今回は,
よくある不当解雇裁判の流れについて,

 紙芝居型でお伝えします。

 (学習の便宜のため,
実際の裁判とは異なる部分があります)


 Aくんは、新卒で、
食品の卸売り会社の営業マンとして入社しました。

 新社会人として、
毎日を一生懸命がんばっていました。

 あー、今日も忙しい忙しい、
毎日,あちこち駆け回ってるなぁ。

 これが社会人生活ってやつかぁ。
でも、毎日充実しているなー

 ある日、会社にいたA君に、
電話がかかってきました。

 Aくん、
取引先のB社さんから電話ですよ。
なんだか怒っている様子です。


ええ、僕ですか。なんだろうなあ。はい,もしもし,

 Aくん,ちょっと,会社にきてくれ。

 はい,わかりました。

 Aくん、君はまた納品ミスをしてくれたね。
これで3ヶ月連続じゃないか。

 すいません、申し訳ございません。

 さすがにもうあきれたよ。
残念だけど、君との取引は
考えさせてもらうかもしれない。

 そこをなんとか、どうかお許しください。

 いやいや、用件は以上だから、帰ってくれ。

 はー、こまったこまった
また社長におこられちゃう。どうしよう。

 社長,怒り出したら,
とまらないし,また雷落ちちゃうよ。

 おい、Aくん、聞いたぞ、
君はまた納品ミスをしたそうじゃないか。

 B社さんとても怒っていたぞ。
もしかすると取引を断られてしまうかもしれない。

 どうしてくれるんだね。
どう責任をとるつもりだ。
残念だが、君にはやめてもらうしかないね。

 そんな、どうか、どうか許してください。
先月、こどもがうまれたばかりで、
今、自分が必死にがんばらなければ、
妻と子どもを食べさせていけないんです。

 どうか、このとおりです。

 うるさい。
三ヶ月連続で納品ミスをしておきながら
何を言っているんだ。
きみはクビだ。

 君にはね,
30日分の給料を上乗せして払う。
君はクビだ。


そこをなんとか。

 うるさい、くびだ

 こうして、Aくんは、
泣きながら、退社しました。

 二ヶ月後

 あー青空の下のゴルフは気持ちがいいねぇ。
うーん、我ながらナイスショット

 プルルルルル

 おや、電話だ。秘書のC子くんからだ。
もしもし,なんだね。

 社長、大変です。裁判所から、書類がきました。

 なかみは、訴状です。
原告は、Aくん、被告は会社となっています。

 A君は不当解雇だと主張しているそうです。

 なに、いったいどういうことだ。
なんで、我が社が被告にされるんだ。
納得がいかないぞ。
A君のミスが原因なんだし,
ちゃんと30日分の給料も上乗せしたんだし,
不当解雇なはずがない。

 こうして、裁判所での裁判が始まりました。

 まあ、裁判なんて堅苦しいことやってるけど,
Aくんはあれだけひどい仕事をしたんだから、
クビで当然だろう。

 一ヶ月分の給料を渡したから、
我が社が負けるはずがない。


裁判は、一年かかりました。

 一年後、いよいよ判決の日になりました。
傍聴席では、判決をまつ人が集まっています。

 静粛に,判決を言い渡します
判決主文
Aくんには,会社の従業員としての地位を,認めます。

 また、会社は、A君にたいし、
解雇から本日までの一年分の賃金500万円を支払いなさい。

 ええ、我が社の完全敗訴ではないか。
しかも、この一年間の給料500万円を払えなんて、
額が多すぎる。

 なぜ、我が社が負けてしまったんだー
なぜだー

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 解雇の有効性は,
ケースバイケースで判断されますが,
その判断は特に慎重にする必要があります。