社会保険料などの給与の天引き,
社員さんによっては,天引きの意味を誤解している,
「なにか損をしてしまっている」,
と思っていらっしゃる方もいます。
そんな方のために,この天引きの解説を,
紙芝居でお伝えします。
給与の天引き,よくある誤解
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こちらは,Aさんです。
Aさんは,新卒で,デザイン制作会社に就職しました。
Aさんは,もともと独立して社長になりたいと思っていました。
そこで,まずは,デザイン会社に就職して,経験を積み重ね,いずれは独立して社長になることを夢見ていました。
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ヤッター!!いよいよ,憧れのデザイン会社に就職できたぞ。
僕もここで力を付けて,いずれは独立して社長になるぞ。
Aさんは元々,好奇心が旺盛で,色々な仕事に積極的に取り組みました
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そしてある日のことです
はー、今月も金欠だなぁ。ついつい,スマホのゲームのアプリの課金,ついついお金払っちゃうんだよなぁ。ホント,スマホのゲームって,熱中しちゃうように,うまく作られてるよなぁ。今月,どうしようかなぁ。
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あ,そういえば,お財布に,会社のお給料の給与明細が入ってた。
これって,難しい言葉がいっぱい書いてあって,よくわかんないんだよねぇ。
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特に,この「厚生年金保険」っていう項目で,なんだか,お給料が差し引かれちゃってるんだよね。せっかくもらえるお給料がこの厚生年金保険っていう項目で,手取りが少なくなっちゃってるんだよね。
これっていったい何なんだろ。よくわからないや
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あと,「健康保険」っていう項目でも,差し引かれちゃってる。
いわゆる天引きってやつだよね。これがなければ,手取りのお給料がもっと増えるのになぁ。 よくわかんないな。まいっか。
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それから数年後のことです。
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Aさんはいよいよ念願の独立を果たし,まずは,個人事業主として独立しました。
ヤッター!!いよいよ僕も独立できたぞ。これからどんどんお仕事を取ってきて,頑張るぞ。
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それから,また数年後のことです。
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なんとか,独立して,個人事業主としてがんばってきたけど,そろそろ,少し余裕が出てきたから,株式会社を立ち上げて,一緒に働いてくれる従業員さんを探して,お給料をお支払いして,はたらいてもらおう。
こうしてAさんは 従業員を雇うことにしました。
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Aさんは,はじめて,従業員を雇うことになったことから,細かい手続などを教わりに,社会保険労務士の先生のところに,相談に行きました。
こちらは,社会保険労務士のB先生です。
どうも,A社長,はじめまして,社会保険労務士のBと申します。
今日はどういったご相談ですか?
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どうもはじめまして,私,デザイン制作をしています,Aと申します。
よろしくお願いします。今日は,はじめて人を雇うことになりましたので,手続などを教えていただきたいと思いまして。
ところで,私,今まで,会社員時代,お給料の給与明細の中身で,天引きされているのをいつも不思議に思っていまして,今日は,それについて,基本的なところから教えていただけますでしょうか。
はい,もちろんですよ。なんなりとご相談ください。
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ありがとうございます。まず,よく,給与明細に,「厚生年金保険」って書いてあって,お給料が天引きされてますよね。あれって,いったい何なんでしょうか?
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はい,それはよくいただくご質問なんですよ。厚生年金保険というのは,従業員さんが60歳以上になったときなどに年金がもらえるようにしたりするものです。
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社員さんの厚生年金保険は,個人事業主の方の国民年金を含み,さらに上乗せする年金なので,もらえる金額も原則として厚生年金のほうが多くなりますね。
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会社を立ち上げる前のころのA社長のような個人事業主と比較すると,個人事業主の方は,国民年金を全額自己負担していますが,社員さんは,国民年金を含む厚生年金保険の半額を会社に負担してもらえる,ということなんです。
会社さんのほうでは,従業員さんの厚生年金保険料の半分を負担するので,その分,会社さんは負担が大きくなりますね。
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ええ!!そうなんですか,じゃあ,人を雇ったら,その厚生年金保険の半額を会社が負担することになるんですね。大変ですね。私が個人事業主だったころは,全額自己負担していたのに。
はい,そうなんです。
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そうだったんですか。私,てっきり,なんだか天引きされるのって,手取りが減るから,損してると思ってたんですけど,個人事業主と比べると,その面では,会社員の方がうらやましいですね。
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そうなんです,そういうことなのに,天引きされていることを,一方的に損していると,誤解されている方も多いですね。
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では,B先生,「健康保険」っていう項目もあったんですけど,これはどういうことなんでしょうか?
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はい,それもよくいただくご質問ですね。健康保険というのは,社員さんが,病気やケガをしたときの病院代の7割とかを,保険から負担してもらえるっていう制度なんです。もし,これがなかったら,病院代を全額自己負担になってしまったら,病院に行けなくなってしまったりするかもしれませんからね。
そして,この場合の保険料も,社員さんと会社さんで,半額ずつ負担するんです。
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金額の単純比較はできませんが,個人事業主だったころのAさんのように,個人事業主と比較すると,個人事業主は,国民健康保険料を全額自己負担されていましたが,社員さんは,健康保険料の半額を会社に負担してもらえます。
そのため,この点も,会社の負担は増えることになりますね。
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しかも,会社で入る健康保険の場合は,傷病手当金という病気やケガで休んだ時の保障まで受けられるのに対し,国民健康保険は,原則として,傷病手当金はないんです。
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さらに,国民健康保険は家族が増えるほど保険料が高くなりますが,会社で入る健康保険は扶養する家族が増えても保険料の金額は変わらないのです。
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ええー,そうだったんですかぁ。なんだか,お給料の天引きって,手取り額が減るので,損する気持ちでしたけど,実際はそうだったんですね。
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そうなんです。さらにいえば,労災保険という,社員さんが,仕事が原因で病気やケガをしてしまったときのための保険については,会社が全額負担するんです。
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このように,社員さんを新しく雇うときには,そういった諸々の負担が発生する,色々な支払いが必要になる,ということも,しっかり頭に入れておく必要がありますね。
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なるほど,そうだったのですね。わかりました。ありがとうございます。