできることを説明し続けました。

 そして,ヒヤリハットや事故があった際には,お互いに,勇気をもって報告し合い,犯人さがしはせずに,再発防止策をみんなで考える,というルールをつくりました。

 この結果,B監督の担当現場では,A監督ほど,すぐには,ヒヤリハットや事故が減りませんでした。徐々に効果が出るまで,時間がかかりました。

そのかわり,現場の雰囲気やコミュニケーションは良好でした。

そして,日々,現場から出てきたアイデアをもとに,再発防止策のノウハウを蓄積していくことができました。

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