偽装請負:紙芝居型ブログ ブログ#200

「30分ミニ社員研修教材」
 偽装請負問題を紙芝居にしてみました。

偽装請負問題

 こちらは,A社長です。

 A社長は,もともと,パソコンが得意であったことから,脱サラをして,IT企業を作りました。パソコンのプログラムなどは得意である反面,人付き合いやコミュニケーションが苦手であり,特に,社員さんとの人間関係に悩んでいました。

 はーあ,こまったなぁ。また社員さん,退職しちゃったよ。せっかく,入社してもらって,ようやく仕事慣れてきた感じだったから,仕事量増やして,さらに成長してもらった途端,やめられちゃったよ。人財育成って難しいなぁ。

 それにしても,自分がサラリーマンだったころはよくわからなかったけど,自分が会社を作ってみてよくわかったんだけど,人件費って,すごいかかるんだなぁ。人件費って,手取りのお給料だけじゃなくて,社員さんの社会保険料を,社員さんと折半で負担するから,つまり,社員さんの社会保険料を,半分も会社が負担してるなんて,サラリーマンのときは意識してなかったよ。この会社が負担する社会保険料って,社員さん全員分合計したら,すごい金額だよなぁ。

 それにさぁ,社員さんには有給休暇があるんだよなぁ。自分がサラリーマンのときは,そのありがたみに気づかなかったなぁ。もらって当たり前だと思ってたけど,自分が経営者になると,そのありがたみに,気づかされるなぁ。

あと,社員さんが,病気とか介護とかで出勤できないことも考えて,人員に余裕をもっておかないと仕事に支障が出ちゃうんだけど,かといって,仕事量が減ったときでも,仕事量以上の人員を確保しなきゃいけなくて,固定費がすごいことになっちゃうんだよなぁ。会社経営って大変だなぁ。

 そうだ,そういえば,先日,同業の経営者仲間が,最近,雇用契約じゃなくて,請負契約とか,業務委託契約を増やしてるって言ってたなぁ。

 そうか,雇用契約だと,いろいろな負担があるけど,請負契約,業務委託契約なら,社会保険料の負担はないし,有給休暇もないし,仕事があるときだけ依頼すればよいから,月額の固定費を一気に下げられるな。よし,うちも,社員さんの契約を,どんどん,請負契約に変更していこう。

 ある日のことです。A社長は,社員のB君を呼び出しました。

 こちらが,B君です。

 社長,お呼びでしょうか。

 あー,B君。いつもお疲れ様。今日はね,君との契約を変更しようと思ってね。

 え,どういうことでしょうか。

 うん,今後は,請負契約,業務委託契約に変更しようと思っているんだよ。今の契約だと,お給料のお金を渡すときに,社会保険料とか,天引きして渡してるけど,請負契約ならそういうことがなくなるんだよ。

 え,そうなんですね。じゃあ手取りが増えるんですね。

 仕事のやり方とかはなにか変わるんですか?

 いやいや,仕事のやり方は今まで通りだよ。定時に出社して,上司から指示を受けて働いてもらって,定時に退社してもらう,今まで通りだよ。

 そうなんですね,わかりました。ありがとうございます。

 こうして,A社長は,社員の契約をどんどん請負契約に変更していきました。

 それからしばらく時間がたちました。

そして,ある日のことです。

 こちらは,会社の事務員さんです。

 社長,大変です。B君の弁護士から内容証明郵便が届きました。

 ええー,いったいどういうことだ。なになに,

B君とわが社の契約は,請負契約ではなく,雇用契約だ

だから,過去にさかのぼって諸々の手続きをしなおせ,

ええー!!,いったいどういうことなんだ。とりあえず,こっちも弁護士に相談してみよう。

 こちらは,弁護士さんです。

 こんにちは。今日はどういったご相談ですかな。

 はじめまして,先生,すみません,かくかくしかじか,という状況でして。

 A社長は,事情を弁護士に説明しました。

 なるほど,そうでしたか,それは,よく,世間一般で,いわれている,偽装請負と言われているケースかもしれませんね。

というのは,実態は,雇用契約ですが,契約書の書き方など,形式を請負契約にすることなどを,偽装請負などと言います。

やはり,雇用契約と請負契約と比較すると,社会保険をはじめとして,請負契約よりも雇用契約のほうが会社の負担が大きいことから,形式を請負契約とするということがありますね。

 そうなのですか。先生,実は,私も学生時代は法学部だったのですが,そこで「契約自由の原則」という原則を教わりました。つまり,当事者間でどんな契約をするのかは自由に決められると教わりました。そうであれば,当事者が請負だと決めたのであれば,それでよいのではないでしょうか。

 契約自由の原則は,基本的には,どのような契約をするのかは当事者の自由ではあるのですが,さまざまな場面でこの原則が修正されるのです。そのため,当事者の自由が認められないケースがいろいろあります。その一つが,偽装請負のケースなんです。

 ええー,そうだったんですか。特に,どういうところが判断のポイントになるのでしょうか。

 はい,雇用契約か,請負契約かの判断は,形式面より,実態面で判断されます。つまり,どのような名前の契約を結んだかではなくて,実態が,雇用契約,つまり,「使用者の指揮命令を受けて労働する」という実態になっているかどうかで,判断されることが多いです。

 特に,裁判などになると,ここは厳しくチェックされますね。

 そうなんですね。そうしますと,うちでは,働き方は今までとまったく変わっていないのです。

そうすると,実態からして,ますます,請負契約ではない,雇用契約と判断されるということでしょうか。

 その可能性が高いと思われます。

 ええー,なんてこったー

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