今回は,残業代問題について,
紙芝居で,
お伝えします。
A君は、新卒で、ソフトウェア制作会社に入社しました。
毎日を一生懸命がんばっていました。
>
A君
あー、毎日、忙しいなあ。
これが社会人生活ってやつか。
でも、仕事って、すごいやりがいがあるなぁ。
お客さんのところをまわって、
お客さんの希望するソフトウェアの打合せをして、
一生懸命プログラムを作って、
>
お客さんが喜んでくれたときって、
本当にやりがいがあるなあ。
>
B社長
おい、A君、君は本当によくがんばっているね。
君のクライアントは、みな君を高く評価しているよ。
私も鼻が高いよ。
>
A君
社長、ありがとうございます。
そういっていただけて、僕、とてもうれしいです。
もっと、がんばります。
>
B社長
うんうん、君はがんばっているから、特別に、基本給をアップさせておくことにしたからね。
>
残業代代わりと言ってはなんだけど、基本給をアップさせるからね。
我が社で一番がんばってるきみには、我が社で一番高い給料を払うからね。
でもね、A君、しっかりと休息をとることも大事なことだよ。
根を詰めすぎはよくないし、短期的にではなく、
長期的に安定したパフォーマンスを発揮することも大切だからね。
だから、ちゃんと、定時の終業時刻には、帰るようにするんだよ。
私は,言ったからね。
A君
はい、わかりました。
>
A君はとても素直な頑張り屋で、B社長はA君をかわいがっていました。
A君も、自分をしっかりと評価してくれて、細かいところまでよく見てくれている社長のことが大好きでした。
そのため、A君は、ますます、仕事をがんばり、終業時刻である午後5時になっても帰ることはなく、毎日、午後11時くらいまで残っていました。
それを見た社長は、さらに、A君の基本給をアップさせました。
>
ある日、午後11時ころ、たまたま、忘れ物をしたB社長が、会社に戻ったところ、A君が、一人、社内で働いていました。
>
B社長
おい、A君、君はこんな時間まで仕事をしているのか。
大変だろう。もう今日は帰りなさい。
残業はよくないから、とにかく定時には帰るようにするんだよ。
>
A君
あ、社長、はい、今日は、もう帰ろうと思っていたところですが、
ただ、おかげさまで、私がたくさんのクライアントを担当したいと希望して、
実際に担当させてもらえた分、納期が厳しくて、とても間に合わないもので。
>
B社長は、内心、こう思っていました。
B社長
うーん、たしかに、A君の担当業務量からしたら、
毎日遅くまで残業せざるを得ないだろうなぁ。
でも、A君がやりたいからやらせてあげたんだしなあ。
それに、会社が残業しなさいと命令したわけではなくて、
本人がやりたいと言っているからなら、まあいいか。
あと、A君だけ、どんどん基本給を上げて、高く評価しているから、
きっとA君から不満が出ることはないだろうしなあ。
>
よし、A君、そうか。まあ今日は仕方ないかもしれないけれど、
とにかく、毎日、残業せず定時に帰るんだよ。
>
A君
はい、わかりました。いつも、お心遣いいただきまして、
本当にありがとうございます。
その後も、A君の業務量はかわらなかったため、連日、A君は、残業していました。
>
B社長
うーん、A君のタイムカードをみると、やっぱり毎日遅くまで、残業しているなあ。
取引先のC社さんも、A君が遅くまで残業してまでメールをくれるって、喜んでたしなぁ。
>
会社で契約している警備会社のセキュリティシステムの記録も、
毎日、A君が一番最後に、セキュリティをかけて、帰ってるみたいだしな。
まあでも、会社が残業を命令したわけじゃないし、
A君がやりたくてやってるわけだから、まあいいか。
A君だけ、基本給も高くしてあげてるしな。
>
それから6ヶ月経過したところ、A君は、疲労がたまり、疲れが見え始めました。
>
そして、仕事の疲れから、ミスが連続するようになりました。
少しずつ、A君に対するクレームが増えていくようになりました。
>
B社長
おい、A君、君はまたミスをして、クレームがきたそうだな。
君はがんばっているから、最初のうちは黙認していたけど、
今月だけで5件目のクレームだぞ。もう3ヶ月連続で、毎月3件契約を着られてしまったぞ。
しっかりしたまえ。君の担当先は、みんな君のがんばりをとても評価しているんだから、
今更、担当は代えられないんだから、しっかりやってくれ
>
A君
は、はい。わかりました。申し訳ございません。
A君は、内心、こう思っていました。
>
A君
くっそー、僕だけ、こんなに仕事押しつけられて、
社内で一番売り上げもあげているし、一番長く働いているのに、
あの言い方はないよな。
それに、毎日全然早く帰れないし。
かといって、仕事量を減らしてくれるわけじゃないし。
いったい、どうしたらいいんだ。
もうやめちゃおうかな。
もう体がしんどいから、しばらく休みをとりたい。
でも、うちの会社、退職金制度がないから、生活を考えると不安だなぁ。
>
ある日、A君は、たまたま、パソコンに向かって、インターネットをしていました。
>
A君
んん、なんだこれ。
今、はやりの残業代請求?。
>
金額は、時間給の1。25倍や1。5倍?
そうなのか、
2年分までさかのぼれる???
残業代の証拠を確保すればもらえるかも?
>
証拠はタイムカード、
>
メール、
>
セキュリティ記録,
>
パソコンのログオン・ログオフ記録などさまざま
もらえる金額は、ここでだいたいの金額を計算できる?
残業代は,本来,法律で払わなければいけないものです?
>
そうだったのかー。本当だったらもっと残業もらえていたはずなのに,だまされていたのか。
あたまにきたぞ。よし、今から残業の証拠,タイムカードや,パソコンのログオン・ログオフ記録を確保して、退職して、残業代を請求するぞ。
>
その後、A君は、辞表を提出しました。
そして、2ヶ月が過ぎました
>
B社長
あー、青空の下のゴルフはきもちがいいなぁ
>
プルルルル
B社長
お、電話だ。秘書のC子くんだ。どうしたんだろう
C子
社長、大変です。裁判所から、書類が届きました。
>
中身は、訴状となっています。
退職したA君が裁判を起こしたようです。
中身は、残業代を500万円支払え、となっています。
>
B社長
なにい、なんで我が社が500万円も、支払わなければならないんだ。 おかしいだろう。
>
こうして、裁判所での裁判が始まりました。
>
B社長
まあ裁判なんて堅苦しいことやってるけど、
我が社が負けることはないだろう。
だって、たしかに、A君は残業が多かったけれども、その分、基本給をあれだけ何度も、昇級したんだし、我が社で一番多く給料をはらっていたんだぞ。
A君も納得してたんだし、残業代以上に給料払ってたんだから、我が社が負けるはずがない。
>
こうして、裁判がはじまり、一年がたちました。判決言い渡しの日になりました。
>
裁判官
静粛に。判決主文、会社は、A君に対して500万円を支払いなさい
>
B社長
ええ、なんで我が社が500万円払わなければならないんだ。
我が社の完全敗訴じゃないか。なぜだー