ある大学生が,アルバイトで,
法的トラブルに巻き込まれた際の描写を
紙芝居にしてみました。
大学生のアルバイト
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Aさんです。
Aさんは大学生になりました。もともと,アルバイトに興味のあったAさんは,大学に入学すると,さっそくアルバイト探しを始めました。
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Aさんは,求人情報誌を読み始めました。
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うわー,アルバイトってたくさんあるのねぇ。文字も多くて,なんか知らない言葉が多いわ。
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よし,もうとにかく早くアルバイト始めたいから,この,「未経験者大歓迎」って書いてあるところにしよう
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よし,このおしゃれなカフェに応募してみよう。
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Aさんは,はじめて「履歴書」を書きました。そして,郵送しました。
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無事,書類審査は通過したということで,面接日の連絡がありました。
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Aさんは,はじめての面接で,緊張しながらも,なんとか,質問に答えることができ,面接の結果発表は1週間後と言われました。
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一週間後のことです。
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ピンポン,Aさん,書留郵便でーす
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あ,こないだの面接の結果連絡かな。これって,面接結果が入ってるんだよね。あー,どうかなどうかな,緊張するなぁ。
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あ,やったー,採用だー,うれしいな
こうして,Aさんはカフェでアルバイトをするようになりました
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カフェのアルバイトって,大好きなコーヒーの香りに囲まれて,アルバイト仲間も気さくな人が多くて楽しいなぁ。
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一か月後のことです
Aさんは,カフェのB店長に呼ばれました
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B店長です。
Aさん,これ,今月の給料ね。
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ありがとうございます。人生初給料,うれしいですっ
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さらに1か月後のことです。
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Aさん,わるいんだけど,今日も,遅番のアルバイトの子が来れなくなっちゃので,このまま遅番の仕事もやってくれないかな?
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えっ,もう3日間連続ですよね。ちょっと体調が悪くて・・・。
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Aさんはそれくらいの仕事もできないのね・・・
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はわわわ・・・,い,いえ,すみません,わかりました。がんばります。
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その後,Aさんは,たびたび,長時間の残業をさせられていました。
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はー,最近,なんかすごい残業が多いんだよね。もともと体力あるほうじゃないから体調くずしがちだし。
でも店長怖いから,断れないんだよなぁ
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こうして,Aさんは,どんどん体調が悪くなってしまいました。
それでも,Aさんは頑張り屋さんであったため,それでもがんばって仕事を続けていました。
ある日のことです。
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そうだ,有給休暇って聞いたことあるから,店長に,有給休暇もらえるか,きいてみよっと。もうかなり疲労がたまってるから,休みたいんだよね。有給休暇って,たしか,休暇なんだけど,お給料がもらえる休暇なんだよね。
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B店長,すいません,有給休暇ってもらえるんですか?
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Aさん,なに言ってるんですか,アルバイトに有給休暇なんてあるわけないでしょう。アルバイトなんですから,シフトに入らない日は休暇みたいなもんじゃないですか。
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そ,そうなんですね。すみません,よくわかっていなくて。
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また,あるとき,Aさんはたまたま,インターネットを見ていました。
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ええっ,8時間を超えて働いたときの残業のお給料は1.25倍。これは法律で決まっていること?えー,そうなの?いつも残業させられているけど,1.25倍のお給料なんてもらってないわ。
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B店長,すいません,うちって,8時間を超えて働いたときのお給料って,1.25倍にならないんですか?
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Aさん,うちはね,基本的には,残業代はないんです。
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うちは,契約書と就業規則に,残業代は「なし」,と書いてあるんです。
つまり,ちゃんと,あらかじめ,残業代はありませんよ,ということを書いているんです。
そういう約束になっているということなんです。たまたま遅番の子が来れなくなっちゃって,Aさんが残業になってしまうだけなので,うちの場合は,1.25倍とか,そういうのはない決まりなんです。
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あ,そうなんですね。わ,わかりました。
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その後,Aさんはがんばって仕事を続けていましたが,どうにも体調が回復しないため,アルバイトをやめようと思いました。
そこで,AさんはアルバイトをやめることをB店長に伝えました。
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B店長,すみません,私,体調不良が続いていて,今はきちんとお仕事できないので,すみません,退職させてください。
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Aさん,あなたねぇわかってると思うけど,あなた,入社するときに,この誓約書にサインしましたよね。
はい,しましたけど,それがどうかしましたか?
あのねぇ。うちだって突然辞められたら,カフェが営業できなくなってしまうんだから,困るでしょう。だから,辞める時は,必ず,変わりの人をみつけて入社させない限り,やめられないっていう決まりになってるんですよ。この誓約書にもそう書いてあるじゃないですか。
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ええー,そんなぁ。変わりの人なんて見つけられるかわかりませんし,とにかく体調悪くて働けないので,もうやめさせてください。
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なに甘えたこと言ってるんですか。もっと社会人として自覚を持ってくださいよ。これはビジネスなんですよ。あなたの都合で勝手に辞められたら,ビジネスができなくて会社もお客さんも困るんですよ。わかってるんですか。
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そ,そんなこと言われましても。もう体調が悪くて。働けないんです。
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なに言ってるんですか。この誓約書にも書いてありますけど,万が一,約束を破って,代わりの人を見つけられなかったら,莫大な金額の損害賠償をするって,書いてあるんですから,そこのところ,わかってるんでしょうねぇ。
ええー,そんなぁ。
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こうして,Aさんは,泣きながら,家に帰りました。
その後,Aさんは,また,インターネットで情報収集をしていました。
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最近,あの手この手で,仕事をやめさせてくれない,というトラブルが増えています。
詳しくは,お近くの社会保険労務士までお問い合わせください,あー,まさに,私のことだ。
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この社会保険労務士さんのところにいって,相談してみよう
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こんにちは。今日は,どういったご相談ですか?
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はい,実は,カフェでアルバイトしているんですけど,もう体調が悪くなってしまったので,辞めたいんですけど,代わりの人をみつけないと,辞めさせてくれないっていうんです。
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なるほど,最近,そういったご相談が増えているんです。でも,代わりの人を見つけないと辞めさせてもらえないという合意は,不合理なものとして,無効とされるケースが多いんです。
やっぱり,そうなんですか?
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はい,なので,代わりの人が見つからなくても,必要な手続き,手順を踏んだうえで,退職する方向で,交渉していくことをオススメします。
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特に,労働基準監督署というところがあって,行政機関ですから,無料で相談にのってくれたり,場合によっては,会社に対して,助言したり,指導してくれたりしますから。とても頼りになりますよ。
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そうなんですね,心強いです。ありがとうございます。
もう一つお聞きしたいんですが,このアルバイト,8時間を超えて残業してもお給料が1.25倍にならないんです。
えっ,それはどうしてですか?
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店長に聞いたら,雇用契約書や,就業規則というものに,残業代は払わないと書いてあるからだそうです。
あらかじめ,そういう約束をしていることになると言われました。
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そういう説明をされたのですね,実は,それ,法律的には,無効なのです。
どういうことかというと,雇用契約書や就業規則に,残業代は払わないと書いても,強制的な法律で,残業代はきちんと払わなといけないので,そういうものに書いたとしても,残業代はきちんと払わないといけないんです。
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ええ,そうだったんですか
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はい,みなさん,意外と知らないのですが,実はそうなんです。
法律の世界では,知らないと損することって,実はたくさんあるんですよ。
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じゃあ,アルバイトには有給休暇はないって言われたんですけど,これは本当ですか?
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それもよく聞かれる質問ですが,一定の条件を満たした場合は,アルバイトでも有給休暇をもらえることはあり得るので,そのあたりも,しっかり調べたり,相談してみることが大事ですね。
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ということは,わたし,騙されてたんですね,くやしいですっ
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でも,店長が怖いので,やっぱり自分からは何も言えないんです。
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そんなときのためにも,まずは,やっぱり,労働基準監督署に相談してみるといいですね。とても頼りになりますよ。
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そうなんですね,やったー,早速行ってみます。ありがとうございました。
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