賃金全額払いの原則:紙芝居型ブログ ブログ#199

「30分ミニ社員研修教材」
 意外と知られていない,
賃金に関するトラブルケースを紙芝居にしてみました。

賃金の全額払いの原則

 こちらは,A社長です。

 A社長は,チェーン店の居酒屋を3店舗経営する社長です。

 A社長は,もともと,若いときから居酒屋でアルバイトをしており,居酒屋の雰囲気が好きだったことから,今では居酒屋を3店舗経営しています。

 よーし,今日もがんばるぞ。

 今日も,お客さんに喜んでもらって,お店をたくさん盛り上げていこう

 こちらは,B君です。B君は少し約束事にルーズな性格でした。

ふー,今週もがんばったなぁ。あ,そういえば,明日は,地元の仲間たちとのバーベキューだ。楽しみだなぁ。

 あ,そうだ,しまった,レンタカー借りるの,忘れちゃったよ。しまったなぁ。車がないと,バーベキューの道具を運べないよ。どうしようかな。

 そうだ,本当は禁止されてるんだけど,会社の物品搬送用の車,こっそり借りちゃおうっと。うちの会社は,車のプライベート使用は絶対禁止,厳禁にされてるけど,明日は休日で会社には誰もいないから,使い終わったらガソリンいれておけば,きっとバレないだろう。

 こうして,翌日,B君は,なんと,無断で,会社の車両を使用して,バーベキューに行ってしまいました。

 ふー,たのしかったぁ。やっぱり,地元の仲間でワイワイやるのが,たのしいんだよねぇ。

 こうして,おもいっきり,休日を楽しんだB君でしたが,このあと,大変なことが起きてしまうのです!!。

 キュルキュルキュル,ドカーン,やっちゃったー,やっちゃったよー。

 自損事故で,電柱に車のフロント部分ぶつけちゃったよ。しまったー。

 はー,まずいなまずいな,やっべー,どうしよこれ,社長にバレたらただじゃすまないよ。まずい。どうしよ。

 B君は,悩みに悩んだ挙句,会社に行って,社長の机に,事故を起こしたことの謝罪文と,退職届を置いて,いなくなってしまいました。

 こちらは,A社長です。

翌日のことです。A社長が会社に出社しました。

 ん,んん,な,なんだこれ,なんだとー。

 B君,とんでもないことしてくれたなぁ。B君のやつ,無断で,禁止されている車の持ち出しをやったうえに,事故を起こして,修理代もすごいかかるし,一言も報告も,わび入れもせず,いなくなるんて,非常識だ,あり得ない。許せん。B君はいったいどこにいるんだ,呼び出してやる。

 こうして,怒り心頭のA社長でしたが,B君は,一切連絡に出ず,A社長はB君に会うことはできませんでした。

 まったく,とんでもないことだ。修理代だってかなりかかったのにもうまったく。しょうがない。今月のB君の給料とボーナス全額で,ちょうど修理代くらいだから,これを相殺するしかないな。

 それから,一か月後のことです。

 こちらは,事務員さんです。

 社長,大変です。

先日,退職したB君の弁護士から,B君のお給料とボーナスを支払え,という内容証明郵便が届きました。

 ええー,いったいどういうことだ。B君のやつ,無断で車をつかって,車を壊しておきながら,何を言ってるんだ。それなのに,弁護士を使って,そんな要求してくるなんて。とりあえず,こっちも弁護士さんに相談してみよう。

 こちらは,弁護士さんです。

 こんにちは。今日はどういったご相談ですかな。

 はじめまして,先生,すみません,かくかくしかじかでして。

 A社長は,事情を弁護士に説明しました。

 うーん,なるほど,そういった状況でしたか。それについては,ひとつ,難しい問題があります。というのは,労基法24条1項には,賃金の全額払いの原則,という法律があります。

 そのため,たしかに,会社としては,無断で車をつかわれて,しかも壊された修理代がかかったという損害賠償を,B君に請求する権利が認められると思われますが,賃金については,全額払いの原則がある関係で,一方的な相殺ができないのです。

 そのため,話し合いなどができる場合はまた別ですが,原則論としては,賃金の支払いと,損害賠償を別個に考えて,賃金については支払いを行い,損害賠償については別途,請求をして,処理するのが原則論なのです。

 ええー,そんなぁー。

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