「部長にすれば残業代払わなくていいよね?」
というご質問,とても多くいただきます。
でも,そんな法律,
あるのでしょうか?
法律を正確に理解しておかないと,
思わぬ事態になってしまう,
典型例,紙芝居でお伝えします。
管理監督者
A社長は,弁護士のところに,法律相談に来ました。
どうも先生,お世話になっております。
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これはA社長,お世話になっております。
今日は,突然,どうされましたか
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いやー,先生,ちょっと聞いてくださいよ。
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実は,新卒で入って3年目のB君なんですが,いずれは,私の右腕として育て上げたいと思ってまして。それで,すこし厳しめに指導していたのですが,
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突然,未払残業代300万円を支払えという,内容証明郵便を送ってきまして。
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あー,そうでしたか。それは大変なことになりましたね。
残業代は,払っていなかったのですか?
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いやいや,ちょっと,先生,聞いてくださいよ。
まあ,たしかに,彼には期待しているので,ほかの社員よりも長く働いてもらってまして。あと,深夜時間の勤務もありまして。ただ,かといって,いま,残業代をたくさん払うわけにもなかなかいかなかったので,ここは思い切って,
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彼を一気に,部長に格上げしたんですよ。
まあ,給与とか,はたらき方とか,待遇はまったく変わらないんですが,肩書だけ部長にかえまして。
先生,そうすれば,残業代って,払わなくていいんですよね?
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いえいえ,社長,それは違うんですよ。
みなさん,そのように誤解している人が多いんですが,そうではないんです。
部長にすれば,残業代を払わなくてよいという法律はないんです。
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ええ,そうなんですか!!
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そうなんです。みなさん,よく誤解されているのですが,部長などの肩書で判断するのではないのです。
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法律上,「管理監督者」という,いわば,実質的に,経営者と一体的な立場になっているような場合には,時間外手当を払わなくてよいとされる場合があります。
たとえば,ほかの普通の従業員さんとは違って,その労働時間を自由に決めさせたり,本人の裁量を広くしたり,人事権を持たせたり,その地位にふさわしい待遇をしていたりすれば,この法律上の管理監督者と認めてもらえる場合がありますが,これはなかなかハードルは高くて,なかなか認められないんです。
そうだったんですか。
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はい,それと,管理監督者であっても,深夜時間,つまり,午後10時から翌朝午前5時までの割増賃金は,しっかりと払わなければなりません。また,労働時間管理も同じく,しっかりと行う必要があります。
てことは,やっぱり,うちの会社,裁判起こされたら,負けますかね?
残念ながら,その可能性は高いですね
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ええー,そんなー!!