紙芝居型ブログ

年5日の有給休暇の確実な取得:紙芝居型ブログ ブログ#89

 働き方改革で,
「年5日の有給休暇の確実な取得」
が始まることになりました。

 こちら,
紙芝居型ブログでご紹介します。


年5日の有給休暇の確実な取得


こちらA社長です
A社長は印刷会社を経営しています。



なんか最近,有給休暇に関して新しい法律ができたらしいんだよな
働き方改革っていう言葉もよく聞くし,うちもちゃんとしとかなきゃな
とりあえずちょっと顧問の社会保険労務士の先生のところに相談に行ってみよう


こちらは社会保険労務士のB先生です
これはこれはA社長いつもお世話になっております,今日はどういったご相談ですか


あー,どうもB先生, いつも大変お世話になっております
今日は有給休暇についてお聞きしたくて。なんか最近働き方改革っていう言葉をよく聞きまして,
有給休暇についても何か新しい法律できたらしいですよね



そうなんですよ。これがまたなかなかしっかりと対応しなければいけない法律でして。
「年5日の有給休暇の確実な取得」と言われている法律ですね。


具体的にはですね,簡単に言うと,年間で10日以上の有給休暇がもらえる人に関しては,その有給休暇が付与された日から一年以内に,少なくとも5日間は確実に有給休暇をとっていただくようにしないといけない,というような法律なんです



なるほど,そういった法律ができたんですね。確かにうちの会社でも実際に有給休暇はあるとはいえ,なかなか取得するっていう方,少ないんですよ
実際仕事がかなり忙しいというのもあって,何か病気とかでもない限りは,有給休暇はつかわないという方が多いですね。
休んでしまうと職場のみんなに迷惑をかけてしまうという意識も強いんだと思います。



はい,そういったケースは,多いですよね。そうなんです。そういったことが多いのでなかなか有給休暇は使われないことも多いですね。
ただ,やっぱり,社員さんの健康管理もとても重要なものですから,こういった法律が出来たという背景もありますね



B先生,ちなみになんですけど,うちはなかなか仕事が忙しくて有給休暇は取れない,
そういう状況があるんですが,その分ボーナスでなるべく還元したいと思っていて
ボーナスを支払わせてもらっています。 もし有給休暇をたくさん取るという方が増えてくると
そのぶん売り上げが下がってくることが予想されるので,そうなりましたら,やはり有休をとる人と取らない人のバランスから,有給休暇を取って出勤日数が減った人ボーナスの査定の際には,
その分少なく査定せざるを得ないと思うんですが,それは大丈夫なんでしょうか



いえいえいえ,社長それはまずいと思います。有給休暇は法律で定められた権利ですので,
有給休暇を取ったことを理由としてボーナスの査定を低くしたりするということは違法の可能性が高いと思います



なるほどそうなんですね。それは気をつけないといけないですね。
うっかりしてしまうところでした。ありがとうございます



それにしても先生,実際のところ,この法律を全ての会社さんがしっかりと守る,というのもなかなか難しいのかもしれないという風に予想しているんですが,もしこれができなかった場合どういうことがあるんでしょうか



はい,その場合には,罰金の対象になってしまうという可能性がありますので,やはりしっかりと取り組む必要がありますね



そうですね,おっしゃる通りしっかりと取り組む必要がありますね
では,従業員の方で,自ら有給休暇を取られる人はよいとして,自ら有給休暇を取ろうとしない人がいましたら,会社の方で年五日分の有給休暇の日を指定すればよいということでしょうか?



いえいえ,いきなり会社の方で,有給休暇の日を一方的に指定するのではなくて,まずは,ご本人が,自ら有休休暇を取得するよう促してください。それでも,有給休暇を取らない方については,会社さんの方で,その従業員さんの有給休暇の取得希望日のご意見をお聞きして,なるべくそれを尊重して,有給休暇の日を指定する必要がありますね



なるほど,そうなんですね,わかりました。ちなみに,半日単位や,時間単位の有給休暇もありますが,その「年5日分の有給休暇の確実な取得」に,半日単位や時間単位の有給休暇も,含まれるのでしょうか。



半日単位の有給休暇は,0.5日としてカウントされますが,時間単位の有給休暇はカウントされません。

 なるほど,そうなのですね。



それにしても,そうすると,会社のほうは,この5日分の有給休暇の管理がなかなか難しいかもしれませんね。
人によって入社日も違うので,10日の有給休暇が付与される基準日というのもバラバラなので。



そうなんです。会社さんの管理の手間が大変になる面はありますね。
そこで,対策はいくつかありまして,例えば,



従業員さんが不利にならない形で,有給休暇の付与の基準日を前倒しして,たとえば,月初め,月初の日に統一すると,管理はラクになりますね。



それと,有給休暇の計画的付与制度,という制度があります。
これは,少なくとも5日分は,従業員さんが自由に有給休暇を取得する日を保障し,5日を超える分について,会社さんのほうで,労使協定に基づいて,計画的に,有給休暇を付与するという制度です。



これをするためには,2つの条件があります。
一つは,予め,就業規則に規定をしておくことです。
もう一つは,労使協定,つまり,労働者の過半数を代表する方もしくは,労働者の過半数で組織する労働組合との間で,書面による協定を締結する必要があります。
ちなみに,この労使協定は,所轄の労働基準監督署に届け出る必要はありません。



なるほど,いろいろ,工夫できるということですね。
ありがとうございます。がんばります。

最近よくある労務相談のやりとり:紙芝居型ブログ ブログ#71

 最近,よくある
労務相談の際のやりとりを,

 紙芝居型で,お伝えします。



こんにちは,今日はよろしくおねがいします。



どうも,こんにちは,今日は,どういったご相談ですか。



はい,うちの会社は,労働時間がとても長く,残業も多いのですが,



残業代は一律3万円と決められていて,それ以上は,どれだけ残業しても支払われないのですが,インターネットなどで調べたところによると,それは違法の可能性があると聞きまして。



なるほど,おっしゃるとおり,そういったケースは違法の可能性がありますね。



では,請求すれば,会社は残業代を全部払ってくれますかね?

 その可能性もありますし,払ってくれない可能性もありますね。その点は,まずは,会社の対応次第ですね。

 払ってくれない場合は,どうしたらいいのでしょうか?



いろいろな方法・プラセスがありますが,最終的には,民事訴訟など,裁判になりますね。
ただ,なかなか,お勤め先を訴えるのは,抵抗がありますよね。



いえ,実は,私,今,会社に行ってないものでして。

 それは,どういったご事情があるのですか

実は,毎日がんばり過ぎて,体調を壊してしまいまして。

 そうでしたか,今,どのような症状がありますか



うつ病になってしまいまして,特に,会社に行こうとすると,気分が悪くなってしまうんです。なので,場合によっては,退職することも考えています。

 そうでしたか,それはお辛いですね


あのー,うちの会社は,36協定というものを作っていないらしいのですが,これは法律違反なのでしょうか?



はい,労働基準法36条により,従業員の方に残業をしてもらうためには,会社は36協定というものを作って,管轄の労基署に届け出をしておかなければ,いけないんです。

 やっぱりそうだったのですね。



はい,悪質なケースでは,労基法違反企業として,企業名を公表されてしまい,社会的な信用を失ったりして,新規採用が難しくなったりすることもありますね。



あと,刑事罰を科されることもあります。



次に,労災について聞きたいんですけど,普通,労災というと,工場などの作業中にケガをしたような場合をイメージするんですが,私は,労災にはならないですよね?
労災になれば,治療費を出してもらえたり,休業補償をもらえると聞いたものですから。

 精神疾患についても労災の対象なんですよ。特に,労働時間が著しく長かったり,疲労が蓄積するようなケースでは,労災が認定されることはあるんです。

 そうだったのですね。



それと,私のようなケースでは,ほかに,なにか会社に請求できることはありますでしょうか?



会社の業務が原因で,精神疾患になったということであれば,それについて,
慰謝料であったり,休業補償などの損害賠償を請求できたりする可能性もありますね。

  以上,最近よくある労務相談のやりとりをご紹介しました。
このケースのように,

当初,残業代の相談であったのが,

 そこから,

会社の労基法違反の話や,

労災認定の話,

会社に対する損害賠償請求の話と,

どんどん話が膨らんでいく,

というご相談が最近増えているように思われますので,

ご紹介しました。