今回は,
よくある不当解雇裁判の流れについて,
紙芝居型でお伝えします。
今回は,通常版と異なり,
問題社員バージョンです。
(学習の便宜のため,
実際の裁判とは異なる部分があります)
>
Aくんは、新卒で、大手の食品の卸売り会社に入社しました。
A君は,元々,仕事よりもプライベートを充実させたいと思っているタイプで,あまり仕事に熱心な性格ではありませんでした。
>
実は,A君は,関連会社の社長の息子であり,父親のコネで入社した社員でした。そのため,A君は,自分のことをほかの社員と違って特別であると思っていました。
>
あー,また月曜日が来ちゃったなぁ。しょうがない,今日も会社いくか。
A君はこんな調子で働いていたため,先輩の指導もあまり熱心に聞いておらず,いつもミスを繰り返していました
>
ある日、会社にいたA君に、電話がかかってきました。
Aくん、取引先のB社さんから電話ですよ。なんだか怒っている様子です。
>
ええ、僕ですか。またなんかやっちゃったかな。はい,もしもし
>
Aくん,また,納品ミスだぞ。これで5か月連続じゃないか。
すんません。
なんだその謝り方は。なっとらんぞ。
す,すみませんでした。
>
A君は,社長に呼び出されました。
おい,A君、聞いたぞ、君はまた納品ミスをしたそうじゃないか。
B社さんとても怒っていたぞ。もしかすると取引を断られてしまうかもしれない。
どうしてくれるんだね。どう責任をとるつもりだ。
>
すんませんね
>
なんだその謝り方は。これだから,最近の若者はなっとらんのだ。
A君,君ねぇ。納品ミス5か月連続なんて,わが社の創業百年の歴史の中で,はじめての事態だぞ。わが社は,とにかく人を大事にする経営をモットーにしているから,とにかく,社員を信じて,処分とかはしないようにしている。
>
だから,わが社では,過去,一度も,社員に対して,戒告処分の一つもしたことはない。もちろん,君に対しても,何も処分したりしていないけれども,ほかの会社だったらこうはいかんのだぞ
すんませんでした。
>
A君,これは最後の警告だ。次納品ミスしたら,君は即,クビだぞ。絶対だからな。
私は警告したからな。
はい,わかりました
>
A君は,内心,こう思っていました。
全く,小言がうるさいんだよ。社長は。納品ミスくらいでえらそうなこと言っちゃってさ。クビだとか言っちゃってさ。でも,オレ,まだこの会社入ったばかりだし,今まで,なんにも,正式な処分とかされたことないから,さすがに,いきなりクビってことはないだろうから,まだまだミスしても大丈夫だろうな。
>
それから1か月後のことです。
>
会社にいたA君に、電話がかかってきました。
Aくん、取引先のB社さん電話ですよ。なんだか怒っている様子です。
ええ、僕ですか。またなんかやっちゃったかな。
>
Aくん,君,またやってくれたね。また,納品ミスだぞ。これで6か月連続じゃないか。
すいません、申し訳ございません。
さすがにもうあきれたよ。残念だけど、君との取引は考えさせてもらう。
そこをなんとか、どうかお許しください。
いやいや、用件は以上だよ。
>
あー、またやっちゃたか。まあ適当に謝り倒しておけば問題ないだろ。
>
おい、Aくん、聞いたぞ、君はまた納品ミスをしたそうじゃないか。
B社さんとても怒っていたぞ。もしかすると取引を断られてしまうかもしれない。
私は,先月,警告したよな。次,納品ミスしたらクビだと。残念だが、君にはやめてもらうしかないね。
>
またまた,これくらいでクビなんて,社長,冗談きついっすよ。
ふざけるなよ。私は,本気だ。もうわが社に君の居場所はない。
>
そんな、どうか許してください。これから心を入れ替えてがんばりますから。自分,先月、こどもがうまれたばかりですし,クビなんて,かっこつかないですよ。どうか、勘弁してください。
>
うるさい。6ヶ月連続で納品ミスをしておきながら何を言っているんだ。これまでどれだけ大目に見てきたと思ってるんだ。きみはクビだ。
>
君にはね,30日分の給料を上乗せして払う。そうすれば、会社は君をクビにできるんだ。わかってるだろう。
そこをなんとか。
うるさい、くびだ
>
こうして、Aくんは、泣きながら、退社しました。
>
二ヶ月後
>
あー青空の下のゴルフは気持ちがいいねぇ。うーん、我ながらナイスショット
>
ブルルルルル
おや、電話だ。秘書のC子くんからだ。もしもし,なんだね。
>
社長、大変です。裁判所から、書類がきました。
なかみは、訴状です。原告は、Aくん、被告は会社となっています。
>
A君は不当解雇だと主張しているそうです。
>
なに、いったいどういうことだ。なんで、我が社が被告にされるんだ。 納得がいかないぞ。A君のミスが原因なんだし,ちゃんと30日分の給料も上乗せしたんだし,不当解雇なはずがない。
こうして、東京地方裁判所での裁判が始まりました。
>
なんだか、裁判なんて,おおごとになってしまったけれども,今まで,あれだけ,A君のことは大目に見て,みんなでA君をカバーしても,ダメだったのだから,会社は限界まで努力したと認めてもらえるはずだ。
それに,30日分の給料も渡したしな。これでわが社が負けるはずがないだろう。
>
裁判は、一年かかりました。
一年後、いよいよ判決の日になりました。
傍聴席では、判決をまつ人が集まっています。
>
静粛に,判決を言い渡します
判決主文 Aくんには,会社の従業員としての地位を,認めます。
>
また、会社は、A君にたいし、解雇から本日までの一年分の賃金500万円をはらいなさい。
>
ええ、我が社の完全敗訴ではないか。しかも、この一年間の給料500万円を払えなんて、額が多すぎる。
なぜ、我が社がまけてしまったんだー なぜだー
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑
以上のような,
ひどいケースであっても,
すぐに解雇,というのは,
裁判ではなかなか認められないことが多いです。
解雇のまえに取れる手段は,
しっかり取っておく必要があります。
解雇の手続きは,
慎重に行う必要がありますね。