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近年の労働判例:福山通運事件:最高裁R2.2.28:ブログ#304

 よくあるご質問で、

「従業員の仕事のミスで第三者に会社が損害賠償した場合でも、 従業員に対して損害賠償を要求することは できないですよね?」というご質問はよくあるところ、 

 たしかに、裁判上認められにくい感はあるものの、 理論上はあり得ないわけではなく、茨城石炭商事事件(最高裁S51.7.8)は『使用者が第三者に対して使用者責任に基づく損害賠償義務を履行した場合には,使用者は,その事業の性格,規模,施設の状況,被用者の業務の内容,労働条件,勤務態度,加害行為の態様,加害行為の予防又は損失の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らし,損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において,被用者に対して求償することができる』としています。

 そして、逆に、福山通運事件のように、先に、労働者が第三者に損害賠償したあとに、労働者が使用者に逆求償するというケースについても、 最高裁は、『被用者が使用者の事業の執行について第三者に損害を加え,その損害を賠償した場合には,被用者は,上記諸般の事情に照らし,損害の公平な分担という見地から相当と認められる額について,使用者に対して求償することができるものと解すべき』としましたので、

 ということで、結局、第三者に対して、労働者が先に損害賠償をした場合も、使用者が先に損害賠償をした場合も、どちらも「損害の公平な分担という見地から相当と認められる額」について、どちらも求償できるということになります。

 ただ、結局のところ、ケースバイケースですし、必ずしも求償が認められるとは限らず、さらには、その金額の認定は難しいことが多いです。

 ちなみに、この福山通運事件は、民法715条使用者責任に関する判例であると同時に、労働判例としても重要であり、水町先生の詳解労働法の第2版にも掲載されていますね

    ビジネス書紹介27:「稲森和夫のリーダーシップ」:ブログ#303


     経営相談・ビジネスコーチングの場面において、
     
    「事業計画を作りたい・・・」
    「会社のビジョンをつくりたい・・・」
    「目標を設定して取り組む会社にしたい・・・」
    「目標をつくっても、だいたい達成しなくて、
      落ち込むから、目標つくりたいけどつくれない・・・」
     
     というご相談が多くあります。
     
     そのため、こういったご相談の際に
    ご提供できるアイデア、着眼点の引き出しを
    増やしておきたいと思っていたところ、
     
    「コミックでわかる稲盛和夫のリーダーシップ」
    監修:稲森和夫
    漫画:藤沢涼生
    脚本:新田哲嗣
    (KADOKAWA)
     
     大変勉強になりました。
     
     稲森先生は言わずと知れた経営の神様のような方で、
    言うに及ばないかと思いますが、
     
     一つあげるとすれば、
    2010年にJALが2兆3000億の負債を抱えて倒産した際、
    再生を主導し赤字続きだったJALをなんと
    営業利益1884億とし、2012年には、なんと、
    わずか2年8か月という短期間で再上場させたという
    伝説の方で、
    そのほか、偉業は枚挙にいとまがない方です。
     
     そして、本書は、
    物語をコミック形式で紹介されていて、
    とても読みやすく、かつ、解説があって勉強にもなる、
    とてもありがたい書籍でした。
     
     私なりの理解ではありますが、
    特に、興味深いと思ったのは、
     
     
    ====================
     
    「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」
     
    ====================
    という珠玉の名言でした。
     
     というのは、
    個人事業、中小企業でも、
    ビジョンや最終的な目標については、
    楽観的に考えて、自由に考えて、
    ワクワクするようなものが良いのではないかと
    思っておりまして、
     
     というのは、はじめから、
    「できないかもしれない・・・」と思っていたら、
    なかなかビジョンなど作れないですし、
     
     それで無理につくっても、
    モチベーションが上がるようなビジョンには
    ならないと思いますし、
     
     ビジョンや目標をつくるメリットとして、
     
    ①まず自分のモチベーションが上がる、
    ②方向性が定まる、
    ③軸がブレにくくなる、
    ④モチベーションが回復しやすくなる
     
    ということを考えると、
     
     まずは、
    「もし何でも叶うとしたら?」
    という前提で、ビジョンや最終目標を立てるのが
    良いのではないかと思っております。
     
     そのように、
    もし何でも叶うとしたら、
    将来的にどうなったら最高にうれしいか、
    というようなことから、
    ビジョンを考えて、
     
     そのうえで、とはいえ、
    具体的な現実的な計画を作っていく必要もあるので、
    今度は現実的な事業計画を作っていき、
     
     ただ、時代の変化が激しいこのご時世、
    計画通りにいくことのほうが少ないかもしれないし、
    日常業務のなかでも緊急対応・突発対応は
    誰でもあると思うので、
     
    「柔軟計画でOK」と考えるようにしてまして、
     
     というのは、
    一応、計画は作るものの、
    状況に合わせて、柔軟に変化してOK,
    計画通り完璧に進まなくて全然OKと考えています。
     
     計画変更が発生したら、
    それも含めて、再度計画を修正する作業を入れることで、
    それすらも計画に含めてしまっていると考えて、
     
     計画を変更する作業でまたモチベーションキープ
    になるようにと考えています。
     
    (それで、私の場合、
     「柔軟事業計画書」や、
     「柔軟計画カード」という命名をしました)
     
     このような考え方も、
    稲森先生の
    「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」
    に近しいと言えるのであれば、
    とても嬉しいと思いました。
     
     もう一点、
    ご紹介させていただくと、 
     
     目標設定や計画の段階で
     
    ====================
     
     あまりに高い目標を掲げては、
    達成が不可能に思え、
    誰も本気で努力しようとはしなくなるでしょうし、
    逆にあまりに低い目標であれば、
    難なく達成できると侮られ、
    その集団にそれ以上の発展や成長を望むことは
    難しくなるでしょう
     
    ====================
     
     とのこと、とても納得です。
     
     このお話に関連して、
    企業さまで、
    目標設定と実行のサポートをさせていただいていると、
     
     経営者や社員さまから、
     
    「今月は目標達成できなかったのでダメダメでした」
    と落ち込んでお話されたることがあるため、
     
     私からは、
    「目標の修正を余儀なくされるくらい、
     高い目標を設定していること、
     チャレンジしていることの現れであるとも、
     考えられませんか? 
     
     なぜなら、達成することだけを考えたら、
     とても低い目標を設定すれば、
     状況に変化があっても簡単に達成できますよね。 
     
     でも、そうはせずに、
     達成できるかできないかわからないくらいの目標を設定され
     それにチャレンジしたからこそ、
     今の結果があるのかもしれないと思いました」
     
     という趣旨のことを
    お伝えさていただいてます。 
    (もちろん、まったくチャレンジしなかった場合は別ですが)
     
     さらに、状況によっては、
     
    「目標達成できたときよりも、
     できなかったときのほうが
     チャンスかもしれませんよ。
     
     なぜなら、
     目標を達成できなかったときのほうが、
     達成できなかった原因を分析して、
     対策アイデアが思いつけば、
     達成できたときよりも成長度合いが上がりますよね。
     そうするためにも、
     達成できなかた原因と対策アイデアを
     一緒に考えてみませんか?」 
     
     という趣旨のことをお伝えさせていただくときも
    あります。
     
     というのは、実は、かくいう私自身が、
    当初、目標をつくってもだいたい達成しないので、
    嫌になってテンションが下がる、
    落ち込む、へこむ、
    だんだんやらなくなる、
    ということを繰り返してきたから、
    という面もあります。 
     
     それで、柔軟計画カードをつくってみたり、
    いろいろ試してみた経緯があるので、
     
     今では、
    目標設定のメリットは受け取りつつ、
    デメリットは受け取らない、
    と考えています。 
      
     すなわち、
    目標を設定するメリット
    ①「こうなったら良いな」ということを
     考えてモチベーションが上がる
    ②行動量が増える
    ③ちょうど良いさじ加減の目標設定の練習になる
    は受け取りつつ、
     
     デメリットである
    目標達成しなかったときに落ち込むという
    デメリットは、
     
     そもそも「柔軟計画でOK」、
    計画は変更するのが当たり前だから、
    それでOKと考える
    (ただ何も設定しないと流されてしまうので、
     とりあえず設定してどんどん修正していく)
    という方法で、
    デメリットを受け取らない、
    という方法が、
     
     現時点では、
    良いのではないかと
    思っております。
     
      
     今回も大変勉強になるお話の数々、
    ありがとうございました。