「降格」のよくある誤解 #36

よく,経営者の方から,
人事権は会社にあるので,
降格させるのは自由ですよね?
という質問を受けます。

しかし,これは要注意です。

まず,降格にも種類が色々あり,
懲戒処分なのか人事権に基づくものなのか,
また,人事制度がどのような人事制度なのか,
職能給なのか職務給なのかなど,
前提条件によって,
いろいろなバリエーションがあるため,
要注意です。

まず,懲戒処分として,
降格させる場合は,
そもそも,懲戒処分として,
しっかりとした手続がとられているか,
懲戒の条件を満たしているか,
厳格にチェックしてから,
行う必要があります。

基本的に,
ハードルは高いと思っておくべきです。

また,懲戒処分としてではなく,
人事権に基づいて降格させる場合でも,
そもそも,人事制度が,
従業員の保有する能力に応じて,
人事評価を行っているような,
いわゆる職能給制の場合は,
原則,保有能力が失われるということは,
特別な事情がない限り,
考えづらいため,
その有効性は,
慎重に判断する必要があります。

次に,
人事制度が,
いわゆる職務給制の場合で,
役職を変更させた結果,
職務給が引き下がるような場合は,
基本的には,
誰をどこに,どのように配置するかは,
会社の裁量とされているので,
有効とされる可能性は高くなりますが,

その場合でも,
さらに,権利の濫用と判断されないように,
注意する必要があります。

たとえば,
降格について,
使用者側の業務上・組織上の必要性の有無・程度,
労働者がその職務・地位にふさわしい能力・適性を有するか否か,
労働者の受ける不利益の程度,
などを総合考慮して,
権利の濫用か否かが判断されますので,
職務給制の場合の降格でも,
必ずしも有効ではないということであり,
この点は,よく誤解されていますので,
注意が必要です。

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