「30分ミニ社員研修教材」
部下の育成のためには,
怒るのが良いのか?
ほめるのが良いのか?
放置するのが良いのか?
紙芝居にしてみました。
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<怒る?褒める?放置?>
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こちらは,とある,食品卸売会社に勤務する部長のAさんです。
Aさんは,とてもまじめで一本気な性格で,また面倒見が良かったことから,部下からも慕われていました。
A部長には,3人の部下がいました。A部長は,この3人の部下をひとしくかわいがり,その成長を切に望んでいました。
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わが社も,どんどん,人が増えてきたから,これからは,ますます,人財育成に力を入れないとな。
A部長は,本当は優しい性格で,責任感が強かったため,自分の部下にはなんとしても会社の仕事を通して成長してもらいたいと思っていました。
そこで,自分の仕事は,サービス残業になってしまったとしても,部下の指導のために時間を使ってあげたいと思い,日中は部下の観察をし,夕方から,隠れてサービス残業をしていました。
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ふー,今日もおわったなぁ。今日も,部下のできていないところをたくさん見つけて,猛烈指導したから,こっちが疲労困憊だよ。さあ,今から,自分の仕事やるか。
私もさ,本当は,怒るのって,すごい苦手なんだけど,せっかく,この会社に入ってくれたからには,上司として責任を果たしたいから,鬼上司っていうキャラ,作ってるんだよね。
A部長の怒り方の激しさは,社内でも有名でした。しかし,実は,このように,A部長は本来,人を怒ったりするのがとても苦手でしたが,部下のために,鬼上司を演じていたのでした。
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こちらは,部下のB君です。
B君,もともとおっとりした性格で,末っ子であったため,家族・兄弟からは甘やかされて育ちました。
そのため,人に怒られることには慣れていませんでした。
はーあ,また今日もA部長に怒られたよ。あったまにくるんだよなぁ。言ってることが正論だから,反論できなくて,またイライラするんだよなぁ。
もう,絶対,次は,A部長に怒られないように,なんとしても,完璧に仕事してやろう
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このように,B君は,部長への対抗意識がメラメラと燃えていました。
その結果,なんと,B君は,A部長への対抗意識を糧に,どんどん成績を上昇させていきました。
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他方,こちらは,C君とD君です。
C君とD君も,A部長の部下です。
B君と同じように,A部長から厳しい指導を受け,毎日怒られていました。
その結果,B君とは違い,C君とD君は,A部長の厳しい指導を受けて成績が上昇することはありませんでした。
それどころか,C君は,どんどん成績が落ち込んでいってしまいました。
他方,D君は,あまり変化がなく,成長することもなく,かといって,落ち込むことはない,無反応という感じでした。
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A部長は,悩んでいました。
うーん,部下の指導って,難しいなぁ。B君のようにどんどん成長していく子もいれば,逆に,どんどん落ち込んでしまう子もいるし。難しいなぁ。
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そんななか,ある日,A部長は,管理職が集まる管理職研修を受けました。
そこで,部下を「褒める」ことの大切さを,勉強しました。
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なるほど,よし,これからは逆に,褒めることを大事にしてみよう。
こうして,A部長は,C君とD君の良いところを探して褒めるということをやってみました。
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その結果,C君は,徐々に自信を回復し,A部長にもっと褒められたいということがモチベーションになり,少しずつ成長していくことができました。徐々に成績も上昇していいきました。
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他方,D君は,やはり,無反応で,褒められたからと言って,あまり変わりませんでした。
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A部長は悩んでいました。
うーん,やっぱり人財育成って難しいなぁ。C君は,どうやら褒めて伸びるタイプだったみたいで,褒めることを増やしたら,ぐんぐん成長してくれた。
しかし,いかんせん,D君はまったく反応がないんだよな。怒っても褒めても反応がない。反応がないのが一番こまっちゃうなぁ。
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もうしょうがない,ここは割り切ろう。放置だ。割り切って,どんどん成長していく,B君とC君を優先して育成して,いろいろ仕事を任せていこう。残念ながら,今のD君には,あまり伸び率が期待できないから,今はこのままにして,放置しておくしかないな。
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そんなある日,D君は思いました。
なんか,最近,A部長,B君とC君とのコミュニケーション増えてるけど,僕とのコミュニケーションが減ってる気がするんだよな。なんだかさみしいな。
ある日,D君は,担当プロジェクトについて,A部長に相談に行きました。
プロジェクトの進捗状況を説明して,A部長の意見を尋ねました。
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このとき,A部長は内心,こう思っていました。
うーん,D君のこの相談,本当だったら,言いたいこともたくさんあるし,D君の成長のために,さらにやってほしいこともいろいろあるんだけど,今のD君はあまり成長が見込めないから,言わなくていいかなぁ。今は,D君を育成している時間がないから,D君が傷つかないように,あたりさわりない返答をしておこう。
本当は,ミスもありそうだけど,あとで,D君が気づかない時に,修正しておけばよいし。
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おお,D君,例のプロジェクトか。がんばってくれてるね。ありがとね。ふむふむ,ほうほう,いい感じじゃないか。いいね。このままがんばってくれ。なにかあったらこっちで訂正するかもしれないけど,このままよろしく頼むよ。
そ,そうですか,わかりました,ありがとうございます。
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このとき,D君は内心,こう感じていました。
なんだか,A部長,言い方はやわらかいけど,あんまり興味がなさそうな感じだな。B君とC君に対しては,すごい熱血指導してるのに,自分にはなんか当たり障りないこと言ってる感じが,なんとなくだけど,伝わるんだよな。僕,A部長に嫌われているのかな。
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こうして,D君は,ますますモチベーションが下がってしまいました。
その結果,D君の仕事のパフォーマンスは,ますます低下してしまいました。
さて,いかがでしたでしょうか。
もし,みなさんが,A部長だったら,どうすればよいと思いましたか?