2018年 2月 の投稿一覧

給与の一方的減額は困難 #33

 経営者の方から,

ミスばかりする従業委員の給与額を下げたいというご相談も,

よくあります。

 

 まず,原則論は,

会社と従業員の方が,

正式に雇用契約を締結して,

給与額を決定した以上,

正当な理由なく,

会社が一方的に給与額を下げることは,

許されないことです。

 

 

そして,

給与額を下げることができる場合としては,

まず,従業員の方と,会社とが,

新たに,給与額を減額することについて,

約束をしたという場合が挙げられます。

 

 

しかし,

従業員の方にとって,

給与額は生活の糧となる

とても大切なものですので,

これに応じるとは限りません。

 

 

もし,

従業員の方がこれに応じるという場合は,

その意思をしっかりと

確認しておくために,

書類を作っておくべきです。

 

 

そして,書類を作ったとしても,

必ずしもそれが有効になるとは

限らないことに,

注意が必要です。

 

 

次に,給与額は,

人事考課によって決める

という人事制度があり,

これに基づいて,

給与額が下がる

ということはあり得ます。

 

 

ただし,この場合でも,

そもそも,

人事考課制度が不合理なものであったり,

給与減額の人事考課の内容が

合理性・社会通念上の相当性が

ないような場合には,

それが無効になり,

減額が許されない場合があります。

 

また,もともと,

給与額が,

会社の職能資格制度における

資格や等級によって決めるという制度があり,

その資格や等級の変更によって,

給与を減額できる場合があります。

 

 

ただし,この場合でも,

当該職能資格制度が

就業規則に明記されているか,

その内容が周知されているか,

その内容が合理的なものか,

当該資格や等級の変更が

合理性・社会通念上の相当性があるか

などを考慮して,

給与減額が無効とされてしまう

可能性はあります。

さらに,

懲戒処分として,

減給をしたり,

降格に伴う減給をしたりすることがあります。

ただし,

懲戒処分をするには,

懲戒規程を就業規則に明記していること,

その内容が合理的なものであること,

懲戒処分の対象となる事実が存在すること,

弁明の機会を与えるなど適正な手続きをとっていること,

二重処分に当たらないこと,

その他懲戒権の濫用と認められないことなど,

さまざまな条件を満たす必要があり,

ハードルは高いと言えます。

 

 

以上より,

給与額を一方的に下げることは

なかなか難しいということを,

認識しておくことが重要です。

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雇用契約即時解除の誤解 #32

雇用契約の即時解除(労基法15条2項)も,
誤解されていることの多い法律です。

具体的には,
従業員の方から,
次のようなことを言われたというケースです。

ある従業員が,突然,
退職したいと言い出し,

その理由は,
入社面接の際に説明された労働条件と,
採用された後に交付された
労働条件通知書の内容が
異なっていたので,

労基法15条2項を適用して,
雇用契約を即時解除する
と主張されたというケースです。

しかし,
労基法15条2項は,
「明示」された労働条件が,
実際と違っていた場合に,
即時に雇用契約を
解除できるというものであり,

しかも,
労働基準法施行規則5条3項という規定が,
「明示」の方法は「書面の交付」
と定めておりますので,
入社面接の際に,
口頭で言われた労働条件が,
実際と異なるというケースでは,

書面の交付がなければ,
「明示」されたとはいえず,
当該雇用契約即時解除の規定の適用は
難しいと思われます。

とはいえ,
当然ながら,本来,
入社面接の際に説明した労働条件と,
異なる内容の労働条件通知書を交付したり,
当初の説明と異なる取扱いをしてはいけません。

そのようなケースにおいて,
入社面接の際に説明した
労働条件の存在が立証された場合は,
当該条件での雇用契約の成立が
認められる可能性があります。

また,
ハローワークを経由している場合は,
ハローワークから
注意等を受ける可能性もありますので,
ご留意ください。

条文のご紹介↓

労基法15条1項

「使用者は,労働契約の締結に際し,
労働者に対して賃金,労働時間
その他の労働条件を
明示しなければならない。

この場合において,
賃金及び労働時間
に関する事項その他の
厚生労働省令で定める事項については,
厚生労働省令で定める方法により
明示しなければならない。」

労基法15条2項
「前項の規定によつて
明示された労働条件が
事実と相違する場合においては,
労働者は,即時に労働契約を
解除することができる。」

労基法施行規則5条3項
「法第十五条第一項後段の
厚生労働省令で定める方法は、
労働者に対する前項に規定する
事項が明らかとなる書面の交付とする。」

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労働審判と民事訴訟の関係 #31

「労働審判」って何ですか?
よくいただく質問の一つに,
この質問があります。

誤解をおそれず,
簡単に言ってしまえば,
労働審判は,
労働問題に限定された手続で,

しかも,普通の裁判・民事訴訟をかなり簡略化した,
ミニ裁判,プレ裁判というようなイメージです,
とお伝えしています。

詳しくお伝えすると,
ふつうの裁判,民事訴訟と比較してお伝えしますと,
民事訴訟は、テレビドラマなどでもよく見る、
公開の法廷で行う裁判手続をイメージされると思います。

だいたい、
第一審の判決が出るまで一年ほどかかり、
長いものであればさらに時間がかかります。

概ね、月に一度、
裁判期日が設定され、
最初のうちは、原告と被告の双方がお互いの主張を出し合い、

争点が明らかとなったところで
(ここまでで、少なくても
半年ほどの期間がかかっていることが多いです。)、

証人尋問を行い、
そして、裁判所が判決を言い渡すことにより、
第一審段階での結論が出るという流れになっております。

なお、争点が明らかとなった段階や、
証人尋問後の段階で、
原告と被告が譲り合って解決方法を探すために、
和解による解決を検討することがあります。

これに対して、
労働審判は、
公開の法廷では行われず、非公開で行われます。

進行スピードがとても早く、
平均審理期間は、約70日ほどと言われ、
民事訴訟と比べると驚異的な早さと言えます。

労働審判は、
申し立てから原則として40日以内に
第1回期日が設定されます。

その後も、概ね、1ヶ月ごとに期日が設定されます。
原則として、
第1回の期日で、すべての主張を行い、
証拠を提出する必要があり、
遅くとも第2回期日までに
すべての主張・立証をしておくことが望まれます。

そして、第1回から、
話し合いによる解決が試みられることが多く、
第3回の期日までに話し合いが整わない場合は、
審判という形で、
結論が言い渡されるというものです。

そうすると、
労働審判の申し立てを行う方は、
十分な準備時間があるのに対して、

労働審判の申し立てを受ける方は、
準備時間が少ないため、
申し立てを受ける方は相当な負担になると思われます。
(ただし,結論に納得できなければ,
異議の申し立てと言って,
通常の民事訴訟に移行してもらうことができます。)

そのため、労働問題のトラブルがあった際は、
労働審判の申し立てがなされることを予期して、
準備をしておく必要があります。

準備時間がない場合、
弁護士に相談をしても、
弁護士が準備時間をとれない関係で、
お役に立てないということがあります。

ちなみに、労働審判は、
事件の7割が,調停が成立しているそうで、
解決率としてもかなり高い数字であると思います。

逆に、調停が成立せず、
審判がなされた事件は、
そのうちの6割が,
異議申立てがされているそうです。

そして、よく、労働審判がダメだったら、
民事訴訟をすればいいでしょうか?という質問がございます。

しかし、労働審判の結果に対して、
不服のある当事者は、
その旨を「異議」という形、申し出ると、
当該手続きは、そのまま、民事訴訟に移行することになるのです。

これは、労働審判を申し立てた側でも、申し立てられた側でも、
どちらが異議を出しても、民事訴訟に移行するのです。

そのため、労働審判の申立てを行う場合、
審判で意図する結果を得られなかった場合、
異議を出せば訴訟に移行しますし、
訴訟までは望んでいなかったとしても、
相手方が異議を出した場合は、
やはり、訴訟に移行することを
覚悟しておかなければなりません。

逆に、労働審判で意図する結果を得られても、
相手方が異議を出せば、
やはり、民事訴訟に移行することを
覚悟しておかなければなりません。

このように、労働審判と民事訴訟の関係は、
正確に把握しておく必要があります。

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