就業規則の最低基準効:紙芝居型ブログ ブログ#132

 会社をめぐる法律では,
「えっ!!そんなことになっちゃうの???」
というケースがよくあります。
 
 その一例を紙芝居にしてみました。

<就業規則の最低基準効>

 こちらは,A君です。

 A君は,食品卸売業のB社の正社員として入社し,働いていました。

 A君は,もともと,第一志望の会社に入れず,B社に入社したという経緯から,あまり,仕事に対するモチベーションが高くありませんでした。

 他方,こちらは,B社長です。食品の卸売会社を経営しています。

 B社長は,A君が勤務する会社の社長です。

 B社長は,裸一貫で上京し,下積みを経て社長になりました。会社で,従業員のお祝い事をするのが好きで,従業員の誕生日はかならずお祝い会をしていました。

 また,B社長の会社では,就業規則に,家族手当,住宅手当,皆勤手当のほか,誕生日手当,配偶者誕生日手当,子供誕生日手当など,そのほかたくさんの手当を規定し,その就業規則に記載された金額を,従業員に支給していました。

 ある日のことです。

 A君が,一番のお得意先のC社からの要望に応じなかったため,トラブルになりました。

 B社長は激怒しました。

おい,Aくん,君,なんてことをしてくれたんだ。お得意先のC社さん,とっても怒ってたぞ。わが社はサービスの悪い会社だと,言っているらしい。まったく,気を付けてくれよ。

 はあ,すんません。

 また,ある日のことです。

 こちらは,A君の上司のDさんです。

A君はDさんに反抗的な態度をとり,暴言を吐きました。

 ちょっとちょっとD先輩,D先輩の指示はいつも間違ってるんですよ。なんですか,このひどい業務指示は。仕事わかってないんじゃないっすか。こんなのやってらんないっすよ。

な,なにー,いったいどういうことだ。すくなくとも,私は君の上司だぞ。上司に対して,その態度はなんだ

 A君は,このように,職場でいろいろな問題を起こしていました。そのため,職場では,多くの社員から,疎まれる存在になってしまいました。B社長のところにも,A君に対するクレームがたくさん届くようになりました。

うーん,こまったなあ。A君に対するクレームが,社内だけでなく,社外もふくめて,いろいろなところから届くようになってしまった。

しかし,わが社は,従業員を大切にするのがモットーだ。だから,クビにしたりはしたくない。なんとか,A君にもっと成長してもらう方法はないかな。なんとかしないと,社内のクレームもこれ以上,抑えきれなくなってしまう。

そうだ,思いついたぞ。うちの会社は,私の趣味もあって,いろんな手当をたくさん作ってる。

そこで,今後,A君がトラブルを起こすたびに,この手当を一つずつ減らして,カットしていこう。

そうすれば,さすがのA君も反省するだろう。わが社のいろんな,たくさんある手当は,法律上は要求されない手当を,自主的に,たくさん,用意しているのだから,なくすのも自由だろう。

それで,A君が成長してきたら,徐々に,なくした手当を元に戻してあげよう。

 こうして,B社長は,A君に対して,今後,A君がトラブルを起こすたびに,手当を減らしていくこと,カットしていくことを提案し,A君はこれを了承しました。

念のため,B社長は,A君について,今後A君がトラブルを起こすたびに,手当を減らしていくことについて,誓約書を書いてもらいました。

さらに,念には念を入れて,契約書も作りました。

 そして,1年のときが過ぎました。

なんてこったー,A君,全然反省しないよ。結局,トラブル起こしっぱなしで,わが社のたくさんある手当,A君だけ全部かっとされて,0になっちゃったよ。なんてこったー。

 その後も,A君は反省することはありませんでした。しかし,B社長は,とにかくA君を信じると言って,A君の成長を待ちました。

 そして,2年のときがすぎました。

 ある日,突然,A君は,退職届を提出し,B社を退職しました。

 そして,一か月後のことです。

 こちらは,事務職員のD子さんです。

社長、大変です。裁判所から、書類がきました。

> 

なかみは、訴状です。原告は、Aくん、被告は会社となっています。

A君は,カットされた手当について,賃金不払いをされたので,これまでの不払い分の賃金300万円を支払えと主張しているそうです。

 なにー、いったいどういうことだ。なんで、我が社が被告にされるんだ。 納得がいかないぞ。A君の態度が問題なんだし,ちゃんとA君が納得して,誓約書も契約書も作ったんだから,問題ないだろう。

 こうして、裁判所での裁判が始まりました。

 裁判は、一年かかりました。

 一年後、いよいよ判決の日になりました。

 傍聴席では、判決をまつ人が集まっています。

 静粛に,判決を言い渡します

判決主文 会社は,Aくんに対し,300万円支払いなさい。

 ええ、我が社の完全敗訴じゃないか。なぜ、我が社がまけてしまったんだー なぜだー

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