「30分ミニ社員研修教材」
経営難になったときにどうすべきかについて
意見交換・意識共有したい人のための
研修教材です。
<経営難に備えて>
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こちらは,A社長です。A社長は,もともと料理が好きでした。そのため,長い間,飲食店を経営していました。もともと真面目で勤勉な性格のA社長のお店は,一時期はとても繁盛していましたが,残念ながら,不景気の波にのまれ,経営がどんどん苦しくなってしまいました。
そんなある日のことです。
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はー,困った困った。昔は経営がすごい順調だったから,銀行からたくさん借り入れをして,店舗を増やして,設備投資もたくさんして,スタッフさんの人数も一気に増やしたけれども,最近,一気に,景気が悪くなってきたなぁ。
だんだん,借り入れの返済とか,設備投資のリース料金とか,スタッフさんの人件費の支払いが厳しくなってきてしまった。
いったい,どうしたらいいんだろうか。困ったなぁ。
そんなある日のことです。
たまたま,A社長の会社の顧問弁護士のB弁護士がお店にやってきました。
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こちらが,そのB弁護士です。
社長,お久しぶりです。お元気ですか。最近,ご連絡ないので,私の方から来てみました。
今って,お邪魔しても大丈夫ですか?
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おー,先生,もちろんです。どうぞお入りください。
実は,ちょうど,先生に相談したいと思っていたことがあるんです。
今,相談しても良いですか?
はい,もちろんです。どうぞなんなりと。
はい,実は,最近,急にお店の売上が下がってきまして。
このとき,A社長は,B弁護士に会社の状況を説明しました。
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なるほどー,そうだったのですね。
もし,このままの状況が続くとしたら,考えなければならないことがあります。
まだ先のことになるかもしれませんが,経営難になったときに備えて,いつも,お伝えしていることがあるんですけど,今,お伝えしてもいいですか?
はい,ぜひ,お願いします。
承知しました。今からお伝えすることは,あらかじめ知っておいたほうが良いと思うのでお伝えしますね。
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まず,会社が経営難になることに備えて,知っておいていただきたい事というのは,経営難になったときに,よく,検討されることとして,私的整理・民事再生・破産という言葉があります。
正確にいえばもっと多くのパターンがあるのですが,あえて,わかりやすさを優先して,今日は,この3つ,私的整理,民事再生,破産の3つに絞って,説明しますね。
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説明する順番を逆にしたほうがわかりやすいと思うので,破産から説明しますね。
破産というのは,最悪の場合,借金などの債務の返済ができなくなってしまったとき,破産の手続をすることで,最終的にその借金などの責任を免除してもらう制度ですね。会社は破産によってなくなります。ちなみに,破産については,一般の方に誤解されていることが多く,過度に不安がられることが多いのですが,実際にはあり得ないことをイメージされてしまっていることもありますので,よく確認して過度に不安になりすぎないことが大切です。
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これに対して,会社がなくならない方法として,民事再生という方法があります。これも裁判所に手続をするのですが,様々な手続きをしたうえで,事業を再建するための計画を作り,それを一定以上の債権者の方に賛成してもらうなどの手続きをすることで,法的に債務を圧縮してもらうことができます。債務を圧縮して借金などの金額を少なくしてもらえるので,これで会社を再建できればまた,軌道に乗せられるという手段ですね。
この方法によれば,債権者の方にとっても,破産されてしまうよりは,回収できる資金が多くなるというメリットがありますし,会社は消滅せずに,存続できます。
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そして,最後に,民事再生のような,裁判所に申し立てをして,債務を圧縮するような方法まではとらない方法として,私的整理という言葉があります。民事再生や破産は「法的」な債務の整理になるので,その対義語のようなイメージで,法的ではなく私的な整理ということで,各債権者と個別に交渉をしたり,個別に合意をとるなどして,従前の約束を変更してもらって,事業を継続していくような手段を,私的整理と言います。
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なるほど,そうなのですね。私的整理,民事再生,破産,という3つの手段があるということ,わかりました。
そうすると,順番としては,やっぱり,私的整理から検討するということでしょうか。
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はい,そうなんです。法的整理にはいろいろなルールや手続きがあり,時間も労力もかかりますし,関係者に与える影響も大きいです。そのため,もちろん,順風満帆が一番ではあるものの,このご時世,なかなか難しい時代ですので,ベストを尽くしつつも,状況によっては,今後のいろいろな可能性を見つつ,早め早めに色々な対策を検討していくことをオススメしています。
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そのために,事前に,経営難に備えて,こういった知識をもっておいてもらいたいと思いました。事前に知識があったほうが,安心しやすくなって,よりいっそう,集中できると思うんです。
このように,苦しくなってきたときは,私的整理を検討しつつも,民事再生や破産などの局面になった場合に,どのようなことが起こるとか,どのような可能性があるということも,事前に把握したうえで,今すべき行動をとれると良いですね。
以上を,A社長に,事前にお伝えしたかったんです。
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なるほど,そういうことだったのですね。よくわかりました。ありがとうございます。