紙芝居型ブログ

管理監督者:紙芝居型ブログ ブログ#95

「部長にすれば残業代払わなくていいよね?」
というご質問,とても多くいただきます。

でも,そんな法律,
あるのでしょうか?

法律を正確に理解しておかないと,
思わぬ事態になってしまう,
典型例,紙芝居でお伝えします。

管理監督者

A社長は,弁護士のところに,法律相談に来ました。

どうも先生,お世話になっております。

これはA社長,お世話になっております。

今日は,突然,どうされましたか

いやー,先生,ちょっと聞いてくださいよ。

実は,新卒で入って3年目のB君なんですが,いずれは,私の右腕として育て上げたいと思ってまして。それで,すこし厳しめに指導していたのですが,

突然,未払残業代300万円を支払えという,内容証明郵便を送ってきまして。

あー,そうでしたか。それは大変なことになりましたね。

残業代は,払っていなかったのですか?

いやいや,ちょっと,先生,聞いてくださいよ。

まあ,たしかに,彼には期待しているので,ほかの社員よりも長く働いてもらってまして。あと,深夜時間の勤務もありまして。ただ,かといって,いま,残業代をたくさん払うわけにもなかなかいかなかったので,ここは思い切って,

彼を一気に,部長に格上げしたんですよ。

まあ,給与とか,はたらき方とか,待遇はまったく変わらないんですが,肩書だけ部長にかえまして。

先生,そうすれば,残業代って,払わなくていいんですよね?

いえいえ,社長,それは違うんですよ。

みなさん,そのように誤解している人が多いんですが,そうではないんです。

部長にすれば,残業代を払わなくてよいという法律はないんです。

ええ,そうなんですか!!

そうなんです。みなさん,よく誤解されているのですが,部長などの肩書で判断するのではないのです。

法律上,「管理監督者」という,いわば,実質的に,経営者と一体的な立場になっているような場合には,時間外手当を払わなくてよいとされる場合があります。

たとえば,ほかの普通の従業員さんとは違って,その労働時間を自由に決めさせたり,本人の裁量を広くしたり,人事権を持たせたり,その地位にふさわしい待遇をしていたりすれば,この法律上の管理監督者と認めてもらえる場合がありますが,これはなかなかハードルは高くて,なかなか認められないんです。

そうだったんですか。

はい,それと,管理監督者であっても,深夜時間,つまり,午後10時から翌朝午前5時までの割増賃金は,しっかりと払わなければなりません。また,労働時間管理も同じく,しっかりと行う必要があります。

てことは,やっぱり,うちの会社,裁判起こされたら,負けますかね?

残念ながら,その可能性は高いですね

ええー,そんなー!!

改正労働者派遣法:紙芝居型ブログ ブログ#94

労働者派遣法が改正され,
もともと難しい法律がさらに・・・

思わぬ落とし穴に落ちないよう,
事前の対策が大切ですね。

紙芝居で,ご紹介します。

改正労働者派遣法

A君は,もともと,システム開発の勉強をしていたことから,システム開発会社で,プログラマーとして働きたいと思っていました。

派遣会社に登録したら,運よく,システム開発会社で,派遣社員として働けることになったぞ。よし,仕事をがんばって,そして,スキルアップするぞ。

A君は,平成27年10月1日,会社の唯一の派遣社員として,働き始めました。

その2年6か月後のことです

平成30年4月,

こちらは,B部長です。

B部長は,人事部長に昇進しました。

B部長は,もともと,営業部出身で,一生懸命仕事にとりくみ,社内で一番の営業成績をあげていました。B部長は,そのがんばりが評価された結果,B部長にとってはじめての部長職として,人事部長に就任しました。

やっと,私も,部長になれたぞ。がんばった甲斐があったなぁ。

さてさて,部長にはなれたものの,人事部の仕事なんてまったくわからないから,いそいで,部下にも教えてもらいながら,人事の勉強をしなきゃだな。よし,がんばるぞ。

そういえば,最近,なんか,労働者派遣法が改正されたって聞いたなぁ。

まあでも,まだ,人事のこと,全然わからないし,これから勉強するところだから,労働者派遣法の勉強はとりあえず後回しだな。

このように,B部長は,労働者派遣法が改正されたことは知りつつも,特に,なにも対策をしませんでした。

その後,A君の派遣契約が更新されました。その結果,A君は,入社して4年目になりました。

B部長,今,お話させていただけますでしょうか?

おー,A君,どうしたの。いつもがんばってくれているねぇ。

ありがとうございます。B部長,今日は,大事なお話がありまして。私,会社に対して,労働契約の申込みの承諾をします。

え,なんだって?労働契約の申込みの承諾と言ったって,君は,派遣社員として,派遣会社とのあいだで労働契約を締結して,もうすでにわが社で派遣社員として,働いているじゃないか?

ですから,今日,会社に対して,労働契約の申込みの承諾をします。労働者派遣法が改正されたの,ご存じないようですね。

労働者派遣法が改正されまして,個人単位の期間制限と言いまして,

派遣労働者を,3年を超えて同一の「課」などに受け入れてはいけないんです。別の「課」に代えるなどの対応をしなければいけないのです。

これに違反した場合,会社は,その派遣労働者に対して,労働契約の申込みをしたとみなされるのです。

そこで,私は,その申込に対して,承諾します。つまり,たった今から,会社と私との間で,従前と同一の労働条件で,労働契約成立したことになるのです。

ええー,そんなー

その結果,A君は,派遣会社ではなく,直接,この勤務先の会社に雇われることになりました。

1年後

昨年のA君のことは本当に驚いたな。あんな法律があるなんて,びっくりだよ。ほんと気を付けなきゃいけないな。

そういえば,今月からまた,わが社で2人目の派遣社員のC君を受け入れるんだったな。次は絶対,3年の間に,ちゃんと所属する「課」を変更しよう。

3年後になりました。

B部長は,C君の更新時期に合わせて,C君を別の「課」で働かせました

ふー,今回はちゃんと,派遣社員のC君を,別の「課」に変更したぞ,忘れないで,よかったよかった。これで安心だ。

その後のことです。

B部長,今,お話させていただけますでしょうか?

ええ,C君,どうしたの。なんだかこわいなぁ。どしたの?

B部長,今日は,大事なお話がありまして。私,会社に対して,労働契約の申込みの承諾をします。

ええー,なんだって?労働契約の申込みの承諾と言ったって,私はちゃんと,君の「所属部署」の「課」を変えたじゃないか。

B部長,労働者派遣法が改正されたの,ご存じないようですね。

労働者派遣法が改正されまして,事業所単位の期間制限というルールができたんです。

これは,派遣労働者を,3年を超えて受け入れる場合,その事業所の過半数代表者または過半数労働組合の「意見聴取手続」というものをしなければならないのです。

これに違反した場合,会社は,その派遣労働者に対して,労働契約の申込みをしたとみなされるのです。

そこで,私は,その申込に対して,承諾します。つまり,たった今から,会社と私との間で,従前と同一の労働条件で,労働契約成立したことになるのです。

ええー,そんなー