「30分ミニ社員研修教材」
失敗をおそれず挑戦しつづけることについて
意見交換・意識共有したい人のための
研修教材です。
<一緒に失敗しよう>
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こちらは,とある,デザイン会社に勤務する新入社員のA子さんです。
A子さんは,明るく元気で,まじめな性格でしたが,少し,おっちょこちょいな面がありました。
やったー,やっと,あこがれの会社に入社できたから,もう,今日から目いっぱい,がんばろっと。
フレッシュな新人の明るさに,まわりの先輩方は,A子さんに好感を持っていました。
しかし,A子さんの元気はカラ回りしてしまっていました。
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こちらは,上司のB部長です。
A子さん,君,また納品データが,まちがってるって,お客さんから連絡きちゃったよ。
え,あ,はい,すみません。今すぐ,訂正して,送りなおします。
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こちらは,先輩のCさんです。
A子さん,今,お客さんから電話があって,デザインの納期過ぎてるってお客さんからクレーム来ちゃったよ
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ええー!!あ,すいません,納期,間違って把握してました。すぐにお詫びの電話をいれます。すいません。
このように,A子さんは,その持ち前の明るさと元気で,まわりの先輩から可愛がられていたものの,失敗やミスが多い点は,まわりのみんなが心配していました。
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はあーあ,アタシ,また今日も失敗しちゃった。自分の失敗だけならまだいいけど,先輩にも迷惑かけちゃって,ホント申し訳ない気持ちでいっぱい。
このように,A子さんはとても落ち込んでしまっていました。
しかし,A子さんは,根が素直で,明るくまじめな性格のため,まわりの先輩はA子さんを温かく見守っていたのでした。
そのため,A子さんは,ますます,早く役に立てるようになりたい,早く失敗を挽回したいと,一人で,とても焦っていました。
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そんなある日のことです。
こちらは,D社長です。
D社長は,A子さんの持ち前の明るさと,思い切った行動力に期待しており,A子さんならかならず大きく成長すると信じていました。
しかし,ここ最近,A子さんがミスを連発して,落ち込んでしまっている様子を心配していました。
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うーん,A子さん,最近,落ち込んでるなぁ。最近のA子さんのデザインも,前みたいに,思い切ったデザインというより,無難なデザインが多くなってるなぁ。せっかくのA子さんの思い切りの良さを伸ばしてあげられたら,必ずや,最高のデザイナーになれると思うんだけどなぁ。いったいどうしたものか。
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そうだ,よし,私も,現場に復帰して,背中を見せよう。思い切りぶつかって,失敗する姿を目の前で見せてあげよう。
こうして,突然,D社長は,デザイナーとして現場に復帰することにしました。
実は,このD社長は,10年ほど前には,大胆かつユニークなデザインを作り出すことで業界で有名でしたが,今では,管理職として,現場には出ていませんでした。
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A子さん,ちょっといいかな。実はね,わたし,デザイン制作の現場に復帰することにしたんだよ。もう,現場を離れてしまったから,最近の流行とかには追い付いていけないかもしれないけれども,それでも,もう一度,おもいっきりチャレンジしてみようと思うんだ。思い切ってぶつかったら,失敗しても全然OKだと思うんだ。それでね,よかったら,私と一緒にプロジェクトに取り組んでもらえないかな?
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ええ!私でよろしいんですか,ぜひとも,お願いします。実は,わたし,昔,社長の制作されたデザインを見て,この業界に入ったんです。一緒にプロジェクトに参加させていただけるなんて,光栄です。
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ありがとう。じゃあさっそく,新規のデザインコンペの話が入ってきたところなんだ。強力なライバル会社もたくさんこのコンペに入っているようだよ。それでね,A案とB案,ふたつのデザインのアイデアを作ってみたんだけど,どっちが良いと思うかな。参考までに,A子さんの感想を聞かせてもらえるかな。
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ありがとうございます。拝見します,うーん,そうですね,私には,A案が素直でストレートなデザインで,B案が思い切ったユニークなデザインに感じました。
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個人的には,思い切った,ユニークなデザインのB案の好きなのですが,ライバル会社に勝たないといけないということを考えると,無難なデザインのA案のほうが良いのではないかと思います。
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なるほど,たしかに,A案とB案を比べると,A案のほうが無難に見えるよね。感想をありがとう。うーん,そうだなぁ。迷うね。よし,決めたよ。今回は,思い切って,B案で行くよ。私としては,おもいっきりやってみた結果だから,これでコンペで負けても悔いはないといえるくらいなんだ。
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それから,一か月後のことです。
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たまたま,A子さんとD社長が打合せをしているところに,コンペの結果を伝える電話がかかってきました。
はい,もしもし,はい,はい,はい,わかりました。
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あの,D社長,今のお電話,コンペの結果の電話ですよね。
どうでしたか?
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だめだったー,くやしー,残念。負けてしまった。失敗してしまったようだ。でも,まあ仕方ない。悔いはないといえるくらい,最後までがんばったからな。
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私も残念です。あのデザインならきっと喜んでもらえると思ってましたので。
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それから,また,しばらくたってからのことです。
また,新規のコンペの案件が舞い込んできました。
A子さん,また新規のデザインコンペの話が入ってきたところなんだ。強力なライバル会社もたくさんこのコンペに入っているようだよ。それでね,また,A案とB案,ふたつのデザインのアイデアを作ってみたんだけど,どっちが良いと思うかな。参考までに,A子さんの感想を聞かせてもらえるかな。
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ありがとうございます。拝見します,うーん,そうですね,私には,A案が素直でストレートなデザインで,B案が思い切ったユニークなデザインに感じました。
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個人的には,やっぱり,思い切った,ユニークなデザインのB案の好きなのですが,今回こそ,ライバル会社に勝ちたいですから,無難なデザインのA案のほうが良いのではないかと思います。
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なるほど,たしかに,A案とB案を比べると,やっぱり,A案のほうが無難に見えるよね。感想をありがとう。うーん,そうだなぁ。迷うね。よし,決めたよ。今回は,思い切って,B案で行くよ。前回は失敗してしまったから,今回は無難にいくという選択肢ももちろん正しいと思うんだけど,最後の最後まで修正を重ねて,絶対悔いがないくらいのクオリティに仕上げて,B案で勝負するよ。
はい,わかりました。私も全力で,お手伝いさせていただきます。
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それから,一か月後のことです。
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たまたま,A子さんとD社長が打合せをしているところに,コンペの結果を伝える電話がかかってきました。
はい,もしもし,はい,はい,はい,わかりました。
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あの,D社長,今のお電話,コンペの結果の電話ですよね。
どうでしたか?
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だめだったー,くやしー,なんでなんだー,残念。また失敗してしまったようだ。
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ええー,そんな,あのデザインなら絶対勝てると思ったんですけど。
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うん,本当に残念だね。でも,私も,久しぶりに現役のころを思い出して,徹夜するまで仕事に打ち込んで,全力を尽くしたよ。後悔はまったくしていないんだ。全力でぶつかって,それで失敗するのはありだと思うんだ。ここから得られたことはたくさんあると思うんだ。もし,逆に,全力を尽くさないで負けてしまったら,得られるものがなかったと思うんだ。
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なるほど,そうですね。わたし,今回,社長と一緒にお仕事させていただいて,気づいたことがあります。わたし,仕事のミスが連続してしまって,不安になってしまって,だいぶ消極的になってしまっていたんですけど,社長が全力でぶつかっていくところを見せていただいて,わたし,かなり消極的になっていたことに気づきました。
もっと積極的になりたいと思いました。
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おおー,そうか,そういってもらえると,私も,全力を出し尽くして,思いっきり玉砕した甲斐があったというものだよ。実は,私は,A子さんの良いところは,思い切りの良さだと思っていたんだ。だから,A子さんなら必ずできると信じているよ。全力で,応援するよ
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はい,ありがとうございます。がんばります。