紙芝居型ブログ

ラーニングピラミッド:紙芝居型ブログ ブログ#221

「30分ミニ社員研修教材」
インプットだけをするより,
アウトプットを前提としたインプットをすると,
こんなに違う!!というお話,
紙芝居にしてみました。

<ラーニングピラミッド>

 こちらは,とある,食品卸売会社に勤務する部長のAさんです。

 Aさんは,とてもまじめで一本気な性格で,また面倒見が良かったことから,部下からも慕われていました。

わが社も,どんどん,人が増えてきたから,これからは,ますます,人財育成に力を入れないとな。

A部長は,優しい性格で,責任感が強かったため,自分の部下にはなんとしても会社の仕事を通して成長してもらいたいと思っていました。

 そこで,A部長は,部下の課長クラスの管理職の社員研修を担当するようになりました。

もともと面倒見の良い性格であったことから,A部長は,自分が経験してきたことを,一人でも多くの部下に,熱意をもって伝えたいと思っていました。

そのため,A部長の研修は,毎回,2時間以上,A部長が熱弁をふるい続け,喋り続け,かなりの情報量を部下に伝えようとするものでした。

ただ,A部長は,悩んでいました。

うーん,なんだか,管理職の社員研修,うまくいってない気がするなぁ。

毎回,二時間以上,私が,かなり熱弁をふるって,ハイテンションで,すごい膨大な量の情報を伝えていると思っているんだけれども,受講者の反応が薄いんだよなあ。

いったい,なんでなんだろう。

なんとなく,みなさん,頭に入らない感じがするというか。前回,話したことをチェックしてみると,全然,覚えていないんだよなぁ。

あと,だいたい研修の途中で眠ってしまう人も多いし,いったいどうしたらいいんだろうか。

今のやり方は,社内の課長クラスの人材を,教室に一斉に集めて,私が登壇して,喋り続けているんだけど,なにかもっと良い,研修の方法ってないかな。

やっぱり,一時間とか二時間とか,ひたすら,私がしゃべり続けていて,なんとか,少しでも,多くの経験をみんなに伝えたいと思うんだけど,ただ,私がしゃべり続けるだけだと,いまいち,課長たちの成長が早くならないような気がするんだよなぁ。

 そんなある日,A部長は,部長クラスが集まる管理職研修に参加しました。

 こちらは,研修講師のB先生です。

 みなさん,本日もお集まりくださいまして,誠にありがとうございます。

 本日の研修のテーマは,

 ラーニングピラミッドです。

 みなさん,ラーニングピラミッドという言葉を聞いたことがある方は,どれくらいいらっしゃいますか?

 また,ラーニングピラミッドの中身を,言えるという方,どれくらいいらっしゃいますでしょうか。

 なるほど,ありがとうございます。

 では,私から,簡単に解説させていただきますね。

 ラーニングピラミッドというのは,このような図で表されるものです。

 諸説あるようですが,学習したことが定着する,しっかりと身につく割合を示したピラミッドの図と言われています。

 この図にあるように,講義を受けただけだと5%,読書をすると10%,視聴覚,つまり目で見たり音で聞いたことは20%,デモンストレーションを実際に行ってみると30%,グループでディスカッションをすると50%,自ら体験すると75%,誰かに教えると90%,などと言われています。

 つまり,講義を受けただけだと,5%しか定着しませんが,人に教えるということをすると90%定着すると言われています。

 なるほどー,そうだったのかぁ。たしかに,言われてみれば,私も,課長クラスの研修をはじめて担当することになったときは,何を聞かれても答えられるように,必死に勉強したから,テキストをほぼ覚えちゃったくらいだったから,これは,すごい,納得できる図だなぁ。なるほどねぇ。

 みなさん,そうすると,ただ,講義をするだけより,このピラミッドの下のほうをなるべく取り入れることが,定着率を高めるということになります。

 そこで,たとえば,研修の対象者の方に,教える側に回っていただく機会を作るとか,たとえば,部下の方を育てていただくためのマニュアル作成をしていただく,などの機会を作っていただくと,せっかくの研修の効果を高めることができる,というわけです。

 なるほど,マニュアル作りは良いアイデアだ。人に教えるマニュアルを作るということになれば,受講者のみなさんはますますやる気になってくれるだろうし,受講者さんがますます成長できる。

しかも,マニュアルができれば,後に入ってきた人が即戦力になれるということだ。

自分も成長でき,部下も成長できる。これなら一石二鳥だ,よし,がんばるぞ!!

賠償予定の禁止:紙芝居型ブログ ブログ#220

「30分ミニ社員研修教材」
従業員の賠償問題,思わぬ落とし穴があったりします。
紙芝居にしてみました

賠償予定の禁止

 こちらは,A社長です。

 A社長は,もともと,居酒屋の雰囲気が好きだったことから,今では,居酒屋を3店舗経営しています。

 A社長,なにやら困った顔をしています。

はーあ,こまったなぁ。最近,お店でトラブルが続いているんだよなぁ。ただでさえ,人手不足だから,なんとか少ない人員でお店を切り盛りしてるのに,シフト入ってて,ドタキャンするアルバイトとかいるんだよなぁ。

それにさ,ドタキャンならまだしも,いきなり,来なくなっちゃうアルバイトもいるんだよなぁ。無断退職されたら,こっちが困っちゃうよ。

いきなりだから,事前に準備もできないのが一番困っちゃうよ。

 あとさあ,こないだなんて,いきなり,お客さんとケンカして,お客さんを殴っちゃうアルバイトには,ほんと困ったね。理由はどうあれ,手を出しちゃダメでしょ。それもう犯罪でしょ。

しかもさ,怒りがおさまらなくて,お店のお皿10枚叩き割っちゃうんだもん。ほんと困っちゃうよねぇ。

 こうなってくると,やっぱり,なにか対策が必要だよな。

 もうなんか無法地帯になってきちゃったもんな。

さてさて,いったい,どうしようかな。

 そうだ,やっぱり,そういう悪いことをしたら,お金を払わせよう。損害賠償だな。ペナルティで,罰金みたいに,お金を払わせよう。

 たとえば,シフトをドタキャンしたら,ペナルティで,1000円にしよう。

 こうしたら,ドタキャンしなくなるだろう。

 あと,急にお店にこなくなったりして,無断退職する人は,給料一か月分にしよう。そうすれば,その月の給料払わなくてよくなるから,手続もラクになるし。

 お客さんに迷惑かけるのは,会社の信用にかかわるし,もしも炎上したりしたら,お店が倒産する危険もあるから,それは100万円にして,絶対,させないようにしなきゃだな。

 こうして,A社長は,新しいルールをつくって,社内に周知徹底させました。

 そして,ある日のことです。また,アルバイトが無断退職してしまいました。

 またやられたー,まあでも,今回はちゃんとペナルティの制度,つくっておいてよかったわー。無断退職者は,給料一か月分の損害賠償だから,これで無断退職したバイトには,お給料払わなくていいわ。少しだけ,せいせいしたわ。

 それから2か月後のことです。

 こちらは,会社の事務員さんです。

 社長,大変です。先日,無断退職したアルバイトの方の弁護士から内容証明郵便が届きました。

 最後の月のお給料を,ちゃんと払えと書いてあります。

 ええ,いったいどういうことだ。ちゃんと,ペナルティの制度を作ったんだから,払わなくていいはずだろう。それが嫌なら,無断退職しなければいいんだから。そもそも,無断で退職するなんて,非常識極まりない話なのに。とりあえず,こっちも弁護士に相談してみよう。

 こちらは,弁護士さんです。

 こんにちは。

今日はどういったご相談ですかな。

 はじめまして,先生,すみません,かくかくしかじかでして。

 A社長は,事情を弁護士に説明しました。

 なるほど,そうでしたか,それは,難しい問題になりますな。

というのは,労基法16条という法律に,賠償予定の禁止,という法律があります。この法律によって,労働契約の不履行について,あらかじめ,損害賠償額を決めておくことはできない,というルールになっているのです。

 今回のケースでは,労働契約の履行として,ちゃんと出勤することや,無断退職しないことや,従業員としてちゃんと行動することについて,これに違反した場合,あらかじめ損害賠償を定めるものですから,これに該当する可能性が高いと思われます。

 ええー,そうなんですか。では,従業員が悪いことをしても,会社はなにも請求できないということなんでしょうか。

 いえ,そういうわけではありません。

 あらかじめ,決めておくようなことが許されないだけで,実際に,従業員が重大なトラブルを起こして,法的に損害賠償義務を負う場合に,その時点になってから,損害賠償を要求することは可能です。

 そうだったんですか,事前にペナルティ額を決めるのはダメなんだ。まいったなー。

 てことは,先生,これ,裁判になったら,わが社が負ける可能性があるっていうことですか。

 はい,その可能性は,ありますな。

 ええー,そんなー