2019年 1月 の投稿一覧

不当解雇事件(通常版):紙芝居型ブログ  ブログ#62

 今回は,
よくある不当解雇裁判の流れについて,

 紙芝居型でお伝えします。

 (学習の便宜のため,
実際の裁判とは異なる部分があります)


 Aくんは、新卒で、
食品の卸売り会社の営業マンとして入社しました。

 新社会人として、
毎日を一生懸命がんばっていました。

 あー、今日も忙しい忙しい、
毎日,あちこち駆け回ってるなぁ。

 これが社会人生活ってやつかぁ。
でも、毎日充実しているなー

 ある日、会社にいたA君に、
電話がかかってきました。

 Aくん、
取引先のB社さんから電話ですよ。
なんだか怒っている様子です。


ええ、僕ですか。なんだろうなあ。はい,もしもし,

 Aくん,ちょっと,会社にきてくれ。

 はい,わかりました。

 Aくん、君はまた納品ミスをしてくれたね。
これで3ヶ月連続じゃないか。

 すいません、申し訳ございません。

 さすがにもうあきれたよ。
残念だけど、君との取引は
考えさせてもらうかもしれない。

 そこをなんとか、どうかお許しください。

 いやいや、用件は以上だから、帰ってくれ。

 はー、こまったこまった
また社長におこられちゃう。どうしよう。

 社長,怒り出したら,
とまらないし,また雷落ちちゃうよ。

 おい、Aくん、聞いたぞ、
君はまた納品ミスをしたそうじゃないか。

 B社さんとても怒っていたぞ。
もしかすると取引を断られてしまうかもしれない。

 どうしてくれるんだね。
どう責任をとるつもりだ。
残念だが、君にはやめてもらうしかないね。

 そんな、どうか、どうか許してください。
先月、こどもがうまれたばかりで、
今、自分が必死にがんばらなければ、
妻と子どもを食べさせていけないんです。

 どうか、このとおりです。

 うるさい。
三ヶ月連続で納品ミスをしておきながら
何を言っているんだ。
きみはクビだ。

 君にはね,
30日分の給料を上乗せして払う。
君はクビだ。


そこをなんとか。

 うるさい、くびだ

 こうして、Aくんは、
泣きながら、退社しました。

 二ヶ月後

 あー青空の下のゴルフは気持ちがいいねぇ。
うーん、我ながらナイスショット

 プルルルルル

 おや、電話だ。秘書のC子くんからだ。
もしもし,なんだね。

 社長、大変です。裁判所から、書類がきました。

 なかみは、訴状です。
原告は、Aくん、被告は会社となっています。

 A君は不当解雇だと主張しているそうです。

 なに、いったいどういうことだ。
なんで、我が社が被告にされるんだ。
納得がいかないぞ。
A君のミスが原因なんだし,
ちゃんと30日分の給料も上乗せしたんだし,
不当解雇なはずがない。

 こうして、裁判所での裁判が始まりました。

 まあ、裁判なんて堅苦しいことやってるけど,
Aくんはあれだけひどい仕事をしたんだから、
クビで当然だろう。

 一ヶ月分の給料を渡したから、
我が社が負けるはずがない。


裁判は、一年かかりました。

 一年後、いよいよ判決の日になりました。
傍聴席では、判決をまつ人が集まっています。

 静粛に,判決を言い渡します
判決主文
Aくんには,会社の従業員としての地位を,認めます。

 また、会社は、A君にたいし、
解雇から本日までの一年分の賃金500万円を支払いなさい。

 ええ、我が社の完全敗訴ではないか。
しかも、この一年間の給料500万円を払えなんて、
額が多すぎる。

 なぜ、我が社が負けてしまったんだー
なぜだー

↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑

 解雇の有効性は,
ケースバイケースで判断されますが,
その判断は特に慎重にする必要があります。

給料・残業代の裁判,所得税・社会保険料の源泉徴収はどうなる? #61

 ある会社に対し,従業員の方が,
裁判で給料や残業代を請求した場合,

 所得税や社会保険料の源泉徴収はどうなるでしょうか?

 結論として,

 実は,裁判で給料や残業代を請求する場合,
所得税や社会保険料の源泉徴収分は,
控除しない金額を請求するのが実務なのです。

 この取り扱いに違和感を感じる方もいるかもしれません。

 この場合,
従業員の方が勝訴すれば,

所得税や社会保険料の源泉分を控除しない金額で,
判決文が作られます。

 そうすると,
その控除しない金額で,
強制執行されてしまいます。

 この場合,
どうなるかというと,
強制執行されたのち,

 会社のほうで,
従業員に対して,
源泉分を請求して支払ってもらい,

 その後,会社のほうで,
納付するという流れになってしまいます。

 この時に,
従業員の方の行方がわからなかったり,
源泉分の支払いが不可能な状態であった場合は,

 実際上は,
会社のほうで,源泉分を負担することになってしまい,
実際上,二重払いになってしまうリスクがあります。

 そこで,
強制執行される前に,
「請求異議の訴え」という方法があります。

 簡単に言うと,
裁判で確定してしまった,
所得税・社会保険料が控除されていない金額を,

 強制執行される前に,
所得税・社会保険料を控除する金額に変更するような
手続をすることができます。

 以上のような流れがあり得るため,
やはり,裁判になってしまう前に,

 この源泉の取り扱いも含め,
和解による解決が望ましいことが多いと思われます。

 さらに言えば,
そもそも,

法的トラブルが起こらないよう

予防することが理想ですね。