紙芝居型ブログ

不当解雇問題(ブラック社長バージョン):紙芝居型ブログ・ブログ#66

 今回は,

不当解雇裁判の流れについて,

 紙芝居型でお伝えします。

 今回は,通常版と異なり,

ブラック社長バージョンです。

 (学習の便宜のため,

  実際の裁判とは異なる部分があります)

 こちらはA君です。
A君は、新卒で、
食品の卸売り会社の
営業マンとして入社しました。

 A君は,
まじめな頑張り屋さんでした。
新社会人として、
毎日を一生懸命がんばっていました。

 あー、今日も忙しい、
毎日,あちこち駆け回ってるなぁ。
これが社会人生活ってやつかぁ。
でも、毎日充実しているなー

 A君は,毎日必死にがんばって,1年が過ぎました。

 他方,こちらはB社長です。
B社長は,裸一貫で東京へ状況し,
必死に働いて,現在は,
従業員を100名抱える社長です

 最近の不況で,B社長は,
会社の状況がどんどん
悪くなっていると感じておりました。

 うーん,まずいなぁ。
会社の業績がどんどん落ちてる。

 これはちょっと経費削減
しなければいけないな。
どうしようかな。

 そうだ,まずは,やっぱり,
一番若い社員にやめてもらおう。

 一番若い社員は,
会社への貢献度もまだ低いからな。

 それに若い社員なら,
ほかの会社でやっていけるだろうし。

 うちで一番若い社員はA君だな。
よし,A君をやめさせよう。

 じゃあ,どうやってやめさせようかな。
いきなりだとびっくりするだろうしなぁ

 そうだ,A君が業務でなにかミスをしたら,
それを理由にしよう

 ある日のことです、
会社にいたA君に、
先輩のCさんから電話がかかってきました。

 Aくん、Cさんから電話ですよ。
なんだか怒っている様子です。

 ええ、僕ですか。
なんだろうなあ。はい,もしもし,

 Aくん、君は納品ミスをしてくれたね。
これで2か月連続じゃないか。

 すいません、申し訳ございません。

 まあ,二回とも,
私がフォローしておいたから,
特に問題は発生しなかったからいいけど,
もう二度とこんなミスをしてないでくれよ。

 本当に申し訳ございません。

 はー、こまったこまった
また社長におこられちゃう。
前回ミスしたときも,
こっぴどく怒られたからなぁ。
はー,嫌だなあ。
社長,怒り出したら,とまらないからなぁ。

 事情を聞いたB社長が,
外出から戻ってきました。

 おー,A君,おつかれさま。
先輩のCさんにまた怒られてしまったらしいね。
大変だったね。疲れただろう。
ところで,ちょっと社長室に来てくれ。

 あれ,社長,全然怒ってない。
なんでだろう。まあいいか,助かったー
コンコン,失礼します。
社長,なんでしょうか?

 今日は,A君に話があってね。
先日も納品ミスをして,
今日も納品ミスしてしまったね。
でも私は全然怒ってないんだ。
そんなときもあるだろう。
仕方ないよ。いいんだ。
ただね,A君には,
この仕事,向いてないと思うんだ。
君には,
君の才能をもっと活かせる
仕事があると思うんだ。どうだね,
どこかほかの会社に行ってみないか?

 いえ,自分は今の仕事が大好きですから
やめたくないんです。

 いやいや,
A君にはもっと向いている仕事があるよ

 いえいえ,
私は会社が大好きなんです。どうかこのまま働かせください。

 いーや,君にはほかの会社のほうが合ってるよ

 そんな、どうか、どうかここで働かせてください。

 君ねぇ。今日も納品ミスして,
こないだもミスして,
会社にどれだけ迷惑を
かけていると思っているんだ。
全く。もう会社に君の居場所はないんだ。

 そんな,自分は,先月、
こどもがうまれたばかりで、
今、自分が必死にがんばらなければ、
妻と子どもを食べさせていけないんです。
どうか、このとおりです。

 うるさい。
2ヶ月連続で納品ミスを
しておきながら何を言っているんだ。
きみはクビにする。

 君にはね,
30日分の給料を上乗せして払う。
そうすれば,法律上,
会社は君をクビにできるんだ。

 ええー,そうなんですかー,そんなー

 こうして、Aくんは、
泣きながら、退社しました。

 A君は途方に暮れていました。
A君は,たまたま
インターネットを見ていたところ,
「知らないと損する労働法」
というホームページを見ていました。

 え,なにこれ,ええー,
30日分の給料払えばクビにできるは誤解!

 日本の労働法では,
クビはなかなかむずかしい!!
へー,そうなの,


詳しくは,お近くの社会保険労務士まで。

 へー,そうなんだ,ちょっと,相談に行ってみよう。

 こちらは,社会保険労務士さんです
こんにちは。今日は,どういったご相談ですか?

 はい,僕,会社をクビになってしまいまして。

 そうでしたか,それはどうしてですか?

 二か月連続で納品ミスをしてしまいまして。
社長から,法律では,
30日分の給料払えばクビにできると言われました。

 A君はくわしく事情を説明しました。


 そういう説明をされたのですね,
実は,それ,よくある誤解なんです。


どういうことかというと,
解雇予告手当という
法律・ルールがあって,
クビ,つまり解雇をするには,
30日以上前に予告をしなければならない,
もし,その予告が間に合わないのであれば,
その間に合わない期間に対応した分の
お給料を払わなければならない
という法律・ルールがあるんです。


これをみなさん,
誤解してしまって,
30日分払えばクビ・解雇できる
と誤解してしまっている人が多いんですが,
そうではなくて,
これは解雇の予告に関するルールであって,
実際に解雇が認められるかどうかは,
また別のお話なんです。

 そして,日本では,
解雇が有効になるには
かなりハードルが高いと言われています。
なかなか解雇は難しいということですね。

 ええ,そうだったんですか,
社長がクビと言ったら,
クビだと思ってました。


はい,みなさん,
意外と知らないのですが,
実はそうなんです。

 知らないと損することって,
実はたくさんあるんですよ。

 今回のケースだと,
たしかに納品ミスをしてしまっていますが,
それについて,
具体的な損害は発生しなかった
ということであるし,

 会社から解雇以外の処分を受けたこともないし,
配置転換等もされていない
ということなので,
法律的には,
今回の解雇は無効かもしれないですね。

 少なくとも,
30日分のお給料を払えば解雇できる
という説明は,間違ってますよ。

 そうだったんですか。知らなかった。
ということは,僕,
騙されてたんですね,くやしいですっ

 二ヶ月後のことです。

 あー青空の下のゴルフは気持ちがいいねぇ。
うーん、我ながらナイスショット

 ブルルルルル

 おや、電話だ。
秘書のD子くんからだ。
もしもし,なんだね。

 社長、大変です。


東京地方裁判所から、
書類がきました。
書類の中身は,
訴状となっています。

 なにー!!


はい。原告は、Aくん、
被告は会社となっています。

 A君は不当解雇だと主張しているそうです。

 いったいどういうことだ。
なんで、我が社が被告にされるんだ。
納得がいかないぞ。
A君のミスが原因なんだし,
ちゃんと30日分の給料も上乗せしたんだし,
不当解雇なはずがない。

 こうして、裁判所での裁判が始まりました。

 まあ、裁判なんて堅苦しいことやってるけど,
Aくんはあれだけ
ひどい仕事をしたんだから、
クビで当然だろう。

 30日分の給料も上乗せしたから、
我が社が負けるはずがない。

 裁判は、一年かかりました。

 一年後、いよいよ判決の日になりました。
傍聴席では、判決をまつ人が集まっています。

 静粛に,判決を言い渡します
判決主文 Aくんには,
会社の従業員としての地位を,認めます。


また、会社は、A君にたいし、
解雇から本日までの一年分の賃金
500万円をはらいなさい。


ええ、我が社の完全敗訴ではないか。
しかも、この一年間の
給料500万円を払えなんて、額が多すぎる。
なぜ、我が社がまけてしまったんだー なぜだー

(あくまで一例であり,ケースバイケースです。)

不当解雇問題:紙芝居型ブログ・ブログ#64

 今回は,
よくある不当解雇裁判の流れについて,

 紙芝居型でお伝えします。

 今回は,通常版と異なり,

問題社員バージョンです。

 (学習の便宜のため,
実際の裁判とは異なる部分があります)

 Aくんは、新卒で、大手の食品の卸売り会社に入社しました。

 A君は,元々,仕事よりもプライベートを充実させたいと思っているタイプで,あまり仕事に熱心な性格ではありませんでした。

 実は,A君は,関連会社の社長の息子であり,父親のコネで入社した社員でした。そのため,A君は,自分のことをほかの社員と違って特別であると思っていました。

 あー,また月曜日が来ちゃったなぁ。しょうがない,今日も会社いくか。

 A君はこんな調子で働いていたため,先輩の指導もあまり熱心に聞いておらず,いつもミスを繰り返していました

 ある日、会社にいたA君に、電話がかかってきました。

 Aくん、取引先のB社さんから電話ですよ。なんだか怒っている様子です。

 ええ、僕ですか。またなんかやっちゃったかな。はい,もしもし

 Aくん,また,納品ミスだぞ。これで5か月連続じゃないか。

すんません。

なんだその謝り方は。なっとらんぞ。

す,すみませんでした。

 A君は,社長に呼び出されました。

 おい,A君、聞いたぞ、君はまた納品ミスをしたそうじゃないか。

 B社さんとても怒っていたぞ。もしかすると取引を断られてしまうかもしれない。

 どうしてくれるんだね。どう責任をとるつもりだ。

 すんませんね

 なんだその謝り方は。これだから,最近の若者はなっとらんのだ。

 A君,君ねぇ。納品ミス5か月連続なんて,わが社の創業百年の歴史の中で,はじめての事態だぞ。わが社は,とにかく人を大事にする経営をモットーにしているから,とにかく,社員を信じて,処分とかはしないようにしている。

だから,わが社では,過去,一度も,社員に対して,戒告処分の一つもしたことはない。もちろん,君に対しても,何も処分したりしていないけれども,ほかの会社だったらこうはいかんのだぞ

 すんませんでした。

 A君,これは最後の警告だ。次納品ミスしたら,君は即,クビだぞ。絶対だからな。

私は警告したからな。

 はい,わかりました

 A君は,内心,こう思っていました。

 全く,小言がうるさいんだよ。社長は。納品ミスくらいでえらそうなこと言っちゃってさ。クビだとか言っちゃってさ。でも,オレ,まだこの会社入ったばかりだし,今まで,なんにも,正式な処分とかされたことないから,さすがに,いきなりクビってことはないだろうから,まだまだミスしても大丈夫だろうな。

 それから1か月後のことです。

 会社にいたA君に、電話がかかってきました。

 Aくん、取引先のB社さん電話ですよ。なんだか怒っている様子です。

 ええ、僕ですか。またなんかやっちゃったかな。

 Aくん,君,またやってくれたね。また,納品ミスだぞ。これで6か月連続じゃないか。

 すいません、申し訳ございません。

 さすがにもうあきれたよ。残念だけど、君との取引は考えさせてもらう。

 そこをなんとか、どうかお許しください。

 いやいや、用件は以上だよ。

 あー、またやっちゃたか。まあ適当に謝り倒しておけば問題ないだろ。

 おい、Aくん、聞いたぞ、君はまた納品ミスをしたそうじゃないか。

 B社さんとても怒っていたぞ。もしかすると取引を断られてしまうかもしれない。

 私は,先月,警告したよな。次,納品ミスしたらクビだと。残念だが、君にはやめてもらうしかないね。

 またまた,これくらいでクビなんて,社長,冗談きついっすよ。

ふざけるなよ。私は,本気だ。もうわが社に君の居場所はない。

そんな、どうか許してください。これから心を入れ替えてがんばりますから。自分,先月、こどもがうまれたばかりですし,クビなんて,かっこつかないですよ。どうか、勘弁してください。

 うるさい。6ヶ月連続で納品ミスをしておきながら何を言っているんだ。これまでどれだけ大目に見てきたと思ってるんだ。きみはクビだ。

君にはね,30日分の給料を上乗せして払う。そうすれば、会社は君をクビにできるんだ。わかってるだろう。

 そこをなんとか。

 うるさい、くびだ

 こうして、Aくんは、泣きながら、退社しました。

 二ヶ月後

 あー青空の下のゴルフは気持ちがいいねぇ。うーん、我ながらナイスショット

 ブルルルルル

 おや、電話だ。秘書のC子くんからだ。もしもし,なんだね。

 社長、大変です。裁判所から、書類がきました。

 なかみは、訴状です。原告は、Aくん、被告は会社となっています。

A君は不当解雇だと主張しているそうです。

 なに、いったいどういうことだ。なんで、我が社が被告にされるんだ。 納得がいかないぞ。A君のミスが原因なんだし,ちゃんと30日分の給料も上乗せしたんだし,不当解雇なはずがない。

 こうして、東京地方裁判所での裁判が始まりました。

 なんだか、裁判なんて,おおごとになってしまったけれども,今まで,あれだけ,A君のことは大目に見て,みんなでA君をカバーしても,ダメだったのだから,会社は限界まで努力したと認めてもらえるはずだ。

それに,30日分の給料も渡したしな。これでわが社が負けるはずがないだろう。

 裁判は、一年かかりました。

 一年後、いよいよ判決の日になりました。

 傍聴席では、判決をまつ人が集まっています。

 静粛に,判決を言い渡します

判決主文 Aくんには,会社の従業員としての地位を,認めます。

 また、会社は、A君にたいし、解雇から本日までの一年分の賃金500万円をはらいなさい。

 ええ、我が社の完全敗訴ではないか。しかも、この一年間の給料500万円を払えなんて、額が多すぎる。

 なぜ、我が社がまけてしまったんだー なぜだー

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 以上のような,

ひどいケースであっても,

すぐに解雇,というのは,

裁判ではなかなか認められないことが多いです。

 解雇のまえに取れる手段は,

しっかり取っておく必要があります。

 解雇の手続きは,

慎重に行う必要がありますね。