紙芝居型ブログ

二人の社長と補助金:紙芝居型ブログ ブログ#101

 実は,もらえる補助金,
返済しなくてよい補助金というものが,

 中小企業を支援する施策で,
いろいろあるのですが,

 この補助金制度を
そもそも『知らない』という方が,
多いです。

 法律や制度は,
知っていると得することって,
たくさんありますね。

 そこで,今回は補助金について,
紙芝居でお伝えします。

(なお,以下の事例は過去に募集された補助金です。補助金の募集期間は短いため,現在,募集中の補助金については,事前に確認をする必要があります)

2人の社長と補助金

ここに,A社長と,B社長の,2人の社長がいました。

A社長は,電子部品の製造業を営んでおり,創業して10年になります。

 ひとりで会社を立ち上げて以来,必死の思いで働き続け,今では,見事,事業を軌道に乗せています。

しかし,A社長は,創業以来,一度も,補助金をもらったことがありませんでした。

というのは,そもそも,補助金がもらえるということ自体を知らなかったのです。

 ある日,同業者との情報交換会でのことです。

同業者

 あー,A社長,どうも,お久しぶりです。

 いやー,ちょっと,聞いてくださいよ。

 実は,わが社,ものづくり補助金という,1000万円の補助金がもらえる制度に,応募してみまして,事業計画書とか,いろいろな資料を提出してみたら,なんと,採択,つまり,合格ということで,補助金1000万円もらえることになったんですよ。

A社長

 ええ,1000万円ですか。すごい金額ですね。

 でもそれって,最終的には,返済するものですよね。

>同業者

 A社長,何を言ってるんですか。補助金というのは,原則として,融資とはちがうので,返済しなくて良いものですよ。

 A社長は,内心,こう思いました。

 補助金ってもらえるものだったのかぁ。返済しなければいけないのかなと思っていたよ。

 会社を立ち上げて以来,まったく補助金情報なんて調べたことがなかったなぁ。

 よし,わが社もチャレンジしてみるぞ

 こうして,A社長は,インターネットで補助金情報を調べて,いくつかの補助金制度に応募してみました。

 なんだか,書類がすごい多いし,言ってる言葉が難しくて,よくわからないなぁ。まあいいか。

 とにかく,応募することが大事だから,言葉にこだわらずに,書いて,出しちゃおう。

だって,わが社は,創業10年の歴史がある会社だし,商品もバンバン売れているということは,市場に評価されているということだから,補助金の審査でも,高く評価されるに違いない。

 それに,うちはものづくりをしているのであって,書類かきの仕事をしているわけじゃないから,書類作成は苦手だということは,審査する人も,わかってくれるだろう。書類なんかより,うちの商品を手に取ってくれれば,うちの商品の良さはすぐにわかってくれるだろうしな。書類なんかで,つたわるはずがない。そのあたりは,審査する人も,わかってくれるだろう。

 数か月後,補助金の採択結果の発表がありました。

 残念ながら,A社長の補助金申請は,全て不採択・不合格でした。

A社長

 なぜ,わが社が不採択・不合格なんだ,なぜだ―

場面は変わって,今度は,B社長のお話です。 

B社長は,当初から,IT企業を創業することを目指していました。

B社長は,会社を立ち上げる前から,さまざまな専門家を回って,いろいろな相談をしてから,会社を立ち上げました。

 補助金についても,いろいろと情報収集をしていました。今日も,専門家に,話を聞きに行っていました。

B社長 

 どうもすみません,私,会社を立ち上げようと思うんですけど,いろいろ補助金などももらいながら,会社をやっていきたいと思っています。

 補助金について,教えてもらえますでしょうか。

専門家

 そうでしたか。はい,遠慮なく,お聞きになってください。

 補助金情報は,知ってるか知らないかだけの差で,もらえたり,もらえなかったりすることが多いですから,ぜひ,いろいろと情報収集されて,得する側に回ってください。

B社長

 ありがとうございます。さっそくですが,いろいろ調べたところ,

創業補助金という,創業する際の補助金があると聞きまして。通常は,100万円もらえるところ,金融機関から借り入れをして事業を立ち上げるような場合は,200万円もらえると聞きまして,創業時から200万円も補助してもらえたら,とても助かるものですから,ぜひ,挑戦したいと思いまして。

専門家

 B社長,お詳しいですね。そうです,創業補助金も,有効活用するといいですね。金融機関とうまくお付き合いして,融資をしてもらうことも重要ですし,補助金に応募して,採択,つまり合格にしてもらうことも重要ですね。

B社長

 はい,創業補助金以外についても,もらえる補助金はどんどんもらいたいと思います。

 まずは,手始めに,どのようなことをすると良いでしょうか。

専門家

 はい,まずは,やっぱり,事業計画書を,作りこむことですね。

 事業計画書は,いろいろな補助金に応募するときだけでなく,金融機関へのアピールにもなります。

 そして,なにより,事業計画を作っている事業と,事業計画を作っていない事業では,業績に差が出やすいと言われていますからね。

B社長

 そうなんですね。じゃあ,早速,事業計画書を作ってみようと思います。

専門家

 いいですね。多くの経営者の方は,やっぱり毎日とても忙しく過ごされているので,なかなかじっくり,時間を作って事業計画を練ったり,事業計画を作り直したりする機会がないので,そういった時間を確保するためにも,補助金の制度や,融資の申請というのは,良い機会になりますよ。

 会社のビジョン・ミッションなど,じっくり練ってみて,気持ちが盛り上がるようなもの,ワクワクできるようなものが出来上がるといいですね。

B社長

 ほかには,どのようなポイントがありますか

専門家

 特に,重要なのは,補助金の審査のポイントをしっかり把握するということですね。

 その補助金は,どこが審査のポイントなのか,どういうアピールに点数がもらえるのか,どういうときに加点されるのか,しっかりと,募集要項・公募要領を読み込むことが大切ですね。また,詳しい人に最新の情報などを聞いてみることも大切です。

B社長

 そうなんですね。わかりました。しっかりと情報収集して,書いてみようと思います。たくさん書けば書くほど,しっかりと読み込んでもらえて,点数も高くなるでしょうか?

専門家

 それがそうとも限らないんです。多くの補助金制度は,限られた時間の中で,たくさんの申請書に評価を付けなければいけないので,量をたくさん書いても,全てしっかりと見てもらえるとは限りません。そうすると,対策としては,なるべく,読みやすくなるように,なるべく業界用語は,使わずに,わかりやすい書き方をして,一読了解型の文章にする必要があります。

それと,実は,申請書は,カラーの写真を入れたり,図やグラフを入れてもOKということが多いです。事前に,確認しておくといいですね。審査員の人が,わざわざ,会社のホームページを見てくれたり,商品の現物を見てくれるということは通常ないと思いますので,こちらから,伝わるように,しっかりとアピールしないといけないんです。

できあがったら,だれかに見てもらう,読んでもらうということも,とても重要です。というのは,どうしても,自分の業界のことは,言葉を省略してしまったりして,気づかないうちに,わかりにくい文章を書いてしまうことが多いからです。

B社長

 わかりました,がんばります。

 そして,創業補助金の採択結果発表日となりました。

 なんと,めでたく,B社長は,200万円の創業補助金をもらえることになりました。

その後,さらに,

>50万円の小規模事業者持続化補助金ももらえることになりました。

3年後,さらに

1000万円のものづくり補助金も,もらうことができました。

 B社長 

  やったー

採用内定取消:紙芝居型ブログ ブログ#100

 採用内定の取り消し,
実は,とても難しいのです。
 
 法律を間違ってしまうと,
大変なことになることがありあす。

 このあたり,
紙芝居でお伝えします。

<採用内定取り消し>

 A君は,大学4年生であり,新卒として就職活動をしていました。

 さあ,僕も就職活動がんばるぞ。なんとしても第1志望の,B社さんに入社したいな。なんとかならないかなぁ。よし,とにかく,ベストを尽くそう

A君は,B社へ履歴書を提出し,書類選考を通過しました。

やった,書類審査にとおったぞ。次は筆記試験と面接だな。

その後,A君は,筆記試験と面接を無難に乗り越えました。

ある日のこと,A君は自宅で休んでいました。

ピンポーン,Aさん,書留です

おや,なんだろな,ああ,就職を希望しているB社さんからだ。もしかして,面接の結果かな。

さあどうかなどうかな,緊張するなぁ

あ,内定通知だ。やったー。

 B社さんから内定もらえたから,もう就職活動はこれでおわりにしよっと。

> 

他方,こちらは,B社の社長です。

 いやー,最近は,本当に人手不足だなぁ。昔は,新卒で,わが社へ入社希望の学生がたくさん集まったのに,最近は全然集まらないよ。やっぱり,大手さんの人気には,なかなか勝てないんだよなぁ。

 よしこうなったら,昔だったら採用しないような学生でも,とりあえず,内定をたくさん出しちゃおう。そのあとで,もし,優秀な学生がいっぱい集まったら,そうでない学生は,内定取り消いしにしちゃおっと。だって,あくまで内定出しただけで,本採用するわけじゃないんだしな。

 とはいっても,うちの会社って,内定通知の時点で,労働条件通知書も交付して,特に入社式もないから,内定通知の時点で,採用したようなものなんだけど,まいっか。

それに,学生のほうも,うち第一志望なんて言っておきながら,実は,ほかの会社からも内定もらってて,突然,内定辞退とかいって,みんな大手に行っちゃうんだから,頭にくるよな。だから,こっちから内定取り消ししたって問題にならないだろう。

数週間後のことです。

ピンポーン,Aさん,書留です

おや,なんだろな。あれ,またB社さんからだ。

ええ,「内定取り消し通知」ええー,

 なんで,取り消しになっちゃったんだろ。こまったなぁ。そうだ,大学の就職指導課に相談してみよう。

こうして,A君は,大学に間に入ってもらい,B社へ,内定取り消しを考え直してもらうよう交渉しました。

しかし,B社は,最後まで納得せず,A君は,そのまま卒業することになってしまいました。

ひどい,ひどすぎる。B社さんが内定くれたから,もう就活終わりにしたのに,こんなのあんまりだよ。訴えてやるー

こうして裁判所での裁判がはじまりました。

A君は,こう思っていました。

それにしても,内定をもらった時点で,雇用契約はもう成立したようなものなんだから,それを一方的に取り消すなんてひどいよな。絶対,裁判でも勝てるはずだ

他方で,B社の社長はこう思っていました。

裁判なんて堅苦しいことやってるけど,あくまでうちは「内定」を出しただけなんだから,内定っていうのは,正式に採用するっていう意味じゃないんだから,わが社が負けるはずがない

こうして,A君の入社日から数えて,ちょうど,一年経過後に判決言い渡しとなりました

判決を言い渡します。

判決主文。 A君には,B社の従業員としての地位を認めます

また,B社は,A君に対し,4月1日から本日まで1年分の賃金500万円を支払いなさい

ええー,わが社の完全敗訴じゃないか,なぜだー