2019年 4月 の投稿一覧

債権法改正(時効・保証):紙芝居型ブログ ブログ#109

 民法,債権法の改正で,
時効や保証も改正があります。

 紙芝居でお伝えします。

<債権法改正>

 ときは遡り,今日は,2015年〇月×日です。

 Aくんは、真面目で素直な,友達思いの頑張り屋さんでした。毎日,勤務先の仕事をがんばっていました。

他方,B君は,A君の親友で,憎めない性格ですが,少しお金にルーズなところがありました。

 A君とB君は,小学校から高校まで,よく一緒に行動し,二人とも野球が好きで,同じチームでがんばっていました。

 大学からは別々となり,二人とも,大学を卒業し,二人は,高校卒業以来,お互いに忙しくなり,会う機会がありませんでした。

 そんななか,突然,B君がA君を呼び出しました。

おー,B君,ひさしぶり。今日は突然連絡をくれて,どうかしたの?

あ,A君,本当にひさしぶりだねぇ。実は,ちょっと相談事があって。

へー,どんなこと?

 実は,僕,会社リストラになっちゃって。もう半年,仕事してないんだよね。

 ええ,そうだったの!!

 うん,それで,今生活が苦しくて,突然で申し訳ないんだけど,生活費50万円貸してもらえないかな。

ええ,僕が?そんな大金貸せないよ。

じゃあ,3か月後には返すので。どうしてもいますぐ必要なんだ。

うーん,そう言われても。

どうかこのとおり。

いやいやー。

なにがあっても,A君には迷惑はかけないから,絶対返すから。僕ら親友だろ。

 わかったよ。そうだよね,僕ら,親友だよね。わかった。急いで50万円用意するよ。

 ありがとう,本当にありがとう。この恩は絶対わすれないよ

 ところが,その後,B君は音信不通になってしまい,A君が電話をかけても,メールをしても,手紙を送っても,B君からの返信はありませんでした。

 ひどい,ひどすぎる。

 B君のこと,信じていたのに。親友だなんて言葉に騙されたよ。

 どうやっても連絡つかないし,困ったなぁ。

 そういえば,こういうのって,時効っていうのがあるって聞いたんだけど,大丈夫かな。ちょっと,弁護士さんに聞いてみよう。

 どうもこんにちは。今日は,どういったご相談ですか

 こんにちは。宜しくお願いします。

 今日は,貸したお金の時効についてお聞きしたいんです

 親友だと思っていた友人に,生活費50万円貸してあげまして,3か月で返すということだったのですが,そのまま返してくれていないんです。

 この場合の時効っていうのは,いつまでなんでしょうか?

 そうでしたか,その場合は,その返済日から10年が時効ですね。

 10年ですか,結構長いんですね。それならまだまだ時間はあるので,安心しました。ありがとうございました。

 その後,しばらくすると,突然,B君から連絡がありました。

そして,2020年6月2日,A君はB君と会うことになりました。

 A君,ほんっとごめん,連絡とれなくて。このとおり,貸してもらった50万円もってきたよ。御礼と言ってはなんなんだけど,もう50万円用意したから,合計,100万円うけとってくれ。

 ええ,100万円!!,いいの。生活苦しいんじゃないの?まあでも,いっか,じゃあお言葉に甘えて。

 それで,もう一つ相談があって。

 え,なんだか怖いなぁ。

 実は,これから,個人で商売を始めようと思っていて,A君,200万円,かしてもらえないかな?

 ええー,そんな大金貸せないよ。それに,今,お金返してもらったばっかりじゃないか。

 僕ら親友だろ

 親友って言われても貸せないよ。また連絡取れなくなったりされたら困るし。

 じゃあ,今ここで,3か月で返すという誓約書を書くよ。それなら信用できるだろ。

 いや,それくらいじゃ信用できないよ。

 じゃあ,あと,うちの父親が保証人になるよ。このとおり,うちの父親が保証人になることの誓約書ももってきたんだ。

 ええ,なんか用意がいいね。でも,そんなのいきなり見せられても困るよ。

 すぐに事業を軌道にのせるから,3か月で返すから。それに,またたっぷり御礼はさせてもらうよ,親友だろ,どうか,このとおり。

 うーん,迷うなぁ。でも,50万円かえしてくれたし,お礼にさらに50万円もらえたし,3か月でまた,お礼がもらえならいいかな,わかったよ。じゃあ,200万円ちゃんと,お礼もつけてかえしてね。

 うん,ありがとう。本当にありがとう。この恩は忘れないよ。

 3か月後

やっぱり,B君は音信不通になってしまいました。

 そして,A君は,仕事の忙しさもあって,なかなか身動きがとれず,6年の期間がたってしまいました。

 またB君連絡とれなくなちゃった。またやられたよ。こまったなぁ。なんだか面倒くさくて,もうあれから6年も経っちゃったよ。そうだ,また弁護士さんに相談してみよう。時効は10年だからまだ大丈夫だし,今度は親御さんの保証人の誓約書ももらってるし,弁護士さんにお願いすれば,なんとかなるだろう。

 こんにちは,今日はどんなご相談ですか?

 はい,今回も,またお金を貸してしまったという相談でして。今回は,200万円なんです。先方のお父さんが保証人になるという誓約書ももらってます。かくかくしかじかという経緯でして。

 なるほど,そうだったのですか。それはきびしいですね。というのは,ご存じなかったかもしれないので,驚かれるかもしれませんが,

民法の中でも,債権法という分野に改正がありまして,時効の期間が変わったんです。

ええ,そんなー

今回の貸し借りは,新しい民法が適用される日付けの貸し借りになっているので,新しい民法で,時効期間が5年になるんです。そのため,B君が時効を主張してきたら,もう回収できないですね。

 ええー,そんな,知らなかった。

 じゃあ,保証人になっている父親に請求するのはどうですか?

 そちらも難しいですね。

これも新しい民法で,個人の方の事業のためにお金を貸して,保証人をつける場合は,公正証書を作成しなければならなくなったんです。

今回,B君の父親に保証人になってもらうことについて,公証役場にいって,公正証書を作成していない以上,

それは無効になってしまうんです。

そのため,残念ですが,今回は,どちらも難しいですね。

 そ,そ,そんなー,知らなかったー

債権譲渡の改正:紙芝居型ブログ ブログ#108

 民法,債権法の大改正で,
債権譲渡に関する法律も,
改正があります。

 紙芝居でお伝えします。

<債権譲渡の改正>

 ときは,2020年4月1日です。

 こちらは,A社長です。A社長は,建設会社の社長です。A社長は,若いころ,裸一貫で上京して,建設業の世界に飛び込み,今では,職人を30人抱える社長です。

 A社長の会社では,主に,ゼネコンから,ビルの建設の仕事を請け負っていました。

 しかし,最近,なかなか事業がうまくいってません。

 はー,最近,人手不足が,すごいなぁ。募集をかけても,人に頼んでも,全然,人が集まらないよ。おかげで,昔だったらたくさんの現場を回して売上を上げられたのに,今じゃ,人がいなくて,とてもじゃないけど,現場を多く持てないから,どんどん売上が下がってきたなぁ。

 はー,困った困った。

 プルルルル

 お,事務のB子さんから電話だ。もしもし,B子さん,どうかしたの?

 社長,大変です。

 ええっ,どうしたの,いきなり。

 わが社の,お得意先のC社さんが,倒産してしまったみたいです。

 ええー,大変だ,C社さんはわが社の重要なお得意先さんだぞ。毎年の売り上げの3割は占めてるお得意先だし,今月末の1000万円の入金をあてにして,給料とか,設備投資の予定組んでしまってるんだ。

 はー,困った,困った,どうしよう。

 そうだ,銀行に行って借りられないかなぁ。あー,でも,ダメだろうなぁ。前回融資してもらったとき,もうこれ以上は,絶対融資できないって言われて,実際,先週,行ったら,きっぱり断られちゃったもんなぁ。

なにか担保があれば融資しますって言われたけど,もう保証人になってくれる人もいないし,自宅はすでに担保に入ってるし,担保になりそうなものはもうないよなぁ。

 こまったこまった,とりあえず,税理士の先生に,相談してみよう。

 こんにちは。社長,今日は,どうされました?

 先生,実は,お得意先のC社さんが倒産してまして,今月末の売掛金1000万円,入金されなくなってしまったんですよ。

 そ,それは一大事ですね。

 そうなんです。もう銀行もこれ以上はさすがに融資してくれないと思いますし,困ってまして。銀行さんに提供できる担保もない状況でして。

 なるほど,これは困りましたね・・・。

あ,そうだ。ちょうど今日から,民法という法律が改正されまして,その中でも,債権譲渡に関する部分が新しくなったんです。

 御社では,ゼネコンさんから継続的に受注がありますよね?

 はい,継続的に受注はあります。でも,ご存知かと思いますが,受注してから支払いになるまでの期間は長いし,工事の完成出来高に連動して,入金は少額ずつ,分割で入ってくるような状況です。

 それでしたら,これから,「将来的に」発生する売掛金・債権を担保にできるかもしれませんよ。もちろん,銀行の判断次第ではありますが,そういった将来の債権を担保にして,さらに融資が受けられるかもしれません。

 ええっ,そうなんですか。だってまだ発生していない売掛金なんですけど,それを担保になんてできるんですか?

 そのように疑問を持たれることは,当然だと思います。実は,民法の改正前でも,将来債権の譲渡や担保提供というのは行われていたのですが,法的な保護が薄いということもあって,活用されづらかったり,担保としての評価が低かったりしたんです。

そこで,改正法では,まず,将来の債権でも,譲渡できることが明記されたんですよ。

 あー,そうなんですね。

でも,よく聞く話なんですが,ゼネコンさんとの契約で,契約書には,譲渡禁止っていう特約がついてるんで,やっぱり,譲渡したり,担保に提供することはできないんじゃないでしょうか。

 たしかに,契約書上は,譲渡禁止となっていることが多いですね。でも,改正民法では,その点の懸念にも対応するために,譲渡禁止特約がついている債権の譲渡も,有効であることを明記したんですよ。

 おお,じゃあ,将来のものでも,譲渡したり,担保に提供することもできますね。

 はい,そうなんです。もちろん,改正法は,譲渡禁止特約のついている債権の債務者,今回でいえば,ゼネコンさんですね,その債務者の保護も,ちゃんと考えているんです。

 どういうことかというと,もし,その債権を譲り受けたり,担保としての提供を受けた譲受人が,今回でいえば,銀行さんですよね。その譲受人が,譲渡禁止であることを知っていたか,重大な過失で知らなかった(契約書を確認しなかったとかですね),これを悪意・重過失というんですが,

譲受人が,悪意重過失の場合は,債務者は,譲受人に対しては,債務の履行を拒んだりできる,お金の支払いを拒否できるようになっているんです。

 (ここは,難しいので,あとで説明しますね。)

 とにかく,重要なことは,以前に比べて,将来の債権の譲渡や,担保の提供がしやすくなったということなんです。

 じゃあ,もしかしたら,我が社の今後の売掛金を担保にして,融資が受けられるかもしれませんね。

 はい,とりあえず,チャレンジしてみましょうよ。とにかく,今,この瞬間,ここで,ベストを尽くしましょう。

まずは,今後,どこの会社から,どんなスケジュールで,売掛金が発生するか,一覧表を作りましょう。

 それをもって,金融機関を回って,融資を依頼してみましょう。

 わかりました。今すぐ1時間で仕上げて,早速,回ってきますね。

 こうして,A社長は,ツテのある金融機関を全て回って,融資を依頼しました。

 一週間後のことです

 はー,金融機関,いっぱい回ったけど,どこか一社でも,融資してくれないかな。ここが,わが社の正念場だな。

プルルル,お,電話だ。はい,もしもし,

 ええ,融資OKですか,ありがとうございます。やったー