紙芝居型ブログ

管理監督者:紙芝居型ブログ ブログ#163

「店長だから残業代はない」
「部長だから残業代はない」
大きな誤解の可能性があります。

 紙芝居にしてみました。

管理監督者

 A社長は,弁護士のところに,法律相談に来ました。

どうも先生,お世話になっております。

 これはA社長,お世話になっております。

今日は,突然,どうされましたか

いやー,先生,ちょっと聞いてくださいよ。

実は,新卒で入って3年目のB君なんですが,いずれは,私の右腕として育て上げたいと思ってまして。それで,すこし厳しめに指導していたのですが,

突然,未払残業代300万円を支払えという,内容証明郵便を送ってきまして。

あー,そうでしたか。それは大変なことになりましたね。

残業代は,払っていなかったのですか?

いやいや,ちょっと,先生,聞いてくださいよ。

まあ,たしかに,彼には期待しているので,ほかの社員よりも長く働いてもらってまして。あと,深夜時間の勤務もありまして。ただ,かといって,いま,残業代をたくさん払うわけにもなかなかいかなかったので,ここは思い切って,

彼を一気に,部長に格上げしたんですよ。

まあ,給与とか,はたらき方とか,待遇はまったく変わらないんですが,肩書だけ部長にかえまして。

先生,そうすれば,残業代って,払わなくていいんですよね?

 いえいえ,社長,それは違うんですよ。

 みなさん,そのように誤解している人が多いんですが,そうではないんです。

 部長にすれば,残業代を払わなくてよいという法律はないんです。

 ええ,そうなんですか!!

 そうなんです。みなさん,よく誤解されているのですが,部長などの肩書で判断するのではないのです。

法律上,「管理監督者」という,いわば,実質的に,経営者と一体的な立場になっているような場合には,時間外手当を払わなくてよいとされる場合があります。

 たとえば,ほかの普通の従業員さんとは違って,その労働時間を自由に決めさせたり,本人の裁量を広くしたり,人事権を持たせたり,その地位にふさわしい待遇をしていたりすれば,この法律上の管理監督者と認めてもらえる場合がありますが,これはなかなかハードルは高くて,なかなか認められないんです。

 そうだったんですか。

 はい,それと,管理監督者であっても,深夜時間,つまり,午後10時から翌朝午前5時までの割増賃金は,しっかりと払わなければなりません。また,労働時間管理も同じく,しっかりと行う必要があります。

 てことは,やっぱり,うちの会社,裁判起こされたら,負けますかね?

 残念ながら,その可能性は高いですね

 ええー,そんなー!!

目標管理:紙芝居型ブログ ブログ#162

 目標管理のむずかしさ,
紙芝居にしてみました。

<目標管理>

こちらはとある会社の社長です。社長は新しく目標管理制度を導入することにしました。そこで部下のA部長とB部長を呼び出しました。

 こちらが,A部長とB部長です。

コンコン失礼します。

A部長とB部長,今日お越しいただいたのは,会社で目標管理制度を導入することにしました。

というのは,最近,ライバル会社の営業が圧倒的に強く,わが社の業績が急降下してしまいました。このままでは,わが社はもはや存続できません。そこで,我が社の売上を急回復する必要があります。そこで,今後,徹底して,部下の目標をしっかり管理してがんばってください。目標管理制度を導入します。部下の方の面談もお願いしますね。これにより,一気に業績を回復させたいと思います。

は,はい,わかりました。

A部長は,さっそく,持ち前のリーダーシップを発揮し,部下をどんどん面談して行きました。そして社長から業績アップを命じられたため,そのプレッシャーから,部下の目標設定をかなり厳しく指導してしまいました。

こちらは,C君です。A部長は,C君に対し,かなり厳しい指導をしていました。

おいおい,C君,君の目標はこんなに低くていいのか?いやいやいやいや,こんなんじゃ全然ダメだろう。君はそんな小さい男じゃないだろう。男ならもっと,どどんといかなきゃ。そう思うだろう。こんな小さな目標じゃ,君のためにならないよ。な,な。

 は,はあ。ただ,そうは言っても,なかなか,今でも,目標達成できる月がほとんどないので,まずはこれくらいの目標からかなと。

 いやいやいやいや,なに言っちゃってるの。君はそんな小さい男じゃないだろう。そんな目標じゃ君のためにならない。君のためにおれは応援したいんだ。男ならもっと,ドドンと。わかるだろう。C君,わかってるよね。君は成長したくない男なわけ?

 い,いえ,がんばります。がんばらせていただきます。い,いえ,自分の成長のためにがんばります。

 しかし,C君は内心,こう思っていました。おれの成長のためっていうけどさ,結局,会社のためにやってるんだよね・・・。目標管理っていうけど,結局,自分で考えた目標は否定されて,結局,会社の設定した目標になっちゃうんだよな。これじゃあ,目標管理じゃなくて,ノルマ管理だよな。部長も,社長からのプレッシャーから,ああいうふうに,言わざるを得ない立場ってのは,わかってるんだけど,モチベーション下がるんだよなぁ。

 他方,こちらは,B部長です。B部長は,他社からの転職組でした。B部長は,以前の会社で,目標管理制度を経験したときのプレッシャーから、部下に目標を一方的に,押しつけることはしないようにと,気をつけようと思いました。

 まずは,部下の話をよく聞き,部下の興味があること,やりたい事,将来ビジョンなどをじっくり聞いてみよう。いきなり,目標はって聞かれてもなかなかモチベーションが上がらないだろうし,なにがモチベーションになるかは人それぞれだから,まずは,じっくり聞いてみよう。

そのうえで,今度は,会社の将来ビジョンや方向性について,両者が一致できることが,なにかあるか,一緒に考えてみよう。そういう共通点があったほうが,きっとモチベーションもあがるんじゃないかな。

部下の興味があること,やりたいこと,将来ビジョンと,会社の将来ビジョン・方向性,それぞれの円があるとすると,この二つの円が重なることを探していく,そして,二つの円が重なる面積を増やしていく,ていうイメージかな。

こちらは,D君です。D君は,B部長の部下です。

はあ,今日は目標管理の面談って言われたけど,いったい,どんな面談するのかなぁ。

ドキドキするな。コンコンコン失礼します。

おお,D君,おつかれさま。さっそく,今日の面談なんだけど,誰でもみんな,いきなり目標って言われても困るだろうから,まずは,君が,今後やりたいこととか,会社に望むこととか,まずは,なんでもいいから話してみてくれないかな。

あ,はい。わかりました。なんか今日は,いつものノルマの話の面談なのかなと思ってたんですけど,違う感じなんですね。

えーと,そうですね。僕は,中学生の息子がいて,勉強が好きなやつでして,僕が教えて,息子が,わかった,できたって顔を見るのが好きなんですよね。

それで,最近,教育って,面白いなって思ってて。なにか人に教えることもしてみたいなって気持ちになりました。

おお,そうなんだ。息子さんとそういう時間が過ごせるって,ステキだなぁ。

おれのときはあまりコミュニケーションとれなくて,そういうことはなかったから。

そうすると,例えば,社内で,人に教えることって,なにがあると思う。

 社内でですか,そうですねぇ。やっぱり,新入社員研修ですかね。あとは,こないだ僕が受けた営業マン研修ですかね。

 なるほど,そうだね。それなら,もし,君が希望するなら,新入社員研修を一部担当してもらっても良いからね。

 え,ほんとですか?ぜひやりたいです。

 おお,ぜひやってくれ。

営業マン研修については,いきなり担当してもらうってわけにはいかないんだけど,どうしたら担当できると思う?

 そうですね。過去の営業マン研修の内容をしっかり復習して,研修を受講する営業マンからのどんな質問でも答えられるようになっておかないといけないですね。

 そうだね。それはとても大切だね。ほかには,どんなことが必要だと思う?

 うーん,ちょっとすぐには思い浮かばないっすね。

 じゃあ,たとえばなんだけど,D君が受けたい,営業マン研修ってどんな研修かな?

 自分ですか,そうですね。自分なら,やっぱり,楽しく学べる研修がいいですね。よくあるんですけど,ひたすら知識を一方的に喋られる研修って眠っちゃうんですよ。逆に,眠らないで,楽しめる研修って,クイズをしたり,チームワークをやったり,意見交換しながら,その中で,自分なりの気づきがあって,ヨシ,明日からやってみようって思える研修は,起きてられるんですよね。あ,そっか,そういう研修にすればいいんだ。

 そう考えると研修の準備って大変ですね

 なるほどねぇ。今,話してるE君にも,気づきがあったみたいだね。

 あと,D君だったら,同じプログラムだったら,どんな人が講師の研修を受けたい?

 そうですね。やっぱり,自分で試して,結果が出た営業方法を教えてもらえる研修ですかね。成功も失敗も,実体験を教えてくれる感じですかね。

 あ,そっか,それ,今から自分がやればいいんだ。そうですよね。あれこれ試して,失敗も成功も,あとで話せるネタになるんだ。で,やっぱり最後は結果出してないと,なかなか説得力も出ないなって思いました。

 いいね。やりたいこととやることが明確になってきたみたいだね。

 それを踏まえると,今後の目標も少し立てやすくなったかな。

 はい,部長。ただ,いつも思うんですけど,こういう目標を立てる面談って,目標を宣言しちゃって,達成できなかったときに,落ち込むし,会社も目標達成できなかったっていう評価になっちゃうので,どうしても低い目標を立てちゃうんですけど,そういう場合は,どう考えたらいいのでしょうか?

 うーん,たしかに,そうなんだよなぁ。私も,よく,目標管理の面談を受けていたから,その気持ちよくわかるんだよ。私もそれについて明確な答えがあるわけではないんだ。うーん,悩ましい問題だよね。そうだなぁ。よし,今は,こう考えよう。

 結果を出すことは,もちろん君一人の責任ではなくて,私の責任でもあるし,会社全体の責任でもあると思うんだ。だから,この目標管理制度に関する目標達成度合いについては一切,評価の対象にしないようにしよう。その代わり,

目標を達成する方法やプロセスについて,どんなことを考えて,どんな行動をとったのか,どんなアクションをどれくらいとったのか,それにより,D君がどれくらい成長できたのかに焦点をあてていこう。

そう考えると,結果を出せばよいという話ではないから,二人での面談は,回数を増やす必要があるね。

 なるほど,そうですね。そう言ってもらえると,気が楽になりますし,思い切って挑戦できます。ありがとうございます。がんばります!!