紙芝居型ブログ

トラブルの良し悪し:紙芝居型ブログ ブログ#227

「30分ミニ社員研修教材」
 トラブルがない職場のほうが良い,
本当でしょうか?
 紙芝居にしてみました。

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<トラブルの良し悪し>

 こちらは,大手建設会社につとめる二人の現場監督,A監督とB監督です。

 A監督もB監督も,複数の現場を担当し,それぞれの現場で,多くの社員や協力スタッフを抱えて,現場を管理していました。毎日,いろいろなことが起きるなかで,必死にがんばって,プロジェクトを進めていました。

A監督は,平穏無事であることを重視し,現場で何事も起こらないことを最優先にしていました。

そのため,建設現場では,常に,ミスをしないこと,トラブルを起こさないことを重視し,現場を厳しくチェックしていました。

そして,部下にも,このように伝えていました。

「みなさん,工事現場は,とにかく,ミスをしないこと,トラブルを起こさないことが大切です。ですから,とにかく,トラブルにならないように,慎重に,慎重に,がんばってください。迷ったら,慎重に,とにかく慎重にがんばってください。」

 その結果,A監督の現場では,A監督が就任してからは,ほかの現場と比べて,ミスやトラブルが起きることが減少していきました。ただし,現場がピリピリすることが多くなりました。

 他方,こちらは,B監督です。

B監督は,明るく優しい性格で,おっちょこちょいな面もありますが,その人柄もあって,部下からも慕われていました。

 B監督は,工事の依頼主,施主さんに喜んでもらえること,満足してもらえることを重視していました。そのため,少し難易度の高い工事の注文・依頼であっても,お客さんの満足度を高めたいと思い,リスクをとって,承諾してしまうところがありました。

 ある日のことです。こちらは,Cさんです。Cさんは,B監督の部下です。

Cさんが慌てて,やってきました。

 B監督,すみません,先日,施主さんから追加依頼のあった追加工事,壁の耐久力がもたなくて崩れてしまいました。幸い,誰にもケガはなかったのですが,ちょうど施主さんが現場に来ており,わが社の技術力を心配して,このまま工事を進めて大丈夫かと,心配されています。

 な,なにー,そんなことがあったのか。とにかく,誰にもケガがなくてよかった。

 よし,急いで,お詫びに行くとともに,急ぎ,原因を分析することと,再発防止策を早急に仕上げて,施主さんの信頼回復に努めよう。

 このように,B監督の現場では,ちょっとしたミスやトラブルが起きることが多くありました。

そして,そのたびに,B監督は,トラブル対応で,大慌てで走り回り,また,部下もそれに合わせて走り回るということが多くありました。

 そのため,B監督の現場は,いつも納期がギリギリになり,余裕がないということが多くありました。

また,トラブルが起きるたびに,突発的な対応に追われることが多くなり,メンバーの稼働力に余裕がない,ということが多くありました。

また,突発的な対応のため,メンバーの残業が増えてしまうということも多くありました。

 他方で,お客さんからの評価,満足度については,リスクを取ってでも満足度を高めたいという姿勢が,効を奏して,うまくいったときは,高い評価を得られましたが,トラブルが発生して,うまく対応できず,お客さんからの評価が逆に下がってしまうということもありました。このように,浮き沈みが激しい状態でした。

そのほか,さまざまな種類のトラブルが起きるたびに,みなで力を合わせて乗り越えるという経験が多くなり,トラブルに強い,トラブル対応力の強いメンバーが育ちました

いかがでしたでしょうか。

みなさんが,この会社の監督だったら,みなさんがこの会社の社長だったら,みなさんがこの会社の社員だったら,どちらの監督が良いと思いますか?その理由は何でしょうか?

先入観:紙芝居型ブログ ブログ#226

「30分ミニ社員研修教材」
 先入観を持たないことの難しさ,
コンサルティングの難しさ,
紙芝居にしてみました。

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<先入観>

 こちらは,とある,食品卸売会社に勤務する課長のAさんです。

 Aさんは,とてもまじめで一本気な性格で,また面倒見が良かったことから,部下からも慕われていました。

わが社も,どんどん,人が増えてきたから,これからは,ますます,人財育成に力を入れないとな。

A課長は,優しい性格で,責任感が強かったため,自分の部下にはなんとしても会社の仕事を通して成長してもらいたいと思っていました。

 そこで,A課長は,部下と,もっとコミュニケーションをとろうと思い,積極的に,部下に話しかけようと思いました。

部下に対し,相談があればウェルカムです,どんどん相談に来てくださいと,伝え続けました。

 そうしたところ,A課長に相談をする部下がどんどん増えていきました。

 こちらは,A課長の部下のBさんです。

 A課長,すみません,今,少し,いいですか?

 おー,もちろんだよ。どしたの

 はい,すみません。取引先のC社さんのことでして。

 C社?えーと,あんまり記憶がないんだけど,どうかしたの?

 はい,うちの商品の納品先なんですけど,最近,値下げ要求を何度も何度もしてくるもので,ちょっと困ってるんです。

 あ,そうだったんだぁ。なるほどね。 値下げ要求かあ。どうしたらよいかねぇ。悩むよね。

はい,そうなんですよ。うちも今でも結構頑張っている金額なので,これ以上下げるのは厳しいなと思うんですよねぇ。手間もかかりますし。

そうだよねぇ。うちも,かなり大量仕入れで,安くなるように,頑張ってるもんねぇ。

先方さん,なにか事情でもあるのかねぇ。

先方の事情ですか,なるほど,それは考えたことがなかったですね。なるほど,自分,ちょっと,先方になにか事情があるのか聞いてみます。ありがとうございます。

お,おお,なんかいきなりテンション上がったみたいだね。わたし,何にもしてないけど,とにかく,よかったね。

それから一週間後のことです。一週間後,Bさんがまた相談にきました。

A課長,今,よろしいでしょうか。

おお,Bさん,どうしました?

はい,先日,ご相談させていただいた納品先のC社さんなんですけど,何度も値下げ要求してくるので,なにか事情があるのか,それとなく聞いてみたんです。

そうしたらですね。わかったんです。

最近,C社さんの近くに,ライバルの激安店ができちゃって,C社さんの業績が落ちちゃったらしいんですよ。

それで,ライバル店の価格に勝ちたくて,わが社に値下げ要求してきたということだったそうなんです。

あー,なるほどねぇ。そういうことだったのねぇ。

そっかー,そういうことかぁ。それなら,理由はわかったねぇ。じゃあ,どうするかだねぇ。

そうなんですよねぇ。ライバル店かぁ。うーん,

そうだ!わかった!ライバル店の問題が解決すればよいわけだから,なにかうちがC社さんに協力して,C社さんとタッグを組んで,ライバル店に勝つために,協力する方法がないか,一緒に考えるっていうのはどうですかね?

おお,それいいじゃん。タッグマッチ,かっこいいじゃん。一緒になって,共通の敵と戦うって感じだね。

はい,ちょっと,自分,そのライバル店を調査してきます。

おお,またテンション上がったみたいだね。わたし,何もしてないけど,とにかく,よかったね。

それから,また一週間後のことです。一週間後,Bさんがまた相談にきました。

A課長,今,よろしいでしょうか。

おお,Bさん,どうしました?

はい,先日,ご相談させていただいた納品先のC社さんの激安ライバル店を分析してきまして,どうやら,激安ライバル店は,

品数,商品数を絞る,商品数を絞って,激安にしているみたいなんです。

それで気づいたんですけど,だったら,激安ライバル店が強いところとは戦わないで,激安ライバル店が扱ってない商品で,

わが社の商品の売れ筋データをC社さんに提供して,そっちの商品を多く納品させてもらえばよいと思ったんです。いわば,戦わない,戦わずして勝つっていうイメージで。もしくは,争わず,共存するっていうイメージで。

おお,その手があったか,すごいじゃん。いいね。よく,思いついたね。なるほどだよ。

はい,ありがとうございます。さっそく提案してきます。

こうして,Bさんの提案はC社さんからとても喜ばれ,以前よりも納品額を増やす結果となりました。この一件で,Bさんは,社内でもとても評価されることになりました。

やったー。やったよー

 このように,A課長は,部下のお悩み相談に積極的に協力し,部下と一緒になって解決策を探していく,ということを繰り返しました。

 そうすると,社内で,A課長に相談すると良いという評判が一気に増えました。

そして,A課長は,相談に来る人は,意外と,同じようなお悩みが多いということに気づきました。

そして,A課長は,相談内容について,対策案や,知識や,対処策,ノウハウがどんどん増えて,蓄積していきました。

 そして,ある日のことです。

 こちらは,A課長の部下のDさんです。今度は,Dさんが相談にやってきました。

 A課長,今,よろしいでしょうか。

 おお,Dさん,もちろんですよ。どうしましたか?

 はい,すみません,実は,納品先のE社さんのことで。

 あ,E社さんですか,あー,もしかして,値下げ要求とかですか?

 はい,そうなんです,え,いったい,どうしてすぐわかったんですか?すごいですね。それで,どう対応したらよいかわらかなくて困ってまして。

 それでしたら,E社さんが困っていることを確認して,それに関する対策を一緒にやってあげてみてはどうですか?

 なるほど,商品を納品して終わりではなくて,納品先と一緒になって,解決していくっていうことですね。わかりました,ありがとうございます。

 このように,A課長は,部下の相談にのるという経験値が多くなったことから,部下のお悩みを的中させること多くなり,しかも,その対処策もあっという間に授けられることが増えました。社内でも,A課長に相談に行くと良いという評判になり,ますます,相談者が増えました。

 それからまたしばらくしてからのことです。

 こちらは,部下のFさんです。Fさんも相談に来ました。

 A課長,いま,よろしいでしょうか。

 はい,もちろんですよ。どうしましたか?

 はい,実は,納品先のG社さんのことでして。

 G社さん,あ,わかった,値下げ要求でしょ,あそこも結構,値下げ値下げって,うるさいでしょ。わかってるわかってるよ。そういうときはね,G社さんが値下げを要求する理由を聞いて,一緒に対処策をやってあげればいいんだよ。そうすればオッケーだから。

 え,えっと,あの,すみません,特に,値下げ要求はないんですけど。

 え,あ,そうなの,あ,わかった,じゃあ,あれだ,納期でしょ,納期をもっと早くしろって,言ってきたんでしょ。じゃあ,配送業者と連携して,もう一日だけ,納期早くしようか。あるよねぇ。その要求はよくあるんだよねぇ。

 え,えっと,あ,あの,すみません,そういったお話も特になくてですね。

 え,あ,そうなの,じゃあ,えっと,今日の相談って,なんだっけ?

 あ,はい,すみません,実は,G社さんの,担当者さんの件でして。

 あー,そういうことね,はいはいはい,わかってるわかってる,オッケーオッケー。G社の担当さんね。知ってる知ってるよ。実はね,あの人,私が昔,担当していたんだよ。気難しい人でねぇ。最初はとっつきずらくて,私も悩んだんだよ。でもね,あの人ね,酒好きなんだよ。だからね,一度,一緒に,飲みに行ったらいいよ。そしたらね,飲み仲間だと思われたら,急に,優しくなるから。

 え,えっと,あ,あの,すみません,そういったお話ではなくてですね,今回,担当の方が変わったんです。

 え,あ,そうなの,ごめんごめん,先走っちゃったね。じゃあ,今日の相談はなんだっけ?

 はい,実は,担当の方が交代,変わられたんです。それで,あと,自分,今度,結婚することになりまして,実は,新担当の方が,自分の妻の親戚の方なんです。

 ええー,そうなの,ていうか,おめでとう。めでたいねぇ。おめでとう。じゃあ,私さっそく,結婚式のスピーチ考えなきゃだな。私も一度,その方に挨拶に移行かな。いやぁ,めでたいね。本当におめでとう。

 じゃあ,その新担当の方とは,なおさら,うまく,円満にやっていかなきゃだね,がんばってくれよ,期待してるよ。

Fさんは,A課長に言えませんでしたが,内心,こう思っていました。

なんか,課長,喜んじゃってるから言えなくなっちゃったけど,納品先に,そういう関係者がいるって,コンプライアンス的に大丈夫なのかな。それをちょっと相談してみたかったんだけどなぁ。

それにさ,なんとなくやりづらいんだよね。やりづらいから,担当変えてもらえないかなって思ったんだけど,なんだか,言い出せなくなっちゃったなぁ・・・