ビジネス書紹介

ビジネス書紹介19「13歳からのアート思考」:ブログ#295

 経営相談・ビジネスコーチングの場面において、
経営者の方とさまざまな事柄において、
一緒にアイデア出しをすることが多く、
 
 たとえば、
営業活動・マーケティング、セールス、ステップづくり、
人財育成、マネジメント全般にわたって、
そのときどきで、経営者の方の優先事項について、
 
 一緒にアイデア出しをすることが多いのですが、
なかなか良いアイデアが出せない経験をするたびに、
 
 自分の着眼点の狭さ、少なさを反省し、
その度に少しでも情報のストックを増やし、
視野を広げるために、
 
 ビジネス書を読んだり、
各種のセミナーに通ったり、
様々な方に会いに行かせていただいたり、
と試行錯誤する毎日であるところ、
 
 最近、
「アート思考」という言葉をよく聞くようになり、
アイデア出しに活かせることがあれば、ぜひ、
学びたいと思っていたところに出会った、
本書「13歳からのアート思考」
(末永幸歩先生:ダイヤモンド社)
はとても興味深いものでした。 
  
 特に、本書によると

●どんなに変化にすばやく食らいつこうと思っても、
 もはや追いつけないほどに
 世の中の変動が激しくなってしまった
  
●VUCAといわれる世界で、100年以上の寿命を生きることに 
 なるかもしれない私たちは誰でも、いつかどこかで
 予想もしなかった変化に見舞われたり、まったく
 見通しのきかない獣道を歩んだりすることになるはずです。
 そんな時でも、「自分の愛すること」を軸にしていれば、
 目の前の荒波に飲み込まれずに、何回でも立ち直り、
 「表現の花」を咲かせることができるはずです。

 
 とのこと、
とても説得力がありました。
 
 ついつい、頭でっかちで、他社情報を収集したり、
セオリーを重視しがちな私は、
  
 既存の考え方・手法を追随しがちであり、
気をつけなければならないと思いました。
  
 実際、これまでお会いしてきた経営者の方には、
ご自身の興味・実現したい事、強い想いをもって、
 
 既存の考え・手法・セオリーとは異なるアイデアで、
成功している経営者の方に、
多くお会いしてきました。
 
 
 そして、本書でいう「アーティスト」とは、
 
●「自分の興味・好奇心・疑問」を皮切りに、
 「自分のものの見方」で世界を見つめ、
 好奇心に従って探求を進めることで
 「自分なりの答え」を生み出すことができれば、
 誰でもアーティストであるといえる
 
 とのこと、
 
 さらに、著者の末永先生の講義を受講された方の感想に、
 
●自分の信念を「ビジネス」のかたちで人々に広げている人もまた、
 アーティストといえるのではないかと思う
 
 との感想が掲載されていました。
 たしかに、なるほど、
  
  経営者・事業主の方は、
ご自身の強い興味・関心・想いから、
全リスクを一人で背負ってビジネスを開始し、
 
 必死に活動し、
お客様満足を追求し、
取引先様にお支払いをし、
社員の方にお給料を支払って、
ビジネスの体制を構築し、
不測の事態・リスクに備え、
ビジネスを継続・継承できるように、
全身全霊で毎日、チャレンジ・挑戦し、
 
 ご自身の見方・答えを探求し続けている、
 
 まさに「アーティスト」であると思いました。
 
 アート思考をトレーニングするために、
なにか知識を暗記したりするということではなく、
 
 作品を鑑賞してアウトプットすること、
作品を見て、気が付いたことや感じたことを
声に出したり、紙に書いたりすることが推奨されており、
 
 この点は、
山口周先生の著書
「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」
(光文社新書)
と同様の主張であると思いました。
 
 絵心がまったくなく、
これまで美術について全く縁がなかった私でも、
作品を見てアウトプットすること自体は可能ですので、
おかげで、美術に対する興味が強くなりました。
 
 ありがとうございました。

ビジネス書紹介18「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」:ブログ#294

 経営相談、ビジネスコーチングの場面で、
経営者様の会社の財務書類を3年分ほど拝見して、
売上高、粗利率、利益率、現金保有高、借入金、キャッシュフロー
などの推移から、一定の方向性について、
アドバイスさせていただくことは多いですが、
  
 それでも、それを踏まえても、
経営者の方が逆の方向に進むと決断されたときは、
その選択された方向で進めてみると、
 
 実際、その経営者の方の読み通りになったり、
結果オーライになるという経験がよくありました。
 
 そのたびに、驚くとともに、
経営には数値で測れない事が
多くあるのだろうと思うとともに、
それはいったい何なんだろう???
と疑問をもっていました。
 
 その答えの一つが、
本書にあるように思います。

 
 というのは、
本書によると、
 
●グローバル企業が世界的に著名な
アートスクールに幹部候補を送り込んでいるそうで
それは、これまでのような
分析・論理・理性に軸足を置いた経営、
いわば「サイエンス重視の意思決定」では、
今日のように複雑で不安定な世界において
ビジネスのかじ取りをすることはできないことを
わかっているから、

●精密なマーケティングスキルを用いて
論理的に機能的優位性や価格競争力を形成する能力よりも、
人の承認欲求や自己実現欲求を刺激するような
感性や美意識が重要になる

●本書では「経営における美意識」という言葉を、
これらの様々な企業活動の側面における
良い・悪いを判断するための認識基準として用いる
例えば
・従業員や取引先の心を掴み、
 ワクワクさせるような「ビジョンの美意識」
・自社の強みや弱みに整合する、
 合理的で効果的な「経営戦略の美意識」
・顧客を魅了するコミュニケーションや
 プロダクト等の「表現の美意識」
 
  
 このお話を聞いて、なるほど、
まさに、経営者の方の「直感」による判断が奏功するのは、
そういうことだったのか、
と腹落ちするとともに、
  
 ついつい頭でっかちになりがちで、
他社情報や情勢に関する情報等を
収集してそれを重視しがちな自分には、
大いに反省しなければならない
ことだと思いました。
 
 さらに、上述のように、
経営相談、ビジネスコーチングの場面において、

 現場の情報を一番持っているのは
クライアント自身なので、
 
 たとえ数値等から予測される方向性やセオリーと違っていても、
最後はクライアント自身の直感・決断を重視するほうが、

 仮にその時点では、うまくいかなかったとしても、
そこから得られる経験値、
改善のタネは多いように思われ、
 
 また、やってみて、実行してみて、
はじめてわかる情報・得られる経験値も多いと思われるため、
 
 効果的な改善策を思いつく可能性が高くなり、
改善スピードも速くなるのではないかと思われ、
 
 そのことからも、
経営相談・ビジネスコーチングの場面では、
一定の結論を押し付けるのではなく、
 
 いかに、クライアントご本人が
様々な角度からの分析がしやすくなるよう、
視点を増やしたり、
着眼点を提供したり、
 
 ご自身でご自身の経験・現場情報に基づく
「気づき」を得ていただいて、

 行動へのモチベーションを高めていただけるよう、
サポートすることがが重要なのではないかと、
再認識しました。
 
 なお、
この場合の美意識を高めるトレーニングとしては、
美術の歴史や知識を暗記するというようなことではなく、
 
 観察眼、観る力を鍛えることだそうで、
VTS(VisualThinkingStrategy)
という、ビジュアルアートを用いたワークショップによる
鑑賞力教育だそうです。
 徹底的に作品を見て、感じて、言葉にする、とのこと、
  
 これを聞いて思ったのは、
美術作品を見て、感じて、言葉にすることには
見方や感じ方は人それぞれで絶対の正解がないので、
それを繰り返しトレーニングすることが、

 ビジネスに共通する、
つまり、
「誰にも正解がわからない」ものであるビジネスに
取り組むことと上記のVTSには、
共通する要素があるのかな、
と思いました。
 
 
 本書はとてもおもしろく、
絵心が全くない、美術が苦手な私でも、
アートに近づいても良いのかという気づきも
いただきました。
  
 ありがとうございました。