2019年 3月 の投稿一覧

無期転換ルール:紙芝居型ブログ ブログ#90

 無期転換ルール,と呼ばれる法律が,
すでに施行されています。

 昔でしたら,
考えられなかったようなお話で,

 契約社員,つまり,
有期契約,期間の定めがある雇用契約の社員さんが,
ある日から,
無期契約,期間の定めのない雇用契約に,
転換するという法律です。

 こちら,
紙芝居でご紹介します。

無期転換ルール

A君は,IT企業に,入社しました。

 プログラマーとして,毎日を一生懸命がんばっていました。

A君は,1年契約の契約社員でした,平成25年4月1日に入社しました。

毎年,4月に1年間の契約を更新していました。

A君は,会社との間で,4回,契約を更新し,5回目の更新が近づいてきました。

時は平成30年3月上旬のことです, A君は,いつもどおり,社内で作業をしていました。

B部長です。B部長は,A君の上司です。B部長は,機嫌が悪いと,よく,部下に当たり散らしており,A君はよく,B部長にやつあたりされていました。

 おい,A君,このプログラム,昨日までに修正しておけと言ったよな

 え,B部長,その件でしたら,先週,部長が,一旦,修正作業はそのままにして,別の作業を優先するようにとおっしゃったので,それ以来,修正作業はやっていないのですが。

 なに,そんなこと私が言うわけないだろう。証拠はあるのか証拠は。

 す,すいません,私の勘違いでした

 そうだろう,変な嘘をつくんじゃないよ,まったく

 申し訳ございません。

 全く,そんなウソをつくんだったら,もう君との雇用契約を更新するのは考えざるを得ないなぁ。

 まあでも,私の言うことをしっかりと守って働くというなら,もう1年だけ,更新してやってもいいが,どうするかなぁ。

 どうかお願いします。このとおりです。なんでもご指示のとおりに必ず行いますので,どうか契約更新をお願いします。

 しょうがないなぁ。更新してやるか。そのかわり,私の言うことは絶対だぞ。それとなぁ,君は今回の更新でもう最後だぞ。なにがあっても,今回の更新で最後だからな。それでもいいか?

 もちろんです,それで結構ですので,どうか契約更新お願いします。

 よし,それならいいだろう。この約束はしっかりと契約書にも明記するからな。

こうして,A君は,会社との間で,さらに1年間契約社員として,雇用契約を締結しました。

その後,A君は,たまたまインターネットを見ていたところ,たまたま,厚生労働省のホームページをみて,無期転換ルールという記事を見つけました。

 ええ,なんだろこの無期転換ルールって。

平成25年4月1日以降に更新した有期の雇用契約が,通算して5年を超える場合,

会社に申込をすれば,無期契約になれる,これは強制的な法律なので,会社がダメと言っても無期契約になれる!!

 そうだったのかぁ。よし,僕もこの無期転換の申込みをして無期契約にしてもらうぞ。

これで毎年毎年,契約更新してもらえないんじゃないかっていう不安から解放されるぞ。

やったー

翌日,A君は,B部長に面会を求めました

 部長,ちょっといいですか。私は,会社に対して,

無期転換の申し込みをすることにしました。

 なんだその無期転換の申し込みいうのは?

 無期転換っていうのはですね。有期契約の更新期間が通算して5年を超える社員は,申込をすれば無期契約の社員になれるっていう制度ですよ。

 なに,なにいってるんだ。そんなの会社がみとめるわけないだろ

会社が認める認めないは関係ないんですよ。

この厚生労働省のホームページでも見てみたらどうですか。

会社がダメと言っても,強制的に,無期契約になれるんです

 な,なにー,しかし,先月,契約更新した際に,君は今回の1年で最後だと約束しただろう。

 契約書にもそう明記されてるんだから,君はこの1年でおわりだよ

 部長,契約書にそう書いても,それは無期転換ルールの趣旨に反するので,無効らしいですよ。私はもう無期転換の申込をしたんですよ。それでも,この私との雇用契約を解消するということは,解雇をすることになるんですよ。

 だったらもう,今,この瞬間,クビにしてやる,出ていけ

 部長,実は,私,

この会話,携帯電話で,録音してたんですよ。

 無期転換権を行使したことを理由に,解雇なんてできるわけないですよね。

 こんなひどい解雇,許されるはずがない。

 今から,労基署に相談に行ってきます。

 や,やられた,ま,まってくれ~

年5日の有給休暇の確実な取得:紙芝居型ブログ ブログ#89

 働き方改革で,
「年5日の有給休暇の確実な取得」
が始まることになりました。

 こちら,
紙芝居型ブログでご紹介します。


年5日の有給休暇の確実な取得


こちらA社長です
A社長は印刷会社を経営しています。



なんか最近,有給休暇に関して新しい法律ができたらしいんだよな
働き方改革っていう言葉もよく聞くし,うちもちゃんとしとかなきゃな
とりあえずちょっと顧問の社会保険労務士の先生のところに相談に行ってみよう


こちらは社会保険労務士のB先生です
これはこれはA社長いつもお世話になっております,今日はどういったご相談ですか


あー,どうもB先生, いつも大変お世話になっております
今日は有給休暇についてお聞きしたくて。なんか最近働き方改革っていう言葉をよく聞きまして,
有給休暇についても何か新しい法律できたらしいですよね



そうなんですよ。これがまたなかなかしっかりと対応しなければいけない法律でして。
「年5日の有給休暇の確実な取得」と言われている法律ですね。


具体的にはですね,簡単に言うと,年間で10日以上の有給休暇がもらえる人に関しては,その有給休暇が付与された日から一年以内に,少なくとも5日間は確実に有給休暇をとっていただくようにしないといけない,というような法律なんです



なるほど,そういった法律ができたんですね。確かにうちの会社でも実際に有給休暇はあるとはいえ,なかなか取得するっていう方,少ないんですよ
実際仕事がかなり忙しいというのもあって,何か病気とかでもない限りは,有給休暇はつかわないという方が多いですね。
休んでしまうと職場のみんなに迷惑をかけてしまうという意識も強いんだと思います。



はい,そういったケースは,多いですよね。そうなんです。そういったことが多いのでなかなか有給休暇は使われないことも多いですね。
ただ,やっぱり,社員さんの健康管理もとても重要なものですから,こういった法律が出来たという背景もありますね



B先生,ちなみになんですけど,うちはなかなか仕事が忙しくて有給休暇は取れない,
そういう状況があるんですが,その分ボーナスでなるべく還元したいと思っていて
ボーナスを支払わせてもらっています。 もし有給休暇をたくさん取るという方が増えてくると
そのぶん売り上げが下がってくることが予想されるので,そうなりましたら,やはり有休をとる人と取らない人のバランスから,有給休暇を取って出勤日数が減った人ボーナスの査定の際には,
その分少なく査定せざるを得ないと思うんですが,それは大丈夫なんでしょうか



いえいえいえ,社長それはまずいと思います。有給休暇は法律で定められた権利ですので,
有給休暇を取ったことを理由としてボーナスの査定を低くしたりするということは違法の可能性が高いと思います



なるほどそうなんですね。それは気をつけないといけないですね。
うっかりしてしまうところでした。ありがとうございます



それにしても先生,実際のところ,この法律を全ての会社さんがしっかりと守る,というのもなかなか難しいのかもしれないという風に予想しているんですが,もしこれができなかった場合どういうことがあるんでしょうか



はい,その場合には,罰金の対象になってしまうという可能性がありますので,やはりしっかりと取り組む必要がありますね



そうですね,おっしゃる通りしっかりと取り組む必要がありますね
では,従業員の方で,自ら有給休暇を取られる人はよいとして,自ら有給休暇を取ろうとしない人がいましたら,会社の方で年五日分の有給休暇の日を指定すればよいということでしょうか?



いえいえ,いきなり会社の方で,有給休暇の日を一方的に指定するのではなくて,まずは,ご本人が,自ら有休休暇を取得するよう促してください。それでも,有給休暇を取らない方については,会社さんの方で,その従業員さんの有給休暇の取得希望日のご意見をお聞きして,なるべくそれを尊重して,有給休暇の日を指定する必要がありますね



なるほど,そうなんですね,わかりました。ちなみに,半日単位や,時間単位の有給休暇もありますが,その「年5日分の有給休暇の確実な取得」に,半日単位や時間単位の有給休暇も,含まれるのでしょうか。



半日単位の有給休暇は,0.5日としてカウントされますが,時間単位の有給休暇はカウントされません。

 なるほど,そうなのですね。



それにしても,そうすると,会社のほうは,この5日分の有給休暇の管理がなかなか難しいかもしれませんね。
人によって入社日も違うので,10日の有給休暇が付与される基準日というのもバラバラなので。



そうなんです。会社さんの管理の手間が大変になる面はありますね。
そこで,対策はいくつかありまして,例えば,



従業員さんが不利にならない形で,有給休暇の付与の基準日を前倒しして,たとえば,月初め,月初の日に統一すると,管理はラクになりますね。



それと,有給休暇の計画的付与制度,という制度があります。
これは,少なくとも5日分は,従業員さんが自由に有給休暇を取得する日を保障し,5日を超える分について,会社さんのほうで,労使協定に基づいて,計画的に,有給休暇を付与するという制度です。



これをするためには,2つの条件があります。
一つは,予め,就業規則に規定をしておくことです。
もう一つは,労使協定,つまり,労働者の過半数を代表する方もしくは,労働者の過半数で組織する労働組合との間で,書面による協定を締結する必要があります。
ちなみに,この労使協定は,所轄の労働基準監督署に届け出る必要はありません。



なるほど,いろいろ,工夫できるということですね。
ありがとうございます。がんばります。