紙芝居型ブログ

労働者派遣法:紙芝居型ブログ ブログ#167

 労働者派遣法の落とし穴,
派遣契約の方が,ある日,突然,
派遣契約ではなく,直接契約になることがあります。

 紙芝居にしてみました。

改正労働者派遣法

A君は,もともと,システム開発の勉強をしていたことから,システム開発会社で,プログラマーとして働きたいと思っていました。

 派遣会社に登録したら,運よく,システム開発会社で,派遣社員として働けることになったぞ。よし,仕事をがんばって,そして,スキルアップするぞ。

A君は,平成27年10月1日,会社の唯一の派遣社員として,働き始めました。

 その2年6か月後のことです

平成30年4月,

 こちらは,B部長です。

B部長は,人事部長に昇進しました。

B部長は,もともと,営業部出身で,一生懸命仕事にとりくみ,社内で一番の営業成績をあげていました。B部長は,そのがんばりが評価された結果,B部長にとってはじめての部長職として,人事部長に就任しました。

 やっと,私も,部長になれたぞ。がんばった甲斐があったなぁ。

さてさて,部長にはなれたものの,人事部の仕事なんてまったくわからないから,いそいで,部下にも教えてもらいながら,人事の勉強をしなきゃだな。よし,がんばるぞ。

 そういえば,最近,なんか,労働者派遣法が改正されたって聞いたなぁ。

まあでも,まだ,人事のこと,全然わからないし,これから勉強するところだから,労働者派遣法の勉強はとりあえず後回しだな。

このように,B部長は,労働者派遣法が改正されたことは知りつつも,特に,なにも対策をしませんでした。

その後,A君の派遣契約が更新されました。その結果,A君は,入社して4年目になりました。

 B部長,今,お話させていただけますでしょうか?

おー,A君,どうしたの。いつもがんばってくれているねぇ。

ありがとうございます。B部長,今日は,大事なお話がありまして。私,会社に対して,労働契約の申込みの承諾をします。

 え,なんだって?労働契約の申込みの承諾と言ったって,君は,派遣社員として,派遣会社とのあいだで労働契約を締結して,もうすでにわが社で派遣社員として,働いているじゃないか?

 ですから,今日,会社に対して,労働契約の申込みの承諾をします。労働者派遣法が改正されたの,ご存じないようですね。

 労働者派遣法が改正されまして,個人単位の期間制限と言いまして,

派遣労働者を,3年を超えて同一の「課」などに受け入れてはいけないんです。別の「課」に代えるなどの対応をしなければいけないのです。

 これに違反した場合,会社は,その派遣労働者に対して,労働契約の申込みをしたとみなされるのです。

 そこで,私は,その申込に対して,承諾します。つまり,たった今から,会社と私との間で,従前と同一の労働条件で,労働契約成立したことになるのです。

 ええー,そんなー

 その結果,A君は,派遣会社ではなく,直接,この勤務先の会社に雇われることになりました。

 1年後

 昨年のA君のことは本当に驚いたな。あんな法律があるなんて,びっくりだよ。ほんと気を付けなきゃいけないな。

 そういえば,今月からまた,わが社で2人目の派遣社員のC君を受け入れるんだったな。次は絶対,3年の間に,ちゃんと所属する「課」を変更しよう。

> 

 3年後になりました。

 B部長は,C君の更新時期に合わせて,C君を別の「課」で働かせました

 ふー,今回はちゃんと,派遣社員のC君を,別の「課」に変更したぞ,忘れないで,よかったよかった。これで安心だ。

 その後のことです。

 B部長,今,お話させていただけますでしょうか?

ええ,C君,どうしたの。なんだかこわいなぁ。どしたの?

B部長,今日は,大事なお話がありまして。私,会社に対して,労働契約の申込みの承諾をします。

 ええー,なんだって?労働契約の申込みの承諾と言ったって,私はちゃんと,君の「所属部署」の「課」を変えたじゃないか。

 B部長,労働者派遣法が改正されたの,ご存じないようですね。

 労働者派遣法が改正されまして,事業所単位の期間制限というルールができたんです。

これは,派遣労働者を,3年を超えて受け入れる場合,その事業所の過半数代表者または過半数労働組合の「意見聴取手続」というものをしなければならないのです。

 これに違反した場合,会社は,その派遣労働者に対して,労働契約の申込みをしたとみなされるのです。

 そこで,私は,その申込に対して,承諾します。つまり,たった今から,会社と私との間で,従前と同一の労働条件で,労働契約成立したことになるのです。

 ええー,そんなー

無期転換:紙芝居型ブログ ブログ#166

 法律改正で新たに定められた無期転換,
有期の契約社員の方が,ある日突然,
無期の契約になることが,
実際にあるのです。

 紙芝居にしてみました。

無期転換ルール

A君は,IT企業に,入社しました。

 プログラマーとして,毎日を一生懸命がんばっていました。

A君は,1年契約の契約社員でした,平成25年4月1日に入社しました。

毎年,4月に1年間の契約を更新していました。

A君は,会社との間で,4回,契約を更新し,5回目の更新が近づいてきました。

時は平成30年3月上旬のことです, A君は,いつもどおり,社内で作業をしていました。

B部長です。B部長は,A君の上司です。B部長は,機嫌が悪いと,よく,部下に当たり散らしており,A君はよく,B部長にやつあたりされていました。

 おい,A君,このプログラム,昨日までに修正しておけと言ったよな

 え,B部長,その件でしたら,先週,部長が,一旦,修正作業はそのままにして,別の作業を優先するようにとおっしゃったので,それ以来,修正作業はやっていないのですが。

 なに,そんなこと私が言うわけないだろう。証拠はあるのか証拠は。

 す,すいません,私の勘違いでした

 そうだろう,変な嘘をつくんじゃないよ,まったく

 申し訳ございません。

 全く,そんなウソをつくんだったら,もう君との雇用契約を更新するのは考えざるを得ないなぁ。

 まあでも,私の言うことをしっかりと守って働くというなら,もう1年だけ,更新してやってもいいが,どうするかなぁ。

 どうかお願いします。このとおりです。なんでもご指示のとおりに必ず行いますので,どうか契約更新をお願いします。

 しょうがないなぁ。更新してやるか。そのかわり,私の言うことは絶対だぞ。それとなぁ,君は今回の更新でもう最後だぞ。なにがあっても,今回の更新で最後だからな。それでもいいか?

 もちろんです,それで結構ですので,どうか契約更新お願いします。

 よし,それならいいだろう。この約束はしっかりと契約書にも明記するからな。

こうして,A君は,会社との間で,さらに1年間契約社員として,雇用契約を締結しました。

その後,A君は,たまたまインターネットを見ていたところ,たまたま,厚生労働省のホームページをみて,無期転換ルールという記事を見つけました。

 ええ,なんだろこの無期転換ルールって。

平成25年4月1日以降に更新した有期の雇用契約が,通算して5年を超える場合,

会社に申込をすれば,無期契約になれる,これは強制的な法律なので,会社がダメと言っても無期契約になれる!!

 そうだったのかぁ。よし,僕もこの無期転換の申込みをして無期契約にしてもらうぞ。

これで毎年毎年,契約更新してもらえないんじゃないかっていう不安から解放されるぞ。

やったー

翌日,A君は,B部長に面会を求めました

 部長,ちょっといいですか。私は,会社に対して,

無期転換の申し込みをすることにしました。

 なんだその無期転換の申し込みいうのは?

 無期転換っていうのはですね。有期契約の更新期間が通算して5年を超える社員は,申込をすれば無期契約の社員になれるっていう制度ですよ。

 なに,なにいってるんだ。そんなの会社がみとめるわけないだろ

会社が認める認めないは関係ないんですよ。

この厚生労働省のホームページでも見てみたらどうですか。

会社がダメと言っても,強制的に,無期契約になれるんです

 な,なにー,しかし,先月,契約更新した際に,君は今回の1年で最後だと約束しただろう。

 契約書にもそう明記されてるんだから,君はこの1年でおわりだよ

 部長,契約書にそう書いても,それは無期転換ルールの趣旨に反するので,無効らしいですよ。私はもう無期転換の申込をしたんですよ。それでも,この私との雇用契約を解消するということは,解雇をすることになるんですよ。

 だったらもう,今,この瞬間,クビにしてやる,出ていけ

 部長,実は,私,

この会話,携帯電話で,録音してたんですよ。

 無期転換権を行使したことを理由に,解雇なんてできるわけないですよね。

 こんなひどい解雇,許されるはずがない。

 今から,労基署に相談に行ってきます。

 や,やられた,ま,まってくれ~