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よくある民事裁判の誤解:紙芝居型ブログ ブログ#105

 ある人が,民事裁判で勝訴しました。
 
 その裁判では,多額の金額を勝ち取りました。

 しかし,そのあと,
待ち受けていたのは,
意外な事態でした。

 法律に関するよくある誤解,
『知らない』で『損してしまう』
よくあるパターンです。

 紙芝居でお伝えします。

<よくある民事裁判の誤解>

 A社長は,木製家具を販売している会社の社長です。

 A社長は,もともとものづくりが大好きで,しかも,木材の温かみが感じられる家具を作ることが大好きでした

そして,今では,5人の従業員と木製家具の販売会社を運営しています。

ある日のことです。

A社長は,とても悩んでいました。

うーん,困ったなあ。お客さんのBさん,先日,引っ越し先の新居に,ダイニングテーブルから,机から,椅子から,全部,Bさんち専用の木材家具一式,オーダーメイドで納品したんだよなぁ。

Bさんはすぐに代金100万円振り込んでくれるって言ってたけど,全然振り込んでくれないよ。もう3か月もたっちゃったよ。おっかしいなぁ。

 ちょっと,もう1回電話してみよう。プルルルル

 お客様がおかけになった電話番号は,現在,使われておりません。

 ええー,そんな,こりゃあ,困ったぞ。

 もう,Bさんに電話してても埒があかないから,裁判をするしかないな。

 こうして,A社長は,Bさんに対して,オーダーメイドの木材家具一式100万円の代金の支払いをもとめて,裁判所で,民事訴訟を提起しました。

 そして,1年後のことです。

 この日,いよいよ,判決言い渡しの日になりました。

 静粛に。判決を言い渡します。

 主文,Bさんは,A社長の会社に対し,100万円を支払いなさい。

 やったー,勝訴だ,わが社の完全勝訴だ。

 これで,100万円払ってもらうことについて,裁判所のお墨付きが出たったことだな。

 さてさて,勝訴できたのはいいんだけれども,このあと,どうしたらいいんだろ。

 ちょっと,裁判所の職員さんに聞いてみよう。

 こちらは,裁判所職員のC子さんです。

こんにちは。今日は,どうされましたか?

 すみません,今日,100万円の裁判で勝訴したんですけど,どうしたらいいんしょうか?

 それでしたら,先方が,「控訴」する可能性,つまり,今回の裁判に不服があったりして,さらに,上の裁判所で,審理してほしいというかもしれません。

そのための期間を「控訴期間」と言ってが,判決文を受け取ってから,2週間とされています。

ですから,まずは,判決が確定するのか,控訴されるのか,しばらく待ってみてください。

 わかりました。

 そして,三週間後のことです。

 そろそろ,Bさんが,判決文受け取って,2週間は経ったころだな。

 Bさん,控訴したのかな,してないといいな。また裁判やるなんて嫌だなぁ。

 どっちなんだろうか。

 そうだ,裁判所の職員さんに電話で聞いてみよっと。

 もしもし,すみません,先日,100万円の裁判で,勝訴判決をもらった者なんですけど,先方が控訴したかどうかって,わかりますか?

 少々お待ちくださいね。えーと,確認したところ,Bさんのほうは控訴していないですね。ということで,判決は確定になりましたね。

 やったー,これで裁判確定したんだ。はー,よかったよかった。じゃあ,すみません,100万円は,いつ払ってもらえるのでしょうか?

 えっと,それを裁判所に聞かれても,こちらではわからないですよ。

 ええぇ,どういうことですか?だって,裁判所で,100万円はらってもらえるっていう裁判をして,勝訴の判決文までもらったんですから,この100万円,もらえるんじゃないんですか?

 それはですね,みなさん,誤解しているのですが,裁判所で判決が出ても,そのあと,裁判所の方で,相手のBさんからお金を取り上げて,そちらにお支払いするっていう制度は,ないんです。

 判決文が出ても,Bさんが支払いをしないのであれば,今度は,「強制執行」という手続をする必要があるんです。

 ええー,そうだったんですか。もう裁判だけでこんなに時間がかかったのに,まだお金がもらえるわけじゃないんですね。はー大変だなぁ。そういえば,強制執行ってなんか聞いたことがある言葉だなあ。

 じゃあ,すみません,その強制執行,お願いできますか?

 強制執行というのは,Aさんが,まずは,ご自身で手続するものなんですよ。

 ええー,裁判所でやってくれるものではないんですか,また面倒そうだなぁ。

 はい,あのー,あまりご存知ないようなので,そもそものお話をさせていただきますが,Bさんに強制執行するということであれば,Bさんの,どんな財産に強制執行するか,Aさんのほうで,調査したりして,決める必要があるんです。たとえば,Bさんの預貯金とか,Bさんの不動産とか,そういった財産ですね。

それが決まったら,その強制執行の手続に合った書類を,裁判所に提出していただいて,ようやく,強制執行の手続が始まることになるんです。そのため,判決を取っただけでは,強制執行になるわけではないんです。

 ええー,そうだったんですかぁ。でも,私,Bさんのことなんてよく知らないので,Bさんの預貯金口座とか,Bさんが不動産持ってるかどうかなんて,全然知らないんです。

 もしかしたら,見つからないかもしれないし,見つかっても,ほとんどお金が残ってないっていう可能性もありますよね?

 はい,そういったことは,よくありますね。

 そ,そ,その場合は,この勝訴の判決文は,どうなっちゃうんでしょうか?

 その場合は,残念ながら,結局,なにも回収できないということで,それで終わりになってしまいますね。

 ええー,長い時間をかけて,ここまでやったのに,そんなー。

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遺留分に関する民法特例:紙芝居型ブログ ブログ#104

 相続・事業承継の場面では,
多額の財産をめぐって,
トラブルになりがちです。

 そのような中で,
「遺留分に関する民法特例」
という制度があります。

 紙芝居でお伝えします。

遺留分に関する民法特例

こちらは,A君です。A君の祖父,おじいさんは,昔,地元で建設会社を作り,現在は二代目であるA君の父親が建設会社の社長を務めています。

つい先日,この建設会社の会長を務めていたA君の祖父,おじいさんが亡くなり,相続問題が発生していました。

 こちらが,A君のお父さんのBさんです。

 Bさんは建設会社の二代目社長です。

なにやら,とても困っているようです。

 あー,困った困った。いったい,どうしたらいいんだろう。

お父さん,どうかしたの。なんだか,とても大変そうだけど。

 いやぁ,父さん,ちょっと困っててさ。

 こないだ,おじいちゃん,亡くなっただろう。

 それで,遺産分割をして,おれの弟のCのやつ,お前にとっては叔父にあたる,C叔父さんいるだろ。Cおじさんが,会社の株式を半分持つことになったんだよ。

 家系図は,このようになっていました。

このように,A君のおじいさんがなくなり,A君のおじいさんは遺言書などを用意していませんでした。そのため,Cさんは,会社経営には全く関与していませんでしたが,おじいさんが所有していた会社の株式の半分を持つことになりました。

 あー,そうだったよね,それは,こないだ聞いたよ。父さん,株式っていったいなんなのかな。

 いまどきはもう株券とかも発行しないから,目に見えないものだから,いまいちイメージがわかないんだよね。

 株式っていうのは,株式会社の構成員の地位,なんていう言い方をよくするけど,簡単に言ってみれば,会社のオーナーみたいなものだな。持っている株式の数で,オーナーとしての権限の強さは様々だけど。

 へー,そうなんだ。お父さん,それで具体的に,どう困ってるの。

 今までは,おじいさんが全ての株式を持ってたから,代表取締役社長であり,唯一の株主であり,オーナーだったから,おじいさん一人で,いろいろ判断できて,ほかの株主の意見を確認したりとかは,必要なかったんだ。

それが,今回,弟のCのやつが株式を半分持った途端,もっと報告してくれとか,決算書を持ってこいとか,経営とはこうすべきとか,役員をクビにするとか,あれこれ口を出すようになってきて,対応に困ってるんだよ。でも大株主だから,対応しないわけにはいかないし,いろいろ反対されても困るしさ。

 なるほどねぇ。株主って,すごい強い権限があるんだね。じゃあ,将来,僕も父さんから,会社を継ぐ可能性があるから,こういう場合の対策について調べてみるよ。弟のDのやつとは,今は仲がいいけど,いつ,父さんとおじさんのようになるかは,わからないからね。

 うん,それはいいな。父さんも,株式は少しずつ買い戻していって,将来的には,おまえに全部譲ってやりたいと思ってる。

父さんにとっては,おまえも,Dも,実の息子だからかわいいけれど,兄弟でもこんなことになるってことがよくわかったから,会社はやっぱりお前に継がせたいから,調べてみてくれ。宜しく頼むよ。

 こうして,A君は,弁護士のところに法律相談にきました。

 こんにちは。今日は,どういったご相談ですか。

 はい,実はかくかくしかじかでして。

 A君は事情を説明しました。

 なるほど,そういったご事情だったのですね。

 なるほど,事業承継の対策というのは,いろいろありますけれども,例えば,一つ,Aさんの置かれた状況について,一緒に考えてみましょう。

 まず,お父さんのBさんの相続人としては,Aさんご自身と,弟さんのDさんがいますね。

 もし,お父さんが亡くなった場合,遺言書などがなければ,法律上は,会社の株式を含めて,Bさんの財産を全て,Aさんと弟さんのDさんとで,法定相続分である2分の1ずつ,相続することになりますね。

 そして,もし,お父さんのBさんが,ご存命中にその財産をAさんに生前贈与したり,または遺言書でAさんに相続させるという遺言をしても,原則論として,弟のDさんには,法定相続分である2分の1の,さらに,2分の1,つまり,4分の1が,「遺留分」として認められ,この遺留分については,弟のDさんからAさんに,財産をくださいと,要求できるのが原則ですね。

 そうなんですね。でも,うちには株式のほかには,特にめぼしい財産はないので,その4分の1が用意できないので,困ってしまうんです。今は,弟のDとは仲が良いですが,将来のことはわからないし,会社の社員のみなさんに迷惑をかけるわけにはいかないので,困っています。

 なるほど,そういった場合,経営承継円滑化法という法律があって,「遺留分に関する民法特例」という制度があります。

 具体的な中身としては,2種類ありまして,①除外合意という制度と,②固定合意という制度があります。

 ①の除外合意という制度は,先代経営者から後継者に贈与等がなされた株式について,遺留分の算定基礎から除外するという制度です。

 ②の固定合意という制度は,その株式について,遺留分算定基礎財産に算入する価額を合意時の時価に固定するという制度です。

 なるほど,では,もし,この除外合意ができれば,遺留分の金額を算定する際の父の財産から,株式の分を除外して,その残りの財産から,遺留分を計算すればよい,つまり,株式を除外して残った財産の4分の1が,遺留分になるということですね。

 はい,そうなんです。相続人になる方全員の同意や,家庭裁判所の許可や,経済産業大臣の確認など,いろいろな条件がありますが,これができれば,Aさんのケースでは,めぼしい財産が会社の株式だけということであれば,株式を除外できれば,遺留分の額はとても少なくなる可能性がありますね。

 なるほど,ありがとうございます,頑張ってみます。

 Aさんは,早速,お父さんに,この除外合意の制度を説明しました。

 なるほど,そんな制度があったのかぁ。父さんも,この制度を使っておけば,株式が分散することもなかったのになぁ。

やっぱり,知らないで損することって,たくさんあるな。

 よし,じゃあ,さっそく,この民法特例の除外合意の制度の手続にとりかかってくれ。お前とお前の弟のDとは,今は仲が良いから,この除外合意ができる可能性があると思うし,それに,おれとCおじさんのように,将来的には,どうなるかわからないからな。

 うん,父さん,そうだね,わかったよ。さっそく,弟のDに説明してくるよ。

 こうして,Aさんは,弟のDさんに,この遺留分に関する民法特例の話をしました。Dさんも,このAさんの提案の趣旨をよく理解し,快く承諾し,合意書を作りました。

 そして,経済産業大臣の確認や家庭裁判所の許可をとるという手続を行いました。

 こうして,無事に手続は全て終了しました。

 これで,安心して,本業に集中できるぞ。やったー。

 

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