雇用契約即時解除の誤解 #32

雇用契約の即時解除(労基法15条2項)も,
誤解されていることの多い法律です。

具体的には,
従業員の方から,
次のようなことを言われたというケースです。

ある従業員が,突然,
退職したいと言い出し,

その理由は,
入社面接の際に説明された労働条件と,
採用された後に交付された
労働条件通知書の内容が
異なっていたので,

労基法15条2項を適用して,
雇用契約を即時解除する
と主張されたというケースです。

しかし,
労基法15条2項は,
「明示」された労働条件が,
実際と違っていた場合に,
即時に雇用契約を
解除できるというものであり,

しかも,
労働基準法施行規則5条3項という規定が,
「明示」の方法は「書面の交付」
と定めておりますので,
入社面接の際に,
口頭で言われた労働条件が,
実際と異なるというケースでは,

書面の交付がなければ,
「明示」されたとはいえず,
当該雇用契約即時解除の規定の適用は
難しいと思われます。

とはいえ,
当然ながら,本来,
入社面接の際に説明した労働条件と,
異なる内容の労働条件通知書を交付したり,
当初の説明と異なる取扱いをしてはいけません。

そのようなケースにおいて,
入社面接の際に説明した
労働条件の存在が立証された場合は,
当該条件での雇用契約の成立が
認められる可能性があります。

また,
ハローワークを経由している場合は,
ハローワークから
注意等を受ける可能性もありますので,
ご留意ください。

条文のご紹介↓

労基法15条1項

「使用者は,労働契約の締結に際し,
労働者に対して賃金,労働時間
その他の労働条件を
明示しなければならない。

この場合において,
賃金及び労働時間
に関する事項その他の
厚生労働省令で定める事項については,
厚生労働省令で定める方法により
明示しなければならない。」

労基法15条2項
「前項の規定によつて
明示された労働条件が
事実と相違する場合においては,
労働者は,即時に労働契約を
解除することができる。」

労基法施行規則5条3項
「法第十五条第一項後段の
厚生労働省令で定める方法は、
労働者に対する前項に規定する
事項が明らかとなる書面の交付とする。」

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