紙芝居型ブログ

残業代問題(労働時間・管理監督者・固定残業):紙芝居型ブログ ブログ#272

「30分ミニ社員研修教材」

 残業代問題(労働時間・管理監督者・固定残業)
についての研修教材です。

残業代問題(労働時間・管理監督者・固定残業)

こちら,A部長です。A部長は,建設会社に勤務しています。工事部長として部下のメンバーをまとめあげて,毎日,工事現場でがんばっていました。

 ふー、毎日、忙しいなあ。

 でも、仕事って、すごいやりがいがあるなぁ。

 うまく建物が建てられて,お客さんが喜んでくれたときって、本当にうれしいもんだよなぁ。

 こちらは,B社長です。B社長は,もともと,とび職をしていたところ,一念発起して建設会社を立ち上げ,いまでは50人の社員を抱えて毎日をがんばっています。

 B社長は,若いころに自分が苦労した経験から,社員をとてもかわいがっていました。

 おお,Aさん,今日もおつかれさま。毎日みんなをまとめあげてくれて,本当にありがとうね。

 このような,おだやかな人柄のB社長に,Aさんをはじめとする社員はみなB社長をしたっていました。

そんなある日のことです。

 こちらは,Aさんの奥さんのC子さんです。

 あなた,今,あなたの実家のお母様から電話があって,また最近,お父様の具合がよくないって連絡が入ったわよ。なんとなくだけど,お母様一人だと,お父様の介護を一人でするのはもう限界なのかもしれないっていう雰囲気だったわ。

 Aさんのお父さんは,もともと高齢であることに加えて,病気がちであり,体調不良になることが増えていました。

 Aさんのお母さんも,Aさんのお父さんほどではないですが,体調をくずすことがありました。

 そのため,以前から,Aさんは実家に帰ることを考えていました。

 そんななか,今回の連絡がはいったため,とうとうAさんは,会社を退職して実家に帰ることになってしまいました。

 Aさん,君には,本当に助けてもらったよ。このような形で君に会えなくなることは本当に残念だけれども,もちろん,お父様のお体が最優先だからね,名残惜しいよ。今まで本当にありがとうね。

 社長,私のほうこそ,本当にお世話になりました。毎日,とても充実していました。本当にありがとうございました。

 こうして,Aさんは,実家に戻り,お父さんの介護をするようになりました。

 そして,しばらくしてから,ある日のことです。

 急いで実家に戻ってきたけど,これから仕事どうしようか。

 介護しながらできる仕事を見つけないとな。

 これからの生活を考えると,ちょっと不安だなぁ。

 そんなある日ことです。

 Aさんの奥さんのC子さんがAさんのところにやってきました。

 ねえあなた,ちょっといいかしら。

 こないだね,ママ友から聞いたんだけど,ご主人が会社に残業代請求っていうのをしたらしいの。そうしたら,500万円支払ってもらったんですって。しかも分割ではなくて一括払いで。

 法律っていろいろ難しいらしくて,残業代の計算間違いとか,支払い漏れがあることってよくあることらしくて,正確に計算したらそういう金額になったんですって。

 え,それってすごい金額だね。そんなことってあるんだね。びっくりだねぇ。でも,うちの社長にかぎってそんなことは絶対ないと思うんだよ。

> 

 そうよね,社長はあなたに本当によくしてくれたものね。私もそう思うんだけど,万が一っていうこともあると思ったので,一応伝えてみたわ。もし,気になったら,いろいろと相談だけするっていうこともできるらしいわよ。

 それからしばらくしてからのことです。Aさんはなかなか次の仕事が見つからず,時間が過ぎてしまいました。ますます,今後の生活が不安になってしまいました。そんな中,先日,奥さんから聞いた残業代請求のことが,どんどん気になっていきました。

 それから三か月後のことです。

 こちらは,B社長の会社の事務員さんです。

 社長,いま,お電話よろしいでしょうか。

 いま,会社に,突然,Aさんの弁護士と名乗る方から,内容証明郵便というものが届きました。

 未払の残業代450万円を一括で支払えと書いてあります。

 え,ええー,450万円!!いったいなんで,そんなことになってるんだ。そんな大金,一括で支払ったら,もう資金繰りが一気に回らなくなってしまうくらいの大金だぞ。

しかも弁護士から内容証明郵便って,ただごとじゃないな。よし,私も弁護士の先生に相談に行ってみよう。

 こちらは,弁護士さんです。

こんにちは。B社長,今日はどういったご相談ですかな?

 B社長は,事情を説明しました。

 なるほど,そういった事情でしたか。

 では,先方から届いたこの内容証明について,検討していきましょう。

 まず,Aさんの弁護士は,Aさんが,朝,資材置き場に行って建築資材などを現場に運び,夕方は建築資材などを現場から資材置き場に戻す業務を指示されていたと主張していますが,これは正しいということですな。

 はい,それは毎日ありました。

 なるほど,それで,Aさんは,建築現場での労働時間だけでなく,朝の資材置き場から建築現場までの移動時間と,夕方の建築現場から資材置き場までの移動時間も労働時間に含まれると主張していますね。

そして,だいたい,毎日2時間から4時間分の残業代が発生していると主張していますね。これを一定期間過去にさかのぼって請求されていますので,かなりの金額になりますね。

 しかも,一時間あたりの時間給の1.25倍を請求されますね。

 ええー,そんな,現場についてからが労働時間だと思ってたのですが,資材置き場に行ってから資材を現場に運ぶまでの時間も労働時間になってしまうのでしょうか?

 いろいろなケースがありますが,そのような業務命令があったということであれば,そういった移動時間も労働時間だと判断されている類似のケースは,たしかに,ありますね。

 ええー,そ,そんなぁ。まいったなぁ。

あ,でも,先生,そういえば,うちでは,Aさんを部長として扱っていたので,残業代はいらないのではないのですか?部長にすれば残業代はいらないって聞いたことがありまして。

 その点については,法律上,管理監督者という立場であると認定されれば一部の残業代が発生しないことがあるのですが,お聞きした事情からすると,部長になる前と後で働き方や待遇が変わっておらず,労働時間の裁量や人事権もないとなると,なかなか,管理監督者とは認めてもらえない可能性が高いと思います。

 ええー,そ,そんなぁ。まいったなぁ。

じゃあ先生,もう一つ,建設業はどうしても突発的な残業が発生してしまう面があるので,残業代を固定額で払っているんです。

うちの会社では,この固定額以上の残業代は,どれだけ残業しても払わないというルールにしまして,これをみんなに口頭で説明したところ,みんな納得してくれたので,固定の残業代制度にしているんですけど,これはどうですか?

 それについては,いろいろなケースがありまして,いろいろな事情によって結論が変わるのですが,固定額以上はどれだけ残業しても払わないというルールを口約束で,約束した,というケースですと,そのような合意は裁判では無効とされてしまう可能性は大いにあります。

 え,え,ええー,そんなぁ,大変だー,なんてこったー

相続と生命保険:紙芝居型ブログ ブログ#269

「30分ミニ社員研修教材」

 相続と生命保険の関係についての
研修教材です。

相続と生命保険

こちらは,A君です。A君の祖父,おじいさんは,昔,地元で建設会社を作り,現在は二代目であるA君の父親が建設会社の社長を務めています。

つい先日,この建設会社の会長を務めていたA君の祖父,おじいさんが亡くなり,相続問題が発生していました。

 こちらが,A君のお父さんのB社長です。なにやら,とても困っているようです。

 あー,困った困った。いったい,どうしたらいいんだろう。

 このとき,ちょうど,A君が帰宅しました。

お父さん,どうかしたの。とても大変そうだけど。

 おお,おかえり。いやぁ,父さん,ちょっと困っててさ。

 こないだ,おじいちゃん,亡くなっただろう。

 それでお葬式とか49日とかいろいろやってたらあっという間に時間が過ぎてさ,そしたら,税理士の先生から,突然,相続税の話を聞いてさ,

 びっくりしたんだよ。相続税って,すごい高いんだなぁって困ってたんだよ。

 そ,そうなんだ,とっても大変な状況なんだね。

 そうなんだよ,困ったよ。

 あー困った困った。まあしょうがない,なるようにしかならないから,今できることをがんばろう。

 A君は,こんなお父さんの姿を見て,こう思いました。

相続って,とても大変なことなんだな。僕も,いずれ,この会社をついで3代目になるかもしれないから,今から勉強しておこう。いったい何の勉強したらいいんだろう。

 A君はインターネットを見ていました。

へー,ファイナンシャルプランナーっていう仕事があるのか,へー,相続や事業承継の強い味方,そうなんだ,よし,ファイナンシャルプランナーの勉強をしよう。

 こうして,A君は,ファイナンシャルプランナーの勉強をして,めでたく資格をとりました。

 そして,お父さんとの間で,こんな会話をしました。

 お父さん,ぼく,ファイナンシャルプランナーの資格の勉強をして,めでたく,資格がとれたんだよ。だから,会社で仕事をしながら,同時に,相続や事業承継対策に取り組むよ。

 おお,それはいいな。いっぱい勉強して,父さんにも教えてくれよ。

 父さんが困ったことは,やっぱり,何といっても,とにかく,相続税額が高くて困ったことだな。相続税って,こんなにかかるなんてな。もっとかしこく,低く抑えられないのかなって思ったよ。

 それだったらさ,生命保険の保険金は,税務上は,相続税の計算をするときには,法定相続人の数に500万円をかけた金額の合計額分が,非課税になることがあるんだ。これはとってもお得だよね。現金で持っていたら全部課税されちゃって相続税が高くなっちゃうけど,これなら部分的に非課税にできるみたいだよ。

 しかも,特定の相続人が受取人になっている生命保険の保険金は,民法上は,受取人固有のものになって,相続財産からはずれて,遺産分割手続とかがいらなくなることがあるんだって。

そこで,この生命保険金を,相続・事業承継のための資金にすればよいと思うんだ。

 へー,そういう方法があるのか。なるほどなぁ,やっぱり,勉強とかして,『知ってる』と『得』することって,いっぱいあるんだな。それを痛感したよ。

よく調べてくれたよ。ありがとうな。よし,これで本業に集中できるな。がんばっていこう。

 うん,父さん,僕ももっとがんばるよ!!